【#にじデュエマ】「異次元の超獣使い」が真面目すぎる
下手な前置きとかはすっ飛ばして公開された10枚の新規カードとコラボライバー、さらにその他もろもろについていきなり書いていきます。筆者がわかる範囲でのお話になるので、各項での内容の濃淡のムラについては大目に見てくれよな!
■イブラヒム/《爆裂英雄 A・R・T》
パチスロをこよなく愛するイブラヒム。デュエマの世界ではスロットの代わりにドローを回して大当たりを狙っていくことになりました。当たるまで回せってことか!?
当たりに必要なドロー枚数が7枚なのは言わずもがな大当たりの代名詞であるスリーセブンになぞらえたものでしょう。
一方でその名前はこれまでの「マジック」や「コマンド」とは関連性が見当たらず、強いて言えばアビス期以降のマジック陣営が芸術(ART)と縁深いフレーバーを持っているくらい…と思わせておいてこれはパチスロにおける大当たり状態であるアシストリプレイタイム(Assist Replay Time)の略称です。ふざけているのかと声をあげたくなりますが特に名付けに関してはデュエマはふざけてなんぼなので何も言えなくなりました。
やっぱり声あげていいか?
■加賀美ハヤト/《ボルメテウス・レインボー・ドラゴン》
デュエマが好きすぎて自身の3Dお披露目配信でボルメテウスを召喚した男がついにボルメテウスと共にカード化。このイラスト自体もその配信を思い出させる色使いになっている…気がします。カード名も「“にじ”さんじ」にちなんでおり、「わたくしが今回の顔!」という気概を感じなくもないですね。実は今回公開された10名の中で唯一カードを持った姿が描かれているライバーだったりもします。社長特権か!?
「ボルメテウス」と言えばブレイクしたシールドを直接墓地へ送る能力の代名詞みたいなところもあるのですが、今回は《ボルメテウス・武者・ドラゴン》の系譜に近い自分のシールドをリソースにしてアドバンテージを稼ぐカードとしての登場になりました。《ボルメテウス》へのSA付与は基本的に自分のためだけと思ってよさそうですが、《「武偉」》が走れるようになるのは押さえておいて損なしかも。
■葛葉/《血貴き侵略 ブラッドゾーン》
恐らくにじさんじで一番煽りマイクパフォーマンスに長けた男。今回のカード化は新種族「ヴァンパイア」を引っ提げ、赤黒での登場となりました。赤黒で吸血鬼というと「デュエマのお兄さん」ことマジック:ザ・ギャザリングの気配を感じなくもないですが、そのスペックは…こってこての【レッドゾーン】!!!
《覇王る侵略 ドレッドゾーン》を思わせるとんでもねぇルビと、赤黒らしい捨て身のリソース確保を併せ持った2025年最新型バイクです。種族こそ違いますが、このカラーリングでお互いのシールドを高速で削っていく様は「鬼札王国」「デモニオ」を彷彿とさせますね。
■月ノ美兎/《偽りの月 インターステラ》
はじまりの女。王道編のストーリーでは「月軍」と呼ばれる謎の勢力の存在が記されており、また外伝にあたる「邪神と水晶の華」では《クリス・タブラ・ラーサ》率いるゼニス/アンノウンたちがフィーチャーされたのがまだ記憶に新しいところですが…そこに現れたこの《偽りの月》、なにかの匂わせなのでしょうか。
能力も超次元ゾーンから呪文を踏み倒すという前代未聞のものであり、「ライバーだけではなく、デュエマの歴史も切り拓く!」という公式の紹介文に偽りなしゾルゲXIIIと言って差し支えないでしょう。その下準備として出た時に墓地の呪文を超次元ゾーンに送りながら踏み倒すのですが…
超次元ゾーンから踏み倒す呪文には一切の制約が指定されていないため、《水晶の祈り》として踏み倒して超次元ゾーンに送ったそれを《クリスタル・ドゥーム》として踏み倒すことが可能なのです。これで踏み倒したクリーチャーは実質謎ノ美兎…!?
また、《インターステラ》という"コードネーム"は恐らくは2014年に公開された映画「インターステラー」から取られたものと考えられます。滅亡の危機に晒された人類がワームホールの向こう側に存在する別天地に活路を求めて宇宙へと旅立つこの作品は、超次元ゾーンという別天地を新たな路として利用するこのカードに相応しいものだと思います。
■花畑チャイカ/《地雷冥土The World Is Mine》
2025年にリベンジ・チャンスの新規カードが出るというデュエマ老人を最悪死に至らしめるニュースと共に登場したこちらのカード。そのキャッチーさやライバー・クリーチャー両名の奇抜さとは裏腹に意外とデュエマに対して真摯なデザインがなされた逸品だということに皆様は気づくでしょうか。
デュエマにおける「アウトレイジ」という種族は年月を重ねるにつれ、彼ら自身あるいはその関係者たちの間で現実世界における音楽シーンと紐づいたモチーフを与えられることが増えていきました。例えばエピソード3で相対することになった「オラクリオン」たちはまんま音楽ジャンルをその名に冠していましたし、「ビクトリーBEST」で語られたストーリーでは彼ら自身が機械神に奪われた魂を取り戻すためにバンド活動を始めたりしています。
ではここでもう一度、カード名を見直してみましょう。
そう、『ワールドイズマイン/supercell feat. 初音ミク』です。そしてここに出てくる"mine"という単語はもちろん「私のもの」という意味でもありますが同音異義語で「地雷」、ン十年越しに復活したリベンジ・チャンスも相手にとっては踏んではならない地雷のような能力。これらの要素を絡めあって生まれたのがなんだかご機嫌取りが難しそうな地雷系メイドコスのカワイイクリーチャー、《地雷冥土The World Is Mine》というわけなのです。
…要するに、あまりにもハチャメチャばかりやってきた「デュエマの歴史」に対してあえて真摯に向き合った結果、やっぱりハチャメチャな見た目のこのカードが出てきたということなんですね。「ぱっと見は奇抜だけどその実、意外と真面目だったり思慮深い」というのは花畑チャイカのパーソナリティにも通ずるところがあるかもしれません。ちなみに彼自身もメンヘラみたいな言動が持ちネタになってたりします。そうはならんやろ。
■壱百満天原サロメ/《ミリオンブレイブ・カイザー》
百万点の女。デュエプレでも《百万超邪 クロスファイア》で百万点出していたのが記憶に新しいという方もいるかもしれませんね。そんな彼女は今回リュウセイと思わしきドラゴンに乗っかっての登場です。確かにこの構図になるとプリン姫に似ていると言えなくもないような…?
このカード単体で語るところはあまり思い浮かばないのですが、次に出てくるコラボカードと合わせて火・自然・光のドラゴン速攻戦術をプッシュしている構造が予想できるのが注目ポイントです。この三色で押さえられる新公開カードが全てコスト7以下のドラゴンであり、《ボルメテウス・レインボー・ドラゴン》のST化に対応しているんですよね。「このパックからデュエマを始めたい」という需要に対する最高の回答のひとつと言ってもいいのではないでしょうか。
■フレン・E・ルスタリオ/《聖霊龍王 メルヴェイユ》
「銅のポン」というかなり不名誉な愛称を持つ女。心なしかカードとしての能力もシンプルで脳筋っぽいような…?
いえいえ、カードゲームにおいてシンプルというのはなにも悪いことばかりではありません。特に始めたばかりのユーザーにとっては「分かりやすさ」というのは大きな武器・メリットでもあります。
マナゾーンからでも召喚できるので、とりあえずマナに置いてしまっても大丈夫
文明さえかぶっていればOKのゆるゆる進化条件
出た時の能力で一番邪魔だと思うバトルゾーンのカードをシールド送りに
味方をパワーアップして一気にフィニッシュを狙える決定力
なんということでしょう、カードのテキストほぼすべてが「こう使ってくれ!」と声高に叫んでいるようではありませんか。もしかしてフレンが叫んでる?先の段でも触れましたが、このパックでは火・自然・光の三色は(今までのデュエマでもそうだったように)ドラゴンによる強いシナジーを形成できるようになっていることが予想できます。その中に現れたこの《聖霊龍王 メルヴェイユ》は特に初心者にとって「分かりやすく、扱いやすい切り札」としての役割を存分に果たしてくれるのではないでしょうか。進化クリーチャーであることによって《ボルメテウス・レインボー・ドラゴン》の革命チェンジからちょっとテクニカルな動きへ派生できるのもステップアップの導線…かもしれません。
女騎士ライバーなのに「ナイト」じゃないの!?という気持ちもちょっとありますが、「ナイト」については後に語るチャンスがあるのでもうしばらくお待ちください。
■社築/《守護地龍 ザノウハウ》
にじさんじカードゲーマー三人衆「雑キープ」最後の一人も勿論カード化。デュエプレでもスノーフェアリー(…というよりはメカクレ?)にお熱な描写が印象的でしたが、やはりというべきかそのスノーフェアリーと密なシナジーを持つ性能での登場となりました。"the Know-How"という名前は時に「サポセン」とも称される彼の面倒見の良さ、対応能力の高さを如実に表しています。
が、古参デュエマ老人としてはスノーフェアリーとしてのこのカードを語るよりも、どうしてもやっておきたい事があります。それは…
「水・自然」「コスト8」「シンパシー」「ジャイアント」「出た時にドロー」、ここまで揃って《ドルゲーザ》を話題に出さないわけにはいきません。開発サイドの真意は当然分かりませんが、ユーザーサイドとしては「2025年にドルゲーザの実質リメイクカード!?」と大騒ぎしてしまうのも無理はないでしょう。ほんとか? この2枚同士にそこまで強力なシナジーがあるわけではないですが、かつて環境で名を馳せたカードの面影を持った新カードが出てくるというのはいつの時代でもこみ上げてくるものがあります。先の《地雷冥土The World Is Mine》とはまた違った形で「デュエマに対して真摯なデザイン」のカード…かもしれません。
…そんなところまで噛んでるのォ!?
■夜見れな/《悪魔聖霊ジェミニアス》
えあ~。実力に難ありらしいマジシャンライバーも両手にファンシーなぬいぐるみを抱えてカード化です。冠する名前は《悪魔精霊》、そして種族は「エンジェル・コマンド/デーモン・コマンド/ファンキー・ナイトメア」。
そう、久々の新規ファンキー・ナイトメアであり、新規ナイトなのです。
光・闇というカラーリングで「ナイト」と言えば《ネロ・グリフィス》たちですが、「離れたときに墓地の呪文を回収」という能力がこれらの「ナイトが破壊された時に手札から呪文を踏み倒す」能力に必要な呪文を必要なタイミングで供給してくれるという完璧なシナジーを形成しています。
また、呪文を介さないやり取りではバトルゾーンに触るのが難しいナイトにとって「出た時にクリーチャーを2体選ばせて破壊」という分かりやすいボードアドバンテージを取る能力も貴重です。
背景ストーリーにおける「ナイト」は「エキサイティング・デュエパ・デッキ」で《煉獄大帝 キング・ロマノフ》の暗躍が描かれて以降、あまり大きな動きは見られませんでした…が、先日の「デュエナマイトパック」開封配信にて「騎士道を極めた新たな軍勢があらわれる」という予告めいたフレーバーテキストが判明し、そしてこの《悪魔聖霊ジェミニアス》の登場。ファンキー・ナイトメアの名前集合を利用した形ではありますが、4月から始まる新シリーズの布石がここでも打たれている可能性は否定できません。ワクワクさせてくれますね。そのうえで《ネロ・グリフィス》たちと強くシナジーする性能を持っているのですから、もう言うことはありません。というかナイト関係なくアドバンテージの取り方が凄くないですか!?夜見さん!バケモンだ、バケモン…
■リゼ・ヘルエスタ/《審判の精霊ラストジャッジ》
最後を飾るのは静岡の皇女リゼ・ヘルエスタ。彼女が愛するヘブンズ・ゲート戦略を新境地へと導く(公式紹介文から引用)一枚です。
…あまりにも分かりやすすぎて(サロメお嬢様の段と同様に)わざわざ書いて伝えないといけない事項がパッとは出てこないですね。紹介文で必要十分というべきか。なので、ここでもカード単体ではなく「コラボパック全体の構造」を俯瞰した視点からのお話をやろうと思います。
「ヘブンズ・ゲート戦略を新境地へと導く」とありますが、火・自然・光のドラゴン戦略推しが予想できるように、光・水・闇の組み合わせがヘブンズ・ゲート戦略推しをしていると予想できるのではないでしょうか。つまり、《ヘブンズ・ゲート》によって《審判の精霊ラストジャッジ》と共に《悪魔聖霊ジェミニアス》を踏み倒せば、それらに対処されても《悪魔聖霊ジェミニアス》が離れた時の能力で先ほどの《ヘブンズ・ゲート》を拾うことが出来るのです。
水・闇の《偽りの月 インターステラ》は光ではないため《ヘブンズ・ゲート》から直接出てくることはありませんが、なんと《審判の精霊ラストジャッジ》の「終極宣言」は文明に関係なくあらゆるブロッカーを踏み倒せるので、こちらを経由しての着地が狙える…という構造が見えます。
また、《偽りの月 インターステラ》によって踏み倒せる「水または闇の、コスト7以下の呪文」には《禁呪と聖句の決断》のように先述のコラボカード3種を踏み倒すことが出来るものが存在しています。このような相性の良いカードの再録にも期待が持てますね。
■「デュエマ」と「コラボ」の出した“答え”
近年のカードゲーム(特にデジタル系)では珍しいものではなくなった「コラボ」という概念ですが、ゲームの視点から見た時には何も良いことばかりではありません。一番の懸念は「再録の必要が出た時にどうするんだ?」です。
「ブラック・ボックス・パック」シリーズでは"ご本人様"の名前をそのまま冠したカードがたびたび登場していました。それらのカードは「あえてカードパワーを抑えることで、ガチ環境での需要から再録の必要性が生まれるという事態を未然に防ぐ」という逆説的な対策が取られているパターンがほとんどでしたが…ユーザーが全てガチプレイヤーかというとそんなことはありませんし、たとえカードパワーが低くても「そのカードにしかできないこと」があると“白羽の矢”が立ってしまうのがカードゲームの性です。
いざ再録、という段になったときにコラボ先のサイドも平穏無事かどうかは分かりません。先ほど出した《GANG PARADE!》もアイドルグループとしては活動を続けていますがメンバーの入れ替わりが何度か行われており、“当時のギャンパレ”をそのまま再録するのは困難なのではなかろうか…という状況が発生しています。
定量的に「誰が悪い」という話ができるものでもありませんが、強いて言えば“予防”できるのにそれを全うしなかったタカラトミーにも少なからず責任はあると思います。そして近年では様々な“予防”の手法が見られました。
王来篇から始まったクリエイターズコラボもそのうちのひとつと言えるでしょう。「あの人が描いたキャラクターだから実質○○じゃん!」という形で、明言をせずともユーザーに意図を伝えるというアプローチです。
受注生産商品の「神アート」シリーズでは“既存のものと同名のカードとして扱う”という但し書きをつけたうえで“ご本人様”に登場いただくというとんでもない力業が発揮されたこともあります。個人的にはこれも好きなのですが、実際のゲームプレイで多少なりとも混乱を招くリスクがあるのは良くないのでは?と思う方もいるかも。
この力業と似たパターンにデジタル版での「カードスキン、プロモイラスト」手法があります。こちらはぱっと見の名前が同じですし、「スキン」ゆえに「使いたい人だけが使えばいい」という形でユーザー間の棲み分けが可能になっているのがスマートと言えるでしょう。対戦相手が使ってくる可能性はありますが、カード名自体は同じなのでプレイ中でもさほど混乱はしないはずです。ボイスのせいで混乱するリスクについてはノーコメントで。
ここに挙げた3つの手法はいずれも既存のカードに対してコラボ先の新しいイラストを用意するという点では同じアプローチです。しかし、この2025年にタカラトミーはこれまでの経験から得たものを糧に新たな挑戦を試みました。すなわち、
再録の必要が生じた際に困らないよう、デュエマっぽいネーミングのカードを
コラボ先のファンが見れば「あの人のカードだ」と納得できるようなデザインで
デュエマのファンが見ても一定の納得ができる新規カードとして
「コラボ」カードを世に放とうとしたのです。それが今回の「異次元の超獣使い」というわけですね。
…気合入れすぎだろ!
商売の話でもあるので一意に定まる“答え”が存在するとは言えませんが、この「異次元の超獣使い」が“答え”を目指して丁寧に制作されたものであることは疑いようもありません。見てくださいこの浮かれっぱなしのデュエマ老人の姿を!
商品の目玉となる新規カードにはライバーのみがフィーチャーされたイラストのシークレット版が存在し、にじさんじファンのコレクションアイテムとしても売り出していけるようになっています。このもが本当にすごくて、「デュエマユーザー」と「にじさんじファン」の双方にちゃんと訴求できる商品であるというのが素晴らしい。少なくとも僕の見た限りで今回発表された10枚には「弱そう?」という印象はあれども「弱い」と断言できる性能のものはありません。「使ってみたい」と思わせるカードがこのクオリティで10枚も出てきたことに舞い上がってる節すらあります(その結果お出しされたのがこの記事というわけですね)。
■真面目すぎる!
そして、記事タイトルでも使用したこのワードに帰結します。いやほんとに真面目なんだって!ほんの数年前までは「未来から来る、だからミラクル」とかのたまってたんです!
当時のタカラトミーやウィザーズがふざけていたと言いたいわけではありませんが、これほど丁寧に三つ指をついて頭を下げられては喜びよりも先に困惑が来るというものです。だからコワクル
やっぱりふざけていたんじゃないか?
■むすびに
天むすだけに
以上、「デュエマ」と「にじさんじ」の双方をある程度かじっているオタクのプレゼンでした。もっと“語るべきもの”があるような気もしますが、とりあえずは「マジで今回の商品はすごいぞ!」ということを伝えたかったのでスピードを重視することにしました。翌日の予定が何もないのをいいことに徹夜でこの文章を書いてるからね!そのくらい衝撃的だった!
ではまた、次回は…再録を含めた収録内容が判明した時にでも?