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サッカーの決めきるところ

明治安田J3リーグ第26節、テゲバジャーロ宮崎(以下、テゲバ)とヴァンラーレ八戸の試合後、記者会見で八戸監督の石さん(石崎信弘さん)が口にした言葉「決めきるところがまだまだ足りなかった」が印象的だった。

八戸戦はは3-2でテゲバの勝利。見どころの多い、好ゲームとなった。JSTATsによると、シュート数はテゲバの15本に対して八戸は10本。両チームともに、1点を取るのに5本のシュートを必要としている。

単純にシュート数だけを見ると、「ゴール決定率」はどちらも0,2となり、「決めきる」ことに関して、両チームの差はない。では、石さんの発言は、シュート数が少なかったことについてのものなのだろうか。そんなことはないだろう。

ちなみに、前回の対戦、6月16日の第17節では、テゲバは16本、八戸は13本のシュートを放ちながら、試合は0-0で終わっている。「決めきるところで決められない」が、お互い如実に出た結果だ。

試合後の、両指揮官の発言が興味深い。

「攻撃の部分でラストパス、クロスの精度、シュートの精度を改善していかないといけない」(石崎監督)

「いつもの課題、ラストパス、シュートの精度などが今日も出てしまったのが一番の反省点」(大熊監督)

無得点に終わったことについて、ほぼ同じ課題を挙げていた。

もうひとつ、石さんが発した言葉が「決めきる」の答えに、ほぼなっていると思う。

「チャンスがないわけではない。ゴール前でどれだけ落ち着いてプレーできるか」

チャンスクリエイトまではできている。あとは、ボールをゴールに入れるだけ。それを「落ち着いき」がないために外したり、GKやDFに阻まれたりする。その原因は、選手のメンタルだったり、疲れだったり、周りからのプレッシャーだったり、技術不足だったり、ちょっとしたズレだったりするのだろう。

石さんや熊さんに限らず、多くの監督が「決めるべきところで決められない」というような言葉を使うのをよく耳にする。

要はチームとして、攻撃の形はできている(はず)、ということだ。アタッキングサード(相手ゴールに近いエリア)まで運びきる力はある。しかし、フィニッシュの精度が低くかったので、得点できなかった。

5日に行われたFIFAワールドカップ26アジア最終予選、日本代表対中国代表は、7-0で日本の圧勝だった。このような試合では、「決めきる」という言葉は、どちらにもそぐわない。

対戦するチーム同士の力が拮抗しているからこそ、「決めきる」ことが大事になる。そして、第26節の試合では、「決めきるところ」で少しだけ上回ったテゲバが、勝ちを手に入れたのだ。

前日の「再現」となったヴィアマの試合

テゲバがホームで連勝した翌日。同じいちご宮崎新富サッカー場では、なでしこ1部リーグ第16節ヴィアマテラス宮崎(以下、ヴィアマ) VS 愛媛FCレディースの試合が行われた。

12勝1分3敗、勝点37、得失点差23と圧倒的首位に立つヴィアマ。開始直後から、愛媛ゴールに襲いかかるもゴールは奪えず。逆に19分、先制を許す。さらに後半も立て続けにゴールされ、3-0の展開。最後は、齊藤夕眞選手の奮闘で2点を返したが、2-3で敗れた。

前半0-1、後半に0-3とされ、そこから2-3まで持っていったが同点ならず。前の日の八戸と同じ展開になった。ついでに言うと、両日ともに4バックと3バックの対戦で、勝ったのは4バックという偶然もあった。

ヴィアマは13本のシュートを浴びせながら、2点を取るのがやっと(愛媛は4本)。この試合も、やはり「決めきる力」が勝敗を分けたと言えるだろう。

思えば、なでしこリーグ1部第11節、伊賀FCくノ一三重戦もそうだった。この日も、13本のシュートで圧倒しながら無得点。28分のオウンゴールで敗戦。九州女子サッカーリーグ時代から続いていた、リーグ戦での無敗記録が破れた日でもあった。

土曜日には気分上々で、翌日はがっかりしてスタジアムを後に。これまでは、テゲバの憂さをヴィアマで晴らしていたことが多かったけど、以降は、毎週末気分上々で過ごさせてもらいたいものだ。

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