"デキる"人になる
【それって⁉︎実際どうなの課】という番組に現在月一のペースで出させて頂いている。この番組は検証番組で様々な企画があるが、僕が担当させて頂いてる企画は『タダのものを売ったらいくらになる?』というものだ。過去のものは、苔や流木、松ぼっくりや翡翠(ヒスイ)などと幅広い。オンエアに載るのは月一だが、ロケは平均で3日〜4日行なっている。よく「本当に自分でやっているの?」と聞かれるが、完全にガチのガチで毎回一日6.7時間ロケをしている。そして毎度ほぼ固定で、4名のスタッフさんが同行してくれる。加えてスタジオ収録もあるので、このメンバーには週一以上では会う計算になる。これを読む一般的な社会人や学生の方は「なんかよく会う言い方してるけど、あたいらは毎日職場や学校で同じ人と会うよ?」と思うだろうが、僕たち芸人というのは超売れっ子でレギュラー番組を抱えていない限りは、毎回現場は違うし、毎日違う人と仕事をするので、これは超頻繁に会う方なのだ。そしてこの長時間に及ぶ検証系ロケは、「普通」は、なかなか不穏な空気になりがちなのだ。やっている側は、終わりが見えないものは「いつまでやればいいんだろうか」となるし、スタッフ側もテレビ的な撮れ高を考え「何かハプニングとか起きないかなぁ」と苛立ちも積もる。ロケなんて長ければ長いほど辛いのだ。そしてその精神状態でこれだけ一緒にいると人間というのは「普通」は、悪いところに目がいってしまう。しかしこのチーム、このスタッフさん達は違う。良いところが毎回見えて、本当に好きになる。
"甘い・優しい"と「思いやりがある」は違う
【思い遣り】
他人の身の上や心情に心を配ること。また、その気持ち。同情。
思いやり と調べると辞書にこう書いてある。
ディレクターさんも、APさんも、ADちゃんも、カメラマンくんもみんな思いやりのある人だ。
ディレクターさんは、単純にその回をおもしろくしようとせず、僕の可能性や魅力を引き出した上でおもしろくしようとする。作り手側の人からすると「それ当たり前っすよ」と思うだろうが、やっているこちら側は、そう思ってくれている時とそうじゃない時はオンエア含めた上でハッキリと感じる。そしてその「思いやり」はプロから見るとやはり明確に映像にも現れているようで、先日他局のバラエティ番組ディレクターさんが「あの番組見てますよ!編集におばた愛感じますね」と言ってくれたり、泥団子の回で協力してくれた先輩芸人のバンビーノさんは「オンエアめちゃめちゃ良くしてくれてたな!素晴らしいスタッフさんやで!ほんまに!ニーブラ!」と言ってくれた。僕の大尊敬する伊集院光さんも番組を見てくれて、凄く褒めてくれた。出演した番組で裏方さんのこと褒められる経験は少なく、まるで自分が褒められているかのように嬉しかった。
APさんは朝僕がロケバス内でした「昨日仕事で肩痛めたんすよねぇ〜ははははは」という何気ない会話からマネージャーにこっそり報告していた。その日の昼休憩にマネージャーと電話した時に「おばたさん肩大丈夫ですか?」と言われ、「何で知ってるんですか!?」という会話から判明した。そんな報告してもらったの保育園の時以来だ。
ADちゃんはムードメーカーであり、昼飯のセンスがいい。長い長いロケでも仕事に対してやらされている感を感じた事は一度もない。水を渡してくれるタイミングも抜群だ。これは僕の気持ちになって行動してくれているからに違いない。
カメラマンくんはみんながヘトヘトのロケ終盤によく笑う。僕の使いようのないギャグでも良く笑い現場の雰囲気をよくしてくれる。そして膝に爆弾を抱えている。これは何も関係ない。
だから僕も全力で応えたくなる。
土砂降りの雨の日も平気で短縮せずにやるし、雪が舞う日本海でも朝5時から夕方まで氷のような石を拾うこともある。「こんなもんですかね」の様な甘やかしはしないが、そこには【僕でおもしろくしよう】という思いやりを感じる。この手の番組で僕の様な技術のない若手芸人がやれることは、ただ一生懸命やることだ。優秀なスタッフがいるならばこちらはその船に乗れば良い。で、全力で漕げばいい。そう思って取り組んでいる。
結局のところ、お互いが思いやりを持つことで能率的になる。意欲的に取り組むようになるからだ。相手が何を求めているんだろう?こうしたら嬉しいだろうなぁ。という心の先回りが、全ていい方向に運んでくれるのだと思う。周りにいる「あの人デキるなぁ」という印象を持たれる人は、ただ何かの技術に長けているのではなく、思いやりの心が長けているのではないだろうか。
"デキる"人になれる様に、思いやりを持って日々を過ごそうと思う。そしてみんながみんなそうだったら良いのになぁと本気で思っている。
ってかおもしろくなりてーーーーーー!!
おわり