My Best Songs 2021
どうも、黒曜《こくよう》です。忙しい年末年始をお過ごしの皆様、いかがお過ごしでしょうか?
なお、年末から書き始めたこの記事は1月末に公開するハメになってしまいました。
記録としてこの曲達が2021年を彩り、豊かにしてくれたことを忘れないために記しておきたいと思います。
それでは早速、紹介していくことに致しましょう。
1.『時の迷宮』ランカ・リー=中島愛/シェリル・ノーム starring May'n
作詞作曲:菅野よう子
まずはマクロスFで育った自分にとって外せなかったこの曲から。
菅野よう子さんの気合いの入りっぷりといえば正に一曲入魂。
ランカが2人のいない世界をどんな気持ちで生き抜いてきたのか、繊細なストリングスがボーカルの表現力を最大限に引き出し、幽世を揺蕩うシェリルを歌で引っ張りあげる瞬間の鳥肌がゾッと立つ感覚はやはりこの2人のボーカルと菅野さんの手によるものでなければ有り得なかったですね。
サビで歌う2人の認識番号(?)の響きの口ずさみたくなる語感の良さも巧みでした。
10年後も20年後もアニソン界のデュオといえばこの2人は自分にとって間違いなく唯一無二の存在です。
2.『唇の凍傷』ワルキューレ
作詞・作曲:椿山日南子
公式で視聴が出ているものがないのでひとまず同アルバムより表題曲の「ワルキューレはあきらめない」を代わりに貼っておきます。
正直、アルバムとしての完成度が本当に高く、まさに期待され期待以上を叩き出した声優ユニットの集大成を飾るにどの曲もふさわしい名盤なのでこちらとも迷いました。
個人的にこの曲を選んだのはワルキューレの5人のボーカルがそれぞれ役割を持って適切なパートに主張されているという点です。
美雲・ギンガメール(JUNNA)の芯の太い強さ
フレイヤ・ヴィオン(鈴木みのり)の王道ヒロイン力
カナメ・バッカニア(安野希世乃)の優しい包容力
レイナ・プラウラー(東山奈央)のテクニカルな表現
マキナ・中島(西田望見)のキュートなアイドル性
そのどれもがこの歌割りで収まっていることにしっくりくるというのが正しいだろうか。
それぞれに声優として、そしてボーカリスト・アーティストとして過ごしてきた時間が育てた経験がここへと運命的に辿り着いたような充足感がある。
マクロスからは一曲にしたいと思ってたけどもう無理だった、選ばない訳にはいかなかった。
映画も非常に高いクオリティで、特にこの楽曲のシーンはライブとして序盤で超時空ヴィーナスここにありと言わんばかりに作画コストをぶち込まれており未視聴の方はぜひご覧いただきたい。
3.『私たちはもう舞台の上』スタァライト九九組
作詞:中村彼方
前奏作曲:本多友紀 作曲/編曲:佐藤純一(fhána)
アニメ映画繋がりでこちらも。
今年見た映画はどれも曲が素晴らしかったが例に漏れずこちらも最高だった……
聖翔音楽学園という舞台を終うにはどうすれば?
という問いに本編で向き合い、それぞれに答えを出し、蹴りをつけていく99期生達の眩しさ、希望。そしてほんの少しの切なさ。
この曲を通して描かれるのは閉まった緞帳の向こう側。舞台音楽足りうる音の重厚感や作詞家・中村彼方ここにありというカリスマ性のあるワードセンスもたまらない。
4.『君のステージ衣装、本当は』
白雪千夜・荒木比奈・佐城雪美・的場梨沙・速水奏
作詞作曲:俊龍 編曲:Sizuk
デレマス界隈では今年の名曲と言えば必ず一度は上がる一曲……。
デレステ、あんまりアクティブじゃなかったけどこの曲のイベストは読んで唸った。
なんと言ってもアイドルが歌う「アイドルを見る側」の曲という着眼点が、してやられた感を引き立たせる。
歌詞にある「僕」と「君」に込められた深みをぜひストーリーを読んで確認していただきたい。
曲が盛り上がれば盛り上がるほど、なぜこれほどまでに切なさが込み上げてくるのか?
雪美ちゃんの儚さが光るボーカルはもちろん、それぞれのアイドルが持つ人生経験から生まれる違うベクトルの感情が重なり合い重厚な余韻を作り出している。
5.『熾火』 楠木ともり
作詞作曲:楠木ともり 編曲:荒幡亮平
留まるところを知らない声優アーティスト界の新星。
細部に至るまでカッコいいんだけど、何食ったらこんなもん思いつくんでしょうか。
今年もしっかり爪痕を刻みつけられるロックをぶつけられて、もはや「やられた……」という気分。
前作までと同様に目的、表現の方向性としてトップバッターを編曲する重永亮介さんとのタッグが素晴らしいのはもちろんだが、トラック2の「よりみち」は同じ声優としても活躍する武内駿輔さん、そしてこの曲では荒幡亮平さんというパートナーを迎えても明確に何を届けたいかが伝わってくる自我の主体性がハッキリしている。
声優アーティストのくくりに関わらず、音楽業界は彼女というアーティストをもっと取り上げるべき。
6.『Dark seeks light』 ニノミヤユイ
作詞:ニノミヤユイ 作曲編曲:ケンカイヨシ
声優アーティスト界の新星その2、なんだ未来明るいかよ……
直近の記事でも紹介し、今年はシンデレラガールズのマキノ役としても注目を集めたニノ宮ゆいさん。
前述した楠木さんと一緒に個人的にはこの世代の声優アーティストを担う双璧になると思っています。
初っ端からバチバチにカッコイイドロップで心をガッと掴まれ、聴けば聴くほど深淵へと誘われるようなアングラ感がクセになる。
2022年の活動もめちゃくちゃ楽しみである。
後、前の記事ではニノミヤユイ単体名義では無かったので紹介しなかったけど、自身がパーソナリティを務めるラジオ「Listen to dark!!」で同じくパーソナリティのきつねと闇ヤミyummy名義で去年リリースした『ミッドナイトプリズム』もめっちゃ好きなので置いとく。聴いて。
7.『pop enemy(feat.Shinpei Nasuno)』 電音部
作詞作曲:奈須野新平
もうホント悩ましい電音部から一曲選ぶの、トアルトア選べなかったの許して欲しい。
Love me harderもエリアの良さ濃縮還元!!って感じで最高だったし、Let me knowの治安の悪さスラム級は大好物なんだけども……
今回はこの曲でよろしくお願いします。
具体的に言うと2番からの展開が大好きだったんですね、これ……特に(Egoさ Egoさ)から「病的に君が恋しいな」のフレーズが脳に刺さってたまらんかった。ここ色んな面子に歌ってもらいたい。それぞれに良さが出る(個人的にはアザブエリアでも聴きたい)。絶対好き。
8.『のびしろ』 Creepy Nuts
作詞:R-指定 作曲:DJ松永
去年から時折聴いてたCreepy NutsのANNをしっかり毎週聴くリスナーになった事もありラップというジャンルを邦楽・洋楽どちらもこれまで以上に踏み込んだ年になったんですが、あえてこの曲はそれを抜きにして曲としてハマった。
まぁ、聴き始めたばかりのジャンルなのでもっとエッジの効いたパンチラインだの韻の奥深さを表現する曲はあるんだろうけど、ラジオを通して知った彼らのパーソナリティを等身大に落とし込んで産み落とした一曲という感じが他になく自然体で胸にスっと落ちる感覚があった。
フリースタイルしかり自分を大きく誇張してマウントを取る文化が根付いたジャンルだからこそ、こういう曲を落とし込んで据えるだけの懐の深さや奮い立たせる方じゃない「ほな、行こか」と背中を叩いて声をかけるような人の温度が通っていてとても好きでした。
9.『One Last Kiss』 宇多田ヒカル
作詞作曲:宇多田ヒカル
25年のシリーズが一つピリオドを打った。
ほぼ自分の年齢と大差ないエヴァンゲリオンという作品は少なからず自分の人生にも影響を与えてきたんだと思う。
そんなシリーズの集大成をしっかりと見送ってくれたのはこの曲だった。
日本を代表するアーティストの一人で、なんなら名曲を作らない方が難しいとすら思える宇多田ヒカルさんはそれだけにアーティストとしてのエゴも少なからず強い方なのだと思うが、シリーズへの継続したタイアップにここまで寄り添い、考察が飛び交うほど複雑な世界観を理解った上でこの落とし所を見つけてくるというのはもはや才能の暴力とすら言える。
内容に関わる故、それほど言及はしないがこの盤には本編でも挿入された2008年発売の『Beautiful World』のRemixも収録されているのだが、それも合わせて非常に完成度が高い。
歌詞の符号と音のセンスがずば抜けてる。
10.『Song for you』 長瀬麻奈(CV:神田沙也加)
作詞:PA-NON 作曲:さかいゆう
とても大きな宝を失ってしまったように思います。この曲はアニメ「IDOLY PRIDE」の終盤、伝説のアイドルで決勝寸前で亡くなってしまい披露する機会を失ってしまった麻奈の楽曲でした。
アルバムには麻奈の生命を繋いだとも言える主人公の1人、さくらが所属するサニーピース。
そして麻奈の妹で姉の背中を追いかけてアイドルの世界へと飛び込んだもう1人の主人公、長瀬琴乃のソロバージョン。
これらの3形態で収録されている曲です。
本編を見てから聴くと3人、それぞれに描く『Song for you』の受け取り方があり、その中ても個人的にはやはり麻奈の『Song for you』に込められた想いの強さを受け取ってしまいます。
コンテンツとしても曲に割く熱量が高く、どの曲も印象深いのですが、実際にライブでどの曲が一番聴きたいかと聞かれればやはり彼女の声でこの曲を選んだでしょう。
いつまでも胸の中に神田沙也加さんの歌声を抱えて。
11.『Oh My God』 SHHis
作詞:Co-sho 作曲:小久保祐希、Eunsol(1008)
編曲:Eunsol(1008)
アイマスの看板つけてやってる事明洞と渋谷のハイブリッドなんよ。なんやこの治安の悪さ……。
いやもう作編曲入ってるウンソルさんの仕業ですねこれは。トレーラーの音で腰バリ高い美脚のネーチャンが腰グルッグルさせる画がもう浮かんだもんね!!
それでいて個人的にはK-POPのどこか頼りない感じというか聴きやすいけど腹まで響かないみたいな所を上手に渋谷系Baseがカバーしてるので聴き応えもありつつ上手くマッチさせてるのが好みでした。
12.『Never Let Go』 ASTRAM
作詞作曲:ANIMAL HACK
あれ、オタクの知名度低すぎ……?
と自分の中では曲のクオリティに知名度が追いついてないコンテンツ代表でもあるAKROGRAMさんからこちらの曲をぜひ皆さんに知っていただきたい。
この曲を歌うASTRAMは作中ではディフェンディングチャンピオンのような立ち位置でシンプルに強めの曲でアプローチされていたのだが、今回は双子ユニットという強みをグッと活かしてエモに振ってきたこの曲の振り幅の強さとボーカルの2人のシンクロニシティ具合が素晴らしかった。
ストーリーには2022年でピリオドを打つことになったが新曲もぜひ楽しみに聴いて欲しい。
13.『3時12分』 TAKU INOUE&星街すいせい
作詞作曲:TAKU INOUE
顔の見える生産者、ついに顔が前に出てくる。
トラックメーカーとして最高に好きな音を叩き出してくれる人なのはもちろん、タッグを組むのがVtuber界隈でも3本の指に入る(と思ってる)ボーカリスト・星街すいせいさんで気に入らないわけが無いんですよねこれ。
星街さんのアルバムリード曲『Stellar Stellar』も同じタッグで生産されているだけあって死ぬほど悩んだ結果、年越したけど悔いは無いです。
こちらを選んだポイントは色んなところがあるんですが、主にボーカリストのアレンジ力が乗算してライブだとその場その場によって分岐した完成形が見られるんじゃないかという余地への期待値です。
『Stellar Stellar』の方がなんならトラックとしては完成されているかもしれないですが、僕の想像力だとあれがベストというか至り過ぎてるくらいな気がしたので。
14.『Yona Yona Journey』 TAKU INOUE&Mori Caliope
作詞:TAKU INOUE&Mori Caliope
作編曲:TAKU INOUE
いやぁー、悩みの種2弾。てか主にこいつのせいで押し出された曲がある。ごめん……イノタクに身体が逆らえなかったよ……。
ラップチューン、聴きまくった去年のラストに飛び込んでくるようにぶち込まれたこの曲を入れずにはいられなかった。というか、元々最初に選んだ40曲くらいの中にはMori Caliopeさんの曲があったのである意味敗者復活みたいな感じもある。
トラックのカッコ良さについてはもうあえて触れん、存分に聴いてアガって欲しい。
共作で作詞されている事から恐らく日本語のボキャブラリーについてはイノタクさんのアシストも入っているのだろうが、注目したいのはMori Caliopeさんの日英を織り交ぜた詞を自分のものとしてしっかり乗りこなしていることだろう。
自身の曲でもここ1年にリリースされた曲を辿ると驚くべきスピードで自分の一部に取り込んでいるスピード感を読み取ることが出来る。
英語わからんニキとかVtuber苦手ニキでも音楽が好きならぜひ一度は聴いてみることをおすすめする。先ほどの星街さんと合わせてこの2人は楽曲においてアーティストと呼んで差し支えないクオリティを誇っている。
15.『TOKONATSU STYLE』 KMNZ
作詞:Tha omedetaz, LITA 作曲:Takuma Yajima
Vtuber繋がりということで、推しの曲も紹介させてくだせぇ……。
Vtuberさんの歌動画ってまぁ……主にいろいろな権利が絡む関係とでボカロ曲が多くを構成していて正直今まで個人的にはそんなに好きじゃなかったんですよね。 それ以外のカバーもよく言えば有名なアニソン、言い方を曲げれば無難になりがちというか……。
その価値観に風穴というか、彼女たちなりの独自性を感じたのがKMNZでした。もちろん流行りや話題のボカロを含めた曲もカバーしているのですがCreepy NutsやRIP SLYME、HALCALI、スチャダラパー、キリンジといった渋い選曲に刺されちゃったんですよね。
そこからオリジナル楽曲にもハマっていくんですが、トラックメーカーとの一体感やラップの乗りこなし方からあふれる作りたいものへの主張が強くてVでデビューされている方々の中でも特に音楽性自我に芯が通っていて競合するものも少ないところを突き進んでいると思います。
16.『おもいでしりとり』 DIALOGUE+
作詞作曲:田淵智也 編曲:睦月周平
声優ユニットでも高頻度の活動実績、そして盤石のサポート体制をひいて絶賛売り出し中のDIALOGUE+から今年はこの曲を。
曲の出来が素晴らしいのはもちろん、個人的にこの曲がタイアップしたアニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』は原作から繊細な心情描写と昨今なかなか見られないシリアスのバランスがお気に入りの作品の一つだったので、田淵さんがこのような形で原作に寄り添って活字をつなぐような演出をしていただいたことに感動を覚えた。
声優ユニットの強みを活かすように歌詞の合間やサビにセリフが組み込まれる構成も彼女たちが持ちうる表現力を十二分に引き出し、ハモも美しい。
新人ということもあるが、常に動いているユニット活動があるということから得られる経験値は末恐ろしいものがあり、数か月も目を離すととんでもない安定感を手に入れているのでぜひ動向に注目してほしいユニットの一つ。
あ、後もう一つ。田淵さん主導で決まったプロンプの自主回避が本当に素晴らしい。他のライブを見れば見るほど、この業界での唯一性が際立って驚くほど「自分のもの」にしてる感が出る。
17.『寄り酔い』 和ぬか
作詞作曲:和ぬか
比較的、自分より若い層に人気を博した一曲だけど、こういう湿度の高い曲……好きなんですよね。
昨年、話題になった曲の和ぬかさんの提供された「イージーゲーム」の方がキャッチーさの分はある気がするけど、独特のチルいリズム感がほろ酔いで人の温かさが恋しくなった千鳥足の情景にフィットして和ぬかさんの持つ色と題材が上手くかみ合った印象を覚えます。
ギターの音が特に特徴的なので、これから武器を研いでこの系統に特化するのか、また変化していくのかを含め今後がとても楽しみなアーティストさんの一人。
18.『支離滅裂に愛し愛されようじゃないか』 ポップしなないで
作詞:かわむら 作曲:ポップしなないで
確かANNかなんかのパワープッシュで知った曲なんですが、仕事中だったけど曲の途中で急いでApple Music開いてプレイリストにぶち込んだほど、ひと聴き惚れしてしまいました。
歌詞の情報量がたたみかけるように叩きつけられるのですが、ボーカルのかめがいさんの表現力、緩急、情感……がとにかく素晴らしく耳を捉えて離さない。
よくわからないをよくわからないまま認めさせてしまうようなパワーがある。
19.『Shininng One』 BE:FIRST
作曲:☆Taku Takahashi、栗原暁、SKY-HI
作詞:栗原暁、SKY-HI
男性アイドルはしばらくご無沙汰だったんですが、ラジオで出会ったこの曲はめちゃめちゃハマりましたね……。
紹介された方もK-POPの流れを汲みつつもJ-POPの枠に収まっている所がいいと語られていたのですが、EDMというより踊れるけどちゃんとポップなのがエラいと思います。
(余談だけどMANATOくんが若干声優の広瀬裕也くんに似てて親近感覚えちゃった……)
20.『夏の魔法』 HoneyComeBear
作詞:kaako 作曲:monkey
去年、出会った新しいアーティストさんの中でもヘッドホンで聴くのがとても楽しかった1曲のひとつ。
今更だけど、今回選んだ曲を振り返ると自分ってどこか陰があるものが好きなんですよね。
その点、この曲の不思議とモノクロなノスタルジー感の陰影と音像は素晴らしい。
マイクの距離感とキックの強さも聴き終わった後に耳に残る印象の強さがある。
総括
ここまで読んでくださってありがとうございます。そしてお疲れ様です。
自分でもこんなに選ぶつもりはなかったのですが、しぼりきれなかったというか、それでこんな時期までかかってしまったというか……なんというか今年も楽しみですね、音楽。
音楽はジャンル問わず人のオススメを聴くのが好きなタイプなので、皆さんからも「みんなあんま知らないけど○○……いいんだよね」みたいな情報があれば募集しています。
それでは皆さんにも良い音楽が届きますように。