「欅共和国2018」の感想ー記憶の断片と太陽ー
はじめに
※ こちらの記事は普段、坂道をあまり知らない( リトルトゥースなので『日向坂で会いましょうは大好き』 )48ファンが書いた記事です。勉強不足の点はご容赦ください。
前回の記事を読んでおくと、さらに楽しめるとか楽しめないとか。
さて、前回に続き、欅坂46知識が薄ーい僕が、欅共和国のBlu-rayをまた借りましてね。
どれぐらい知識が薄いかというと、こんな感じです。
僕「欅共和国2017、ありがとうございました。いやあ、『二人セゾン』の解釈がまた一つ広がった気がします。」
貸してくれた方「最初に言っておきますが…」
僕「はい」
貸してくれた方「山崎天ちゃんは、2018もいませんからね」
僕「ええええええええっ!!」
貸してくれた方「まだいないです」
僕「えええええええっ!」
危なかったですよ、本当に。
髪型が山崎天ちゃんっぽい子を探して「いやあ、天ちゃん良かったですよねえ」と「山崎天ちゃんが1期生として加入していた欅坂46」という謎時空を脳内に形成するところでした。MCU風にいうと「マルチバース」ですね。
これぐらいのレベルのやつなので、期待せずに読んでください。
夏の続きと太陽
今回のセットリストは、まず「危なっかしい計画」から始まるのが良いですよね。「欅共和国2017」のラスト曲だったこの曲を1曲目に持ってくることで、あの夏の続きが始まった感じがして、嬉しかったです。
そうそう、Overtureで現在の日向坂46メンバーがけやき坂として、モニターに映った時、「がんばれー」と何故か叫んでいました。出てくる順番だったり、人数も2018からは変わっていますね。
さて、話を戻すと、「危なっかしい計画」の解放感は、日常生活で色んなことがあってもこの「欅共和国」では全部解き放って騒ごうという感じがして好きです。
続く、「サイレントマジョリティー」は、同じく始まりを意識させられる曲ですよね。カメラワークは2017の方が好きかも知れません。
そして、スタート3曲の目玉は「世界には愛しかない」だと僕は思います。
美しい太陽とメンバーたちの放水により生まれる虹。
野外のコンサートならではの美しい光景が広がります。
2017でも書きましたが、ダンスが曲のヴィジュアライズ化だとしたら、今回のコンサートではメンバーの身体性だけではなく野外という環境や放水機という機材も利用して、曲の世界観を表していて、本当に多幸感あふれるコンサートになっていたと思います。
また、2番で自分の歌割がないところでの平手さんの表情がカメラに抜かれるんですが、何気ない視線の動きやしぐさで曲の世界を表現しているのにも驚きました。ちゃんと曲の世界に没入して表現しているんだなあ、と感じます。
そして、ユニット曲ブロックでは、僕が欅坂46曲の中でも1、2を争うほど好きな「青空が違う」が4曲目で披露されます。もうね。「やったあ」と叫んでしまいました。多分、コンサートに行っていても叫んでいたと思います。2017と比べると、向日葵を持って踊っていることも挙げられるんですが、なんと行っても野外に広がる青空ですよね。
曲中で主人公の心情の変化とともに青空の印象も変わって行く、まさに「異化」のお手本のようなこの曲なんですが、2018では曲終わりのメンバーたちの表情( 特にトートバックを肩にかけるふりつけのところ )が凄く良いのでおすすめです。メンバーの間を飛んでる泡が白い雲みたいで、また良いんですよ。
そして、野外ステージを活かした「バスルームトラベル」( 歌詞がかわいいんですよ、また )を挟んで、「僕たちの戦争」。最初の頭を付け合う振り付けが好きなんですが、野外コンサートの盛り上がりとメロディの音の賑やかさの相性が良くて、この辺りはずっと楽しく見ていました。
そこから、「制服と太陽」ですよ。
丁度、夕日のオレンジとメンバーたちの衣装にほんのりとかかるオレンジの照明が良くて、聴きながらまさに2番の歌詞あたりの時間はこんな感じなんじゃないかな、と感じました。ますます、僕はこの曲を好きになりました。最後の指差しもなんとなくマスターしましたよ( どこで披露する? )。
さて、そこから歌詞の世界観が好きな「バレエと少年」、自転車と風船と長濱ねるという可愛さの結合乗法の「100年待てば」。どっちも良かったですね。
そして、ひらがなも加えた「太陽は見上げる人を選ばない」。
歌詞の中に出てくる「この場所が好きだから」という歌詞が、「欅共和国」の場合、また特別な意味を感じます。歌詞の世界は朝焼けをイメージさせるものなんですが、夕日とも似合うなあ、という発見もありました。
一旦、欅坂46がはけて、そこからけやき坂メンバーによる曲の披露になっていきます。ここでは「期待していない自分」、「誰よりも高く跳べ!」、「NO WAR in the future」とまさに盛り上がるための曲を詰め込んできた感じで、短い時間の中でいかにインパクトを残すか、という気合いが伝わってきます。それから、観客席も2017よりもウェルカムムードを感じました。髪が長かった頃の松田くんとか、富田くんが新鮮でした。
前髪よりも東京タワーよりも
再び、欅坂46に戻ると「風に吹かれても」のスーツ衣装で「東京タワーはどこから見える?」から「夜の部」が始まります。「昼の部」が解放感や優しさを感じる曲が多めだとしたら、「夜の部」はそれぞれの曲の主人公の内面の葛藤が描かれた曲が並んでいたのではと思います。
そして、この「東京タワーはどこから見える?」なんですが、秋元康が描く東京の風景の中でも、一番好きな曲です。欅坂46の「答え合わせをした未来」を既に知っている状況でこの曲を聴くと、様々な人達の「記憶の断片」の中に欅坂46があって、時には「東京タワー」のように幻かも知れませんし、「抱きしめてた君」のように確かなものかも知れません。
この曲の歌詞って「前髪を切った」ような細かい点はよく見えているんですよね。カメラでいえばズームしている。それに対して、東京タワーという遠くの建物も見えている。でも、「愛」という移ろいやすいものや「君」という近くにいる人とはピントがあっていなかったのが悲しくてですね。
もう出来ることは、真実よりも美しく記憶を補正していくという編集作業だけ、というのが凄く切なくて好きな曲です。
映像的な読解のアプローチですが、このBlu-rayを見ている時、何度もこの曲の歌詞が思い浮かんだのは、やはり、未来を知っているからでしょうか。
さて、イントロが相変わらず最高すぎる「エキセントリック」、途中の3人になっての中央ステージでのパフォーマンスが印象的な「AM1:27」、歌詞が好きな「語るなら未来を」をと来て、本編ラストの「風に吹かれても」。
これがまた気持ち良いんですよね。
曲が終わってしまった時の体感としては、「あれ?もう終わり」というぐらい楽しい時間でした。
アンコールを挟んで、「二人セゾン」から曲が始まります。
この曲の素晴らしさは「2017」の感想に書いたので、そちらをご一読いただければ幸いです。
続けてきたのが、「キミガイナイ」。
これもまた、夜の野外とあっていて、メンバーのバックのモニターには星空が映っていました。曲中に空を見上げた方も居たのではないでしょうか。暗思黙考の中で「キミ」の大切さを再認識する素晴らしい曲です。
そして、「もう森へ帰ろうか?」。
これも夜の野外と合ったしっとりとした曲で、まさに今、帰る先の「森」という「共和国」にいるのかな、とふと連想しました。
アンコールラストは「ガラスを割れ!」。
紅白歌合戦の「ガラスを割れ!」の印象が、僕は強いのですが野外バージョンもカッコ良いですね。
ダブルアンコールの「アンビバレント」は、今回が初披露だったということを貸してくださった方から伺ったんですが、初披露とは思えない盛り上がり!
ライブのセットリストで考えると、こんなに1曲目とラスト夏の過ごし方が違う人がいるのか、と思うんですが、それぞれ「昼の部」と「夜の部」を象徴するような曲を持ってきたな、と思います。行動や解放感が伝わってくる「昼の部」に対して、一人の人間の内面世界が中心の「夜の部」というのがよく伝わるセットリストでした。
おわりに
いやあ、「欅共和国2018」も凄く面白かったです。
メンバーたちの笑顔も素敵でしたし、メイキングを観ると観客だけでなくメンバーたちにとっても夏の大事な思い出なんだなあ、と考えました。
残念ながらこの頃、僕はAKB48総選挙2018という年に1度の全面戦争、「NO WAR in the future」と真逆の世界を名古屋ドームで終えて、色々とザワザワしていた頃でした。
残念ながら、この時間を共有したという記憶はありません。
だから、現地組もTwitterのタイムラインなどの文字席組の方も羨ましい限りです。この幸せな記憶を遠い未来からでも触れられたことに感謝です。
あなたにとっての欅坂46がどんな存在なのか、ひょっとすると、「東京タワーはどこから見える?」のように、美しく補正した何かなのかも知れませんし、悲しくなるぐらい残酷な何かなのかも知れません。でも、一つだけ言えるのは、確かに2018年の夏、最高に熱い空間が富士急ハイランドにあったということです。
「欅共和国」という花が開いた「2017」を春とするならば、「2018」は、まさに夏を感じさせる素晴らしいコンサートでした。
今年のフェスでも、多くの方に新しい夏の熱い記憶が生まれますように。
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