
推しのアクスタを置いた日
火曜日の朝。
めまいがして起きられなませんでした。
午前中、病院に行って「過労によるめまい」だと言われました。
薬を飲んで一日安静に、と言われましたが、田舎の中小企業に代わりはいません。クラクラしながら、僕は昼から出社し、そのまま残業しました。帰り道、自転車を押しながら、なんて矛盾したことをやってるんだろう、と感じました。
翌日、やはりめまいがしましたがめまい止めを飲んで会社に行きました。
僕にはいくつか目標があります。
その一つが推しが活躍できる場所を作ることです。
文才がとてもある人ですが、既存の文芸誌やエンタメ誌ではまだ連載していません。それだったら、ファンの側で作ってそれをクリエイティブポートフォリオに載せられる実績に出来ればと思いつきました。
何も知らないド素人が、約4年前に動きだして、ISBNコードの取り方や図書コードの取り方も知らないまま、毎年作り続けました。その際は、クラウドファンディングで申し込み者の方にリターンとして配ることで、無駄な在庫をなるべく減らすように出来ました。それでも、最初に作った本は内容がかなり熱があるものになっているにも関わらず、レイアウトが雑だったため、とんでもなく在庫が残り、支援者が離れてしまった、という過去があります。それでも変わらず支援してくださる方や、ずっと応援してくださる方には、絶対にいい本に成長させて恩返しするしかないと思っています。
そして、雑誌作りの修行がしたくて、地元の印刷会社に転職しました。
そこで、デザインの勉強を1年近くしています。
インデザインやイラストレーターの勉強をしていると、最初に作った本がいかに知らない状態で動いたのかが分かります。
今、繁忙期で簡単には休められませんが、それでも一冊ごとに本のデザインが終わるたびに、よしよし、今度作る雑誌のレイアウトに活かせそうなことをまた一つ、覚えたぞ、と嬉しくなります。ただ、あまりにも残業がここ数週間は多く、自分でnoteを書いたり、作家として次の宣伝をするための準備をしたりということをやっていると、毎日午前2時や3時に寝ていることが多くなってきました。
その結果、疲労が蓄積していったんでしょうね。
僕の青写真では、自分の修行期間中に月額200円のnoteの「定期購読マガジン」や月額費が調整可能な「メンバーシップ」の会員さんが増えていて、ある程度暮らしの助けになっているだろうと、思っていたんですが、全く増えていない、という誤算がありつつも、こちらも僕の大事なクリエイティブの支えになっているので、続けています。
さて、水曜日の夜。
クラクラしながら家に帰ると、STU48の新曲が発表されていました。
既に聴いた方から「暗い!」ということは聴いていましたが、実際に聴いてみると、かなり奥行きのある作品だと思いましてね。
でも、もう既に体力的にかなり、厳しい状態でした。
頭はぼんやりしているけれど、曲を聴いて見えてきたことや、他の秋元康作品と並べることで、この曲の中にある「太陽」の使い方が、他の秋元康作品の解像度を高められるぞ、というところまでは、見えていました。
しかし、もう体力的にも限界が近くて、どこまでできるだろう、という状態でした。リポビタンDとか栄養剤を飲めばいいじゃない、という方。もう飲んでんのよ。ブーストかけてその状態だったのよ。急に「オードリーのオールナイトニッポン」の若林さんみたいな喋り方になりましたが、本当に気合で書くしかない状態だったんですね。
書き始めたんですが、核心にあたりそうな部分を探り探り書いているので、いつもよりも集中力が必要になってきます。瞼がどんどん下がってきます。さあて、どうしたものか。ふと、推しの五十嵐早香さんのアクリルスタンドが置きっぱなしになっていました。

みなさんは、推しのアイドルや好きなキャラのアクリルスタンド、略してアクスタを持っているでしょうか?
そして、それをどう使っているでしょうか?
僕は買ったことが無かったのですが、去年の推しの誕生日グッズとして、ECサイトで購入しました。しかし、その使い道が分からず、組み立てたまま放置していたんですが、「ああ、そうだ!」と思ってパソコンの前に置きました。
皆さんは、大江健三郎の「『自分の木』の下で」という作品をご存じでしょうか?
そのエッセイの中で、大江さんは、嘘をついてしまう人やいじめをしてしまう人の話を自分の体験を交えながら伝えます。自分も誰かを傷つけそうになった時、どうしたらいいか。びっくりするぐらい雑に説明すると、この人にだけは嘘をつけない、この人だけは裏切りたくないという人のことを思い浮かべる、ということを話していました。誰にだって加虐性の衝動は持っているかも知れないけれど、それを抑えられるのは、大事な人の存在であると。
映画好きの方は、「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」が思い浮かんだかも知れません。
イラストレーターのリリー・フランキーさんは部屋に松田優作さんのポスターを貼っていたそうです。わざと目が合う角度にして、自分がぬるい仕事をしていると、ポスターから「お前そんなんでいいのか?」と問いかけられえるような気がすると、あるNHKのドキュメンタリー番組でおっしゃっていました。
僕は、五十嵐さんのアクスタを置くと、文章を書くことに戻りました。
別に五十嵐さんのアクスタは喋りません、自分の中で都合の良いことは喋らせたくないからです。その代わり、こんなことを見て思いました。
今、ここでヘボい記事を書いたら、また自分の目標が遠くなる。
絶対に読者を増やす。
なんなら、定期購読マガジンの会員も増やす!
そんなことを思いながら、必死で記事を書いていきました。
久しぶりに、「自分はこういう記事が書きたいんだ」というものが書けました。
もう瞼が半分ぐらいしか開かないですが、それでも、ふと推しのアクリルスタンドを見ると、少しだけ満足感が増しました。
そうか、アクリルスタンドは、自分にとってはお守りだったのか。
そのまま机の横のソファで仮眠して、翌日の仕事に行きました。
自分の心の芯に推しを置くことで、僕はまだ頑張れる。
ものを言わない推しのアクリルスタンドから、今日も言葉ではない何かを受け取って前進している、怖いファンの話でした。
※その時に書いた記事
※僕のプロデビュー作です。まだ未読の方は是非。
いいなと思ったら応援しよう!
