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欅坂46「渋谷川」試論

 忘れられたように都会の隅を流れる渋谷川。その静かなせせらぎは、「僕」の「君」への表に出さない静かな想いです。
 二人が歩くバス通り。主人公は、愛しさを我慢しながら「君」との距離を置こうとしています。
 この曲の切ないところは、それでも「川の水」は涸れないところです。気づかれないまま流れ続ける水。これが僕の思いを連想させるもので、流れの行方は見えません。海へと流れて行くのか、どこかで涸れてしまうのか。

 恵比寿橋まで来た「僕」ともだちでいれば関係が長続きできるならと、密かな恋を続けることを意識します。多分、ここでお別れなんでしょうね( 進路的なものでしょうか? )。

 大サビでは、二人で歩いた道と、その近くを流れた川のことを思い出して欲しいと僕は願います。それは、少し前の歌詞にある「景色から消えても関係は途切れることもなく…」のようにずっと変わらないことを願います。

 東京は江戸時代から川の街でした。しかし、どんどん発展していく中で、川は隠されていきます。都市の発展が人間の成長だと読み替えると、成長して僕が見えなくなっても思いは残っている、思い続ける感じがします。たとえ、外的な要因で川が汚されても涸れずに流れ続けて行く。

 僕は何故、このフォークソング調の曲を秋元康が「サイレントマジョリティ」のカップリングに選んだのか、と考えてみました。
 「サイレントマジョリティ」のMVが撮られた場所は、現在、工事が完成してあの時の姿はありません。変わり続ける東京という街を象徴しているのでは、と思います。それに対して、発展していく街の下を流れるものはずっと変わらない。そんな組み合わせを狙って選んだのではないか、と僕は思います。
 ちなみに、後年発表された「東京タワーはどこから見える?」は、街も関係性も変わっていく名曲でしたね。美しく補正しようとする記憶と残酷な現実の関係が大好きな名曲です。

 片想いが静かな川の流れのように続くこの曲は、ゆいちゃんずの名曲ですよね。成長して変わっていく少女たちに対して、どこか変わらない僕の姿がこの曲や「ゼンマイじかけの夢」の中では描かれています。同じく「1行だけのエアメール」は、まるで、この曲の続きのようで、一度じっくりと考えてみたい1曲ですね。

 僕は東京に行ったことがないので、「渋谷川」は映画版「パトレイバー2」や樋口監督の「恋人たち」のような川をイメージしていました。
 結構、Youtubeで「渋谷川」の様子がアップされていました。 

  いつか「欅坂46と櫻坂46の曲と東京の姿」という都市論を誰か書いてくれないですかね?(お前が書けと思ったあなた。期待せずに待っていてください)たとえば、櫻坂46の「条件反射で泣けてくる」の東京とかね。
 次回は46じゃないソロ歌手の曲について考えてみたいと思います。

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栄、覚えていてくれ
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