未来で待っている
2019年4月21日。
あるメンバーが活動の休止を発表します。
彼女の名前は菅原茉椰。
SKE48のドラフト2期生です。
彼女は、2015年のSKE48のチームEがドラフトで獲得。
同年8月31日に行われた松井玲奈の卒業公演にもバックダンサーとして出演、2015年11月25日発売のSKE48の派生ユニット「ラブ・クレッシェンド」の僅か7人の枠に選ばれ、2016年3月30日発売の「チキンLINE」で初選抜。しかし、そこから暫く選抜からは離れ、2018年1月10日発売の「無意識の色」で選抜に復帰します。SKE48の10周年という記念すべき年の始まりを告げる曲で選抜復帰した彼女は、このグループが再起するために重要なファクターになるのではないか、と考えさせられました。
同年の「いきなりパンチライン」での大人っぽい曲調との相性の良さ、「Stand by you」でのチェックのロングスカートの衣装が映えるスタイルと、この年はリリースされる作品作品で彼女の魅力を発見させられることが多かったです。個人的な体験になりますが、「Stand by you」のリリース時に大阪のTSUTAYA戎橋店にSKE48のメンバーが来ることがありました。この時観た菅原の笑顔がとても素敵で、彼女がいるだけでメンバーやファンの方の幸福度が上がるんだろうな、と感じました。
※くわしいレポートはこちら!
栄、覚えていてくれ SKE48の曲と映像の魅力: 2018年12月11日 TSUTAYA戎橋店 お渡し会 イベントレポート (oboeteitekure.blogspot.com)
菅原の目を細めて「んー!」みたいな顔で美味しい物を食べる笑顔なんかも好きですし、「ストレートな純情」などで見せる静かな表情も素敵な彼女ですが、次作の2019年7月24日発売の「FRUSTRATION」では、活動休止期間に入っていたため、選抜から外れてしまいます。それから彼女は、約2年間選抜から外れます。
ちなみに、彼女が活動休止を宣言したのが、2019年4月21日。活動を再開したのが、同年の8月18日。数字にしてみれば約4か月の休養かも知れません。ただ、この文章を書いている私はSKE48の10期生、五十嵐早香を推しているので、推しが活動を休止している間の時間の長さは、もの凄く長く感じました。
SKE48に帰ってきた彼女は、選抜にこそ選ばれることはなかったものの、活動を続け、「ああ、やっぱり菅原がいるチームE、SKE48っていいな」と思わせるのと同時に「彼女がもう一度選抜に選ばれる可能性は?」と考えさせられました。
なにせ、彼女は2018年の最後の総選挙では29位にランクインしましたし、同年のAKB48の「NO WAY MAN」の選抜にも選ばれていました。ファンの方々からも運営からも「この子には何か期待できるものがある」という実績だったのではないか、と思います。
さて、それではここまで色々な人を惹きつける菅原の魅力とは何でしょう?
ルックスやスタイルの良さがあるかも知れません、僕も後藤楽々や谷真理佳と一緒にふざけている様子とか大好きです。でも、彼女の魅力の芯にあるのは、人柄ではないか、と思います。
2019年1月10日に行われた菅原の生誕祭(活動を休止する前の生誕祭です)。
その時に読まれた須田亜香里が書いた手紙が、ヒントになりそうなので読んでみましょう。
「菅原へ
誕生日おめでとう。
須田さんです!
今日一緒にお祝い出来ないのが寂しいけど、ファンのみんなへのサプライズプレゼントにするって張り切っていたおニューの髪型でキラッキラに輝いていることを心から願っています。
菅原の第一印象は自分のことよりも仲間を大切にする子、です。だって菅原、ドラフト候補生の中でめちゃめちゃダンスが下手なのに、他の悔しくて泣いている子につきっきりで慰めているんだもん。
普通なら人にかまっていられるほどの余裕もない状況で、しかもライバルだらけの中で優しさを当たり前に周りの人に注いでいる姿を見た時に「魅力的だな」って思いました。
そして、菅原はたくさんのチャンスとタイミングに恵まれたり、恵まれなかったり、とにかく壮絶なSKE48人生を送ってきたよね。
でも、表からは恵まれているところのほうがやっぱり注目されがちで、処理しきれないほどの思いと戦いながら、ここまで来た姿を見てきた。
だから、そんな菅原が去年AKB48の「NO WAY MAN」の選抜に抜擢されたこと、これは本当に凄いと思った。
もちろん、悔しさを感じたメンバーもいたと思うけど、選ばれたのが菅原だったからこそ、みんなもその気もちを刺激に変えて頑張れているんだなと思う。
歌番組の空き時間にはたくさん一緒に出かけたね。なかでも印象的だったのはスカイツリー。私がなんとなく思いついて修学旅行に行こうと誘ったら、菅原がめちゃめちゃ喜んで、子供みたいにはしゃいでくれた姿が忘れられません。嗚呼、この子はSKEのために色んなものを我慢して頑張ってきたんだなってジーンとしました。
そんな「NO WAY MAN」のリリース期間が終わったけど、あの場所に堂々と違和感なく、しかも祝福されながら存在した自分に自信を持ってね。
まさか、これでAKB選抜の期間が終わったなんて思ってないよね?
例えゆっくりでも、時間はかかっても選抜常連になろう。
それから、どんなに振りが難しくても、端だからあまり映らなくても、忙しすぎる時だってあったけど、弱音も不満も言うことなく、本当によく頑張った。そこも菅原の凄さと信頼される理由なんだろうね。
チャンスが巡ってこない怖さも知っていて、選ばれるプレッシャーも知っている。そんな菅原の器の大きさを近くで見られて私も凄くパワーをもらいました。ありがとう。
それから、菅原にとってファンの方の存在が凄く大きな支えだってこと。それをわかっているからこそ、菅原はいつも「これをしたら菅原のファンの人はどう思いますかね?」とじっくり考えたり、相談してくれるよね。
今回、髪を切るという大きな変化に挑戦した菅原を、変わらず愛してくれる人がいることで、菅原のビジュアルだけじゃなく、中身も魅力的だと思ってもらえることを再確認して、これからの一歩の自信にしてね。
菅原がMCで一緒になった時の安心感、私は凄く感謝しているよ。
菅原がいるSKEが好き。
改めて宮城県から愛知県に来てくれた菅原の決意に感謝しています。
たまにブスとか言ってくるけど、本音じゃないこと分かってるよ。
可愛くて頼りになるチームEリーダー須田亜香里さんより。 」
当時の菅原の置かれていた状況、そして、彼女の魅力として、「ライバルだらけの中で優しさを当たり前に周りの人に注いでいる姿」とだーすーは表現していますが、まさにその通りで、彼女のメンバーへの優しさは、素晴らしいものがあります。
アイドル、しかも48グループという競争社会において、個人戦が主流になりつつある中でのこの姿勢は貴重だと思います。
そんな菅原の人柄が伝わる手紙を2通ほど続けて読んでみたいと思います。
まずは、2018年2月16日に同期である一色嶺奈に送った手紙です。
「嶺奈ちゃんへ
16歳の誕生日おめでとう。
初めて嶺奈ちゃんにお手紙を書くので緊張しています。
嶺奈ちゃんとは第2回ドラフト会議で出会いましたね。
バイトAKBと聞いたので『この子踊れる子だ』って思ってたけど、なかなかダンスが踊れなくて、ずっと3軍で頑張ってきたよね。
そんな嶺奈ちゃんが東海テレビのスタイルプラスさんで『Escape』を踊っているのを見て嬉しかったし、自分も負けてられないなって思えたよ。
なんか、自分も踊れないけど、嶺奈ちゃんがだんだん踊れて行く姿を見ると嬉しいよ。
去年の選抜総選挙の速報で嶺奈ちゃんの名前が呼ばれた時は嬉しいと思う反面、悔しい、負けたくないって思ったよ。
嶺奈ちゃんはよき仲間であり、成長し合える関係、ライバルだと思います。
一緒に関西コレクションに出たり、一緒にダブルセンターしたり、一緒にラブ・クレッシェンドに入ったり、『Passion For You』のファッションCM選抜で1位になったり。
ファッションCMのことで悩んでて相談してくれたけど、最終的には自分の意思でやるっていることをちゃんと決めて、「嶺奈ちゃん!」ってなったよ。
嶺奈ちゃんは自分がしたいこと、意思をハッキリ言えばいいし、周りの目を気にせずにアイドルをやってほしいです。
そばには嶺奈ちゃんのたくさん思いを受け止めてくれる優しいファンの方がいます。嶺奈ちゃんのことが大好きな人たちしかいないから、周りの目とか凄く気にしちゃうかもだけど、ファンの方もいるし、菅原もいるよ。
そんな人がいたら菅原がボコボコにします。できるかわかんないけど。
マジ、誰目線?って思うかも知れないけど、のびのびSKEを楽しんで欲しいです。
Twitterのテンション高い嶺奈ちゃんがステージでも出るぐらい。SKEを楽しんでやってほしいです。
どんな嶺奈ちゃんでもみんな好きだよ。
いつかまた嶺奈ちゃんとダブルセンターができる日がくることを願って、これからも頑張りたいと思います。嶺奈ちゃんも頑張ってね。
今回お手紙を書かせてくれた生誕委員の皆さん、最後までお手紙を聞いてくださった皆さん、ありがとうございました。
嶺奈ちゃんの16歳の1年が素敵なものになりますように。
改めて誕生日おめでとう。大好きです。
P.S.
自分の誕生日忘れないでください。
SKE48チームE 菅原茉椰」
繊細なひゅーさんのことを思って書いた言葉から、菅原の声が聞こえてきそうな文体。先ほどのだーすーの手紙に出て来る、自分もダンスが踊れないのに仲間のことを思える彼女の優しさを感じます。菅原とれなひゅーのダブルセンターも、もっと見てみたかったですね。
もう一通、菅原の優しさが分かる手紙があります。
2021年1月27日に行われた白井琴望の卒業公演で読まれた手紙です。
「 こっちゃんへ
卒業おめとうございます。
まさか自分より先に卒業すると思わなかったし、永遠にアイドルでいると思っていたので悲しいです。
卒業発表してから今日が来るまでの時間が長くて、本当に卒業するのかなって思ってたけど、この手紙を書いてて今日一緒に公演に出て卒業することを凄く実感しています。
可愛い妹みたいで、隣にいてくれたこっちゃんがもういないんだ、家族ぐるみでよくご飯とか遊びに行ってたのがもうないんだなって。
実際ここまで仲良くなるとは、本当に思ってなかったです。だってSKEに入るまではちゃんと喋った記憶ないし、ご飯とか食べた記憶ないです。
でも、こっちゃんのことはオーディションの時から覚えています。オーディションからすごくアイドルだな、気合が他の人と違うってめっちゃ思ってました。
確かオーディションの3次審査が一緒で、歌唱審査の前にこっちゃんが歌い始めたと同時に動きだして、端から端まで使って踊って審査会場が一気にステージみたいになったことがめちゃくちゃ印象に残っています。
オーディションからのプロ意識が凄くて、ドラフト受かってからもそのプロ意識が途切れることなく、最後まで駆け抜けててかっこよかったです。
常に自分にストイックで、自分を覚えてもらうために、ファンの人に喜んでもらえるようにたくさん考えてアイドルしてたよね。
それって本当に凄いことだし、難しいこと。
SHOWROOMで毎日アイドルをして、でも毎日違うことをして。パンダをジャグジーで洗ったり、とびかかったり、15時間連続でSHOWROOMをしたり、色んな工夫をして毎日ファンのことを楽しませてたよね。
ファンの人以外でも話題になってたりして、発想力が他の人と違うから色んな人に見てもらえたと思います。
YouTubeもそうです。自分にはそれをやろうというのがなかったので、新しいコンテンツを使ってアピールしたりして、自分の道を切り開く姿が年下とは思えないぐらいカッコ良いと思いました。それにこういう仕方もあるんだなって、たくさん気づかせてくれました。
表では凄くキラキラしたアイドルだったけど、裏ではつらい思いもたくさんしてきたと思います。
これから言うことは失礼なことかもしれないけど、許してください。
こっちゃんはどちらかというと、運営から推してもらえるタイプではなく、自分からチャンスを掴み、自分で何かをして推してもらう努力型タイプだったと思います。
その努力は色んな面で発揮されてて、「Passion For You」で自らゲームに取り組み、ファンの人と親身になってCM選抜に4年連続で入ったり、SHOWROOMをして更にパンダキャラを知ってもらって、それで「有吉反省会」に出たり、じゃんけん大会で3位になりソロ曲をゲットしたりして、自分から推してもらう機会を作って行ったと思います。
自分的には、こっちゃんの頑張りに対して全てが報われる結果にはならなくて、もっと評価されてもおかしくないと思ってました。
でも諦めずに最後まで信念を曲げずに突き進む姿にファンの人は心をつかまれ、応援する人がたくさんいたし、先輩後輩関係なく全てのメンバーが尊敬し、憧れてました。
これからはアイドルの道から離れるけど、今までのアイドル生活で経験してきたことは、これからの人生にも活きることなので、どうかそのままのこっちゃんでいてください。そして、今まで通りに菅原と仲良くしてください。
色々と収まったら、宮城にも行きましょう。
今まで本当にお疲れさまでした。そして、本当にありがとう。
大好きです。
P.S.
お手紙を書いている時に出会ってしまって、サプライズじゃなくてごめんね。
SKE48チームE・菅原茉椰」
こういうブログを書いているとメンバーの魅力について書くことが多いんですが、こんなに的確なこっちゃん評はなかなか無いんじゃないでしょうか?
宮城から出てきた彼女に、優しく接してくれた白井家の皆さん。
僕らファンが知らないこっちゃんの姿も沢山みてきたかも知れません。
そして、近くにいたからこそ、より鮮明に見えるこっちゃん像。
これだけ、人のことが見えているからこそ、人に優しくできるんでしょうね。
彼女は、2019年4月30日のアメブロに「Stand by you」選抜として最後のブログを更新します。
少し寂しいですが、また帰ってくるという彼女の気持ちを感じる文章ですね。
復帰後の彼女の活躍については、また時を改めて触れたいと思いますが、復帰した彼女は選抜に入らないものの存在感を公演やイベントで示し続きます。
そして、「あの頃の君を見つけた」での再選抜。
※思えば「無意識の色」で再選抜になった時のブログも印象的でしたね。そして、選抜落ちしても優しさを感じる「チキンLINE」のブログも。
先日の追加情報の配信での菅原の叫びが忘れられません。
「あの頃の君をみつけた、あん時に私は言ったんですよ。お前は選抜に戻れる。そしたら、戻ってこれました!みなさんのおかげです!ありがとうございます!」
2019年の4月30日の菅原は、この未来が見えていたのか、信じていたのか、それは彼女にしか分かりません。でも、それだけの実力を彼女は持っていました。
2度目の選抜復帰はSKE48の歴史の中でも珍しいのではないでしょうか?
そして、一度は選抜から外れてしまったメンバーの希望にもなります。
今、活動が辛くて休養をしたいと思うメンバーの未来への不安が、少しだけ軽くなるとも思います。
今のSKE48の状況は決して良い状況とは言えません、コロナによる影響だけでなく人気メンバーたちの卒業もありました。しかし、若いセンターへのバトンタッチや新しい形のファンの方々との交流の形も模索しています。きっと上手くいくことばかりではないでしょう。
そんな時、ファンやメンバーの心を癒してくれるのが菅原の優しさや洞察力かも知れません。彼女がいる組織の空気は違うと僕は思います。これまで挙げてきた彼女の本質とポテンシャルを知っていれば、今回の選抜復帰は納得のものだと僕は思います。
また、全国放送の音楽番組で菅原の雄姿が見られることを願ってこの記事を終えたいと思います。