今だからこそ刺さる『Style』を

どーも、お久しぶりです。黒曜《こくよう》です。

唐突ですが、今週発売された鬼頭明里さんの1stアルバム『Style』……
皆さんは既にご視聴いただけたでしょうか?

Twitterでは発売前日のこのお知らせをきっかけにチケットの価格改定がトレンドに登るという事態が話題になりましたが、母数が増えれば増えるほど表面上の印象だけで語られてしまうのは”惜しい”なと思い、そしてこのアルバムをリリースするにあたり期待できるライブの楽しさを伝えたく、このコラムを書いています。

当該ツイートに寄せられたリプを見るに実際のお客さんとなり得る多くのファンは好意的に捉えており、高い!と捉えているような人の多くは外野なんだろうな。という印象なのですが、
アルバムを聞けば聞くほどこの13曲のクオリティの高さに惚れ込み、いくらだろうと聴きたい気持ちめっちゃわかるマンになってしまいました。(地方在住学生オタクであかりんガチオタだったら親に土下座するし、バイト入れるし、お年玉崩すレベルでなんとしてでも行ってたな……)

それでは本題に入り、鬼頭さんの『Style』がいかに素晴らしいかを書いていこうと思います。

まずは今回のこのアルバム、基本的にバンドサウンドをメインに据えたことから非常にライブ映えしやすい曲が多くなっています。
Fly-High-Five!の落ちサビクラップCRAZY ROCK NIGHTのオーイング等、まさにライブハウスでお客さんと一体になって楽しむ場を想定して作られた曲であることは明らかでしょう。
これらを念頭におけば、現在の主流になりつつある無観客ライブでは演出面でのもの足りなさは否めず、コンセプト的な背景から見ても半数であろうと価格を上げようと観客ありでのライブを断行するという結論になるのは自然な判断ではないでしょうか?

前置きばかり長くてもしょうがないのでまずは先行配信された『23時の春雷少女』を貼っておきます。

こちらのブログに経緯が書かれていますが、アルバムを作るにあたり鬼頭さんから田淵さんへのオファーがあった末にできた曲であり、編曲にやしきんさん、人気バンド・パスピエのKey担当・成田ハネダさんを迎えた豪華なピアノロックサウンドになっており、アルバムのテーマチューンにふさわしい名曲のオーラが溢れています。

それではアルバムに収録された楽曲への僕なりの感想を紹介していきますね。

1. Drawing a Wish 作詞:磯谷佳江 作曲:小野貴光 編曲:玉木千尋




イントロのギターエフェクトから溢れ出る疾走感!!コード進行めっちゃいい。なんも言われずにイントロ聴いてたらきっと「アジカンの新曲かな……」と思う。所々で音を刻んでオーディエンス側のリズムにも火を入れる工夫がにくい……。

1曲目にふさわしいライトな聞き味でありながらサビに入る前の「Hear」に入るエフェクトと言い小技も効いている。全体的に歌をきかせるタメが多いアルバムの中では割と音を前のめりで食うような音作りになっている気がする。

鬼頭さんにとっても歌いやすい音域に属す曲と思われライブでもノドのコンディション、オーデイエンスの熱気にムチを入れる良質のオープニング曲になるだろう。

個人的な歌の聞きどころはCメロのラスト「Myself&Yourself」のファルセット手前の高音。


2. INNOCENT 作詞・作曲・編曲:鶴﨑輝一


聴き味は何となくガリレオ・ガリレイに近い?どことなく哀愁の漂うバンドバラード。
作詞作曲編曲が鶴崎さんの仕業という所に全体の一体感は際立つものがある。
渡辺佑輔さんのベースラインがエモい。
Bメロのコーラスハモがとてもキレイなのでライブやるならコーラスも呼んで欲しいな……。

マンガっていうより小説原作のアニメ挿入歌みたいな湿っぽさの乗った歌詞のカギになっているのは「またねって言うサヨナラさえ約束にしたいんだよお願い」という部分だと思う。

同級生や同僚だったら「またね」を約束にする必要も無いんだよな、「またね」を約束にしないと会えない位置にいる友達なんだな……と思うとなかなかくるものがあります。

3. Desire Again 作詞:新田目駿(HANO) 作曲:momo 編曲:神田ジョン


まだまだカラダ温まってないな?アツアツにしたるが?と言わんばかりの編曲:神田ジョン……、サビ前のチョーキング嫌いなギタリストおらんやろ、大好きやんそんなチョーキングしよってからに……親もエモさで泣くわ。

後、2番のAメロのリズム隊とっても好きです。もはや愛してると言っても過言ではない。

鬼頭さんの歌で言うと2番Bメロの「乗り越“えぇ”た その先には」の“え”のしゃくりが抜群に好きです。はい。


4. Fly-High-Five! 作詞:昆真由美 作曲・編曲:中山英二


客入れんライブに意味なんかあるんか?と煽ってくる過激派の尖兵その1。だって間奏まで(jump! Jump!)って煽られるんですよ?
ジャンプ禁止ですとかそんなあまっちょろい事言ってる会場は取るな。
クラップパートまで入ってるし、夏フェスのレギュラーチューン間違いなし。




5. Star Arc 作詞:昆真由美 作曲・編曲:塚田耕平(Dream Monster)


ストリングスの美しさが光る一曲、全体的にはsupercell味を感じる旋律の美しさ。
とりあえず最初聴いて驚いたのはBメロから入る構成の上手さ。
歌詞が詰まっている早めの曲かと思えば、Cメロにはaikoさんに近い先の読めない聴かせるパートを持ってきて.最後はなだれ込むような大サビに突入するストーリーがある。(ブレス大変そう……)

Cの歌詞は5年後、10年後の鬼頭さんが歌う時に聴き味が変わっている気がするし、長く歌い続けて欲しい曲。


6. Always Going My Way 作詞:吉田詩織 作曲・編曲:立山秋航


1秒でわかる、はい!楽しいこの曲〜!!!遺伝子に刻まれたパーティリズムが騒ぎ出すので気がついたらWow Wow Yeah Yeahしてしまう……鬼頭さんの英語がまた可愛いんすよ、本当。
ラストのOne moreだけでご飯3杯いける。
Fry-High-Fiveとセトリの上で並ばされようものなら、心境はまな板の上の鯉だし、フロアの上は灼熱間違いなし。

 7. 23時の春雷少女 作詞・作曲:田淵智也 編曲:やしきん・成田ハネダ(パスピエ)


お待たせしました、今アルバムの要にして傑作。
今をときめく田淵智也さん作詞作曲に編曲やしきんさん、羽田さんは流石にオーバーキルすぎる。制作見た時、2度見したもん。

まず、イントロから遠雷のような徐々に入ってくるアルペジオ、情緒がある。歌入りの刻み、めっちゃユニゾン味ある……。

Bメロから空気をバチッと変えるコーラス、サビ前の高音からちょっとだけ沈む歌声の余韻の残し方とても好き。

歌詞は2番Aメロ終わりの「はずだったよ はずだったよ はずだった」をリフレインする事で内なる自分を急直下で認識させる表現で唸るしか出来なかった、好き。

これがあるからその後のBメロで「見つけて」を聴かせるアレンジも最高に活きるんだよな……サビも「奪って私のあらすじを」とか、「だって感情難しいんだ」とかフレーズが強い。

間奏開けギター1本でのサビで始まるのも古来よりみんな好きなやつじゃん……ピアノのここ一番での仕事人感というか一音で曲を立たせてくる力強さも半端じゃない。

8. dear my distance 作詞:石倉誉之・yuiko 作曲・編曲:石倉誉之


ライブだったらアコギ1本でも聞いてみたいなぁ……というくやい聴かせる曲。

でも、サビ前のドラムに「今からサビ、行きまぁす!」って語りかけられんのもえらい好きなので、大変悩ましい……アコギならボディ叩いて再現しそうだけど……

また、1番と2番で変えてくるのも、曲の時系列に添っててエモポイントあげたい。

音源の方は壮大感が強いのでアニサマとか大きい会場のペンライトの海のセンターステージがあつらえたかのように映えると思う




9. CRAZY ROCK NIGHT 作詞・作曲・編曲:久保正貴(Black Butterfly)


今回のアルバム、僕にとって23時の春雷少女の対抗馬はこちら。
 語り出すと長くなるんですが、この制作に関わってる久保さんが作るエッジの効いたロックが僕は大好きなんです。
まずオーイングで始まるもんだから「鬼頭さんの曲だったよな!?」って画面見て「あぁ……合ってる」と安堵させてからゴリゴリの英語とイケボを拳に乗せた鬼頭さんにがら空きのアゴをぶちかまされる気分ですね。

僕にとっては生まれ育った歪みなので、生音で聴こうもんならこんなん首振らんわけにはいかんのですわ卑怯。
個人的には2番のタメからのゴリゴリメタルパート、ギターが暴れてて最高なんでぜひ聞いて欲しい。

かと思ったら急にサビ前落として「女性声優の曲ですけど?キュルンッ」みたいなことするやん、どうした!!!好き!!




10. Closer 作詞・作曲:shilo 編曲:Potato Parties


エフェクトオシャレ魔人か。トリッキーダンスチューンなのでミラーボール抱きたい、俺がミラーボールになる。

イントロのフレーズがずっと頭をグルグルめぐるし、中毒性がありますね、アウトロの最後まで徹と徹頭徹尾シャレてるので、次の曲まで飛ばさないで聴いてほしい。

ライブならぜひスタンドマイクでセクシー強めのフリを入れて欲しい、軽率にウインクとかしてオタクの意識を刈り取って欲しい。

2:36~のC'monに鬼頭明里の色気が全て詰まってるので必ず聴いて。

11. Swinging Heart 作詞:磯谷佳江 作曲:小野貴光 編曲:玉木千尋



ブレスで入るの最高だから、静寂が欲しい。前の曲がdear my distanceとかであって欲しい。それが情緒。

鬼頭さんの歌に関してはサビの解放感が光る楽曲なので、歌う姿に余裕を見つけられるならライブの成功を確信するだろうな……という一曲。

収録当時から時間が経っているだろう曲なので、爽やかさや初々しさがまだ滲んだ音源と比べて、今の鬼頭さんがこの歌詞をどう消化し、どう還るのかが楽しみ。

12. 君の花を祈ろう 作詞・作曲:shilo 編曲:白神真志朗


ファルセットフェチにはたまらない曲。
Closerの作詞作曲もされてるshiloさん、個人的に上田麗奈さんの楽曲から世界観構成力の素晴らしさを認識し始めたので、faily taleの明けにとか車庫の少女は是非聴いて欲しい。

僕のコラムを読んでくれそうな人にこっそり教えると、AiRBLUEの『Forever Friends』の作詞作曲や『私たちはまだその春をしらない』の作詞もshiloさんの仕業です。

耳当たりの滑らかさにノイズが無いんですよね。ちゃんと華やかな音色してるのに清らかというか、服で言うなら袖口襟元に可愛らしいアレンジが施されているのにくどくない白ワンピースみたいな清楚な美しさがある。

大サビのハモが抜群にキレイだから、ライブするならやっぱりコーラスも生で入れて欲しいんだよなぁ……

13. Tiny Light 作詞・作曲・編曲:Saku



地縛少年花子くんのED曲ということで、世界観に寄り添いつつも本来ギタリストであるSakuさんの教養の深さが光る一曲。

ストリングスがとても美しく、恐らく本来の譜面を飛び越えてプレイヤー達の表現力が絡み合っているのでせめぎ合うバイオリンとヴィオラの旋律にはぜひ耳をすませていただきたい。
鬼頭明里であり、寧々でもある二人分の気持ちが乗っているだけに歌声における情感の豊かさも注目したい。



という訳で全曲に当たる印象、好きなところをつらつらと書きつづった訳ですが、実は今回の1st LIVE TOUR『Colorful Closet』は公式アナウンスでライブの生配信が予定されているんです!
現地で参加できる方はレギュレーションの範囲内で最大の熱量を持って、またもしこのコラムを読んで興味を持っていただいた方にはとりあえずアルバムを聴いてもらい(各種サブスクでも配信中です)ぜひ生配信をご覧いただければと思います

それでは次回のコラムでお会いいたしましょう。
(ホントは一週間前にあげるはずだったんですけど、旬を過ぎてたら申し訳ありません……)

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