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STU48「地平線を見ているか?」から考えるこの曲の新しさと秋元康文学における「太陽」の役割について



影が美しい日本家屋の中で


 本日、2025年1月15日21時。
 STU48が最新曲「地平線を見ているか?」のMVが公開されました。
 まあ、まずは公式MVを観てくんなんし。


 MVが始まった時は、「な、なんだ、この福山雅治の『誕生日には真っ白な百合を』みたいなMVは」と思っていたんですが、今回もSTU48のMVならではの美しい景色をみせてもらいましてね。特にあの岡山県の倉敷にある国指定重要文化財・旧野﨑家住宅での映像は何度も観たくなる美しさですね。

※福山さんのこの曲も大好きなんですけどね。こっちは、恋人じゃなくて母親に向けた言葉なんですけどね。

 

 さて、このMV。とにかく日本映画好きなら「ツァー!上手い!」と叫びたくなるカットが多いです。
 めちゃくちゃ、技術のある照明さんが担当されていませんか?
 日本家屋の暗さを殺さずに影と光をどっちも画面の中に置ける画作りは、上手い!となります。
 あと、引きの画が全部いい。
 なんなら引いていく画もいい。
 1番のサビ終わりで「会わずにいよう」の少し辛そうな顔の曽川咲葵さんの画が決まって、「ああ、旅立つ決心をしたんだな」と分かって、そこから両側から見送られるように歩いていくところ。めちゃくちゃ好きで何度も観ています。
 あと、0分23秒で本を持ってらっしゃる方は誰でしょう?もう佇まいが絵になる。もちろん、今回も中村舞さんは静謐な美しさに満ち溢れていましたね。特に1分25秒のあたりが好きです。
 そして、なにより、3分50分頃から、昔のことを思い出して、ふと「地平線を見ているか?」を口ずさみ、青空の下で踊るシーンへ。ここの振り付けが切ない。小指を立てる振り付けや、曽川さんを慰めるような振り付け、彼女以外はみんなが手を挙げゆっくりと下げるところ、それは何かの始まりとも終わりともどれも心が熱くなりました。
 こんな感じで細かい好きな点を上げていくとキリがないんですが、STU48のMVって、どこか違うところに旅行に出かけるような味わいがあります。今回は、その感じに曲が持っている遠くにいる誰かを思う気持ちが乗って、MVに映っているメンバーの視線もどこか遠くを見ているようなカットが多いですね。

この曲の世界で夢は叶うのか?

 歌詞の世界を見ていくと、田舎を飛び出して夢を追っている主人公は、夜中にコーヒーを飲みながら沈思黙考します。そして、自分たちの夢である「太陽」が昇る方角である「地平線」を見ているか?と問いかけます。言い換えれば、同じ方向を僕らは、まだ見ているか?という問いかけとも取れます。しかし、そのもうすぐ太陽が昇る「未来の空」を邪魔するものがあります。そう、それは「思い出」です。どうしても、思い出が邪魔をして会いたくなってしまう、帰りたくなってしまう。だから、夢が叶うまでは会わずにいようと恋人に告げます。
 ううむ、なんとストイック!と思ったら、2番ですぐにビデオ通話してる!心を何に喩えようと言った、5秒後に鳥のようなこの心って、たとえるぐらいすぐにビデオ通話してる!
 でもまだ夢を叶えてないから会えないんですよね。
 挫折しながら、みんな大人になるって、大人になるってどういうことなんでしょうね。たとえば、綺麗事で終わらせるようなことでしょうか?はい、STU48好きの方はある曲が思い浮かんだかも知れませんが、それはまた後で。
 美しい夜明けを見て、希望を抱き、もう少し頑張ることを心に決めます。
 いつか恋人を迎えにいけるように。
 皆さんは、この曲の主人公の夢が叶うと思いますか?それとも叶わないと思いますか?どちらの立場で聴くかで、味わいが全く変わってきますよね。凄く奥行きのある曲だと思います。
 いやあ、めちゃくちゃ良い曲きましたね。
 曲調的に、上の世代の人が口ずさんでも恥ずかしくないんですよね。瀬戸内の港町とかで流れてたら、漁港のじいちゃんとかが口ずさんでたら、味があるでしょうね。賞味期限が凄く長そうな曲が来ましたね。
 SKE48ファンとしては、嫉妬するぐらい羨ましい。

今回の曲の新しさ

 
 STU48の曲の魅力として、都会と田舎があります。
 曲の主人公は、都会で田舎を思い出したり、田舎で都会にいる誰かを思い浮かべたりします。
 たとえば、1stシングルの暗黒は夜にじっと次の朝を待つ地方の「僕」の心境を書いています。その中では都会にいる「友」も出てきます。その「友」は「窓しか見ていない」。そして、曲の主人公は「泣き言」を誰にいえばいい、と嘆きます。
 「地平線を見ているか?」は「暗闇」の正反対の場所で世界を作り直した作品と言えるかも知れません。「暗闇」の「友」の歌なのかは分かりません。
 ただ、「大人になること」への抗いや「水平線」を「今いる場所」と見ていることからも、「地平線を見ているか?」が、まるで返歌のように見えます。

 ただ、一つだけ違うのは、主人公が待たせている側の人間ということです。STU48の2stシングルで「風を待つ」という曲があります。この曲の主人公は都会に行った「君」を乗せた船が来るのを「岬」で待ちます。ちなみに、この曲でも日差しが希望の象徴ですよね。

 これまで秋元康の曲で都会に行った恋人を思ったり、会いに行く曲はありました。たとえば、欅坂46の名曲「青空が違う」ですね。「私」が田舎から出て、都会で頑張る「あなた」に会いに行く歌詞です。秋元康の歌詞って物語性があるものが時々きますが、これはまさに典型的なものですね。
 ちなみに、この曲でもやはり、太陽がある位置を教えるある花の種が希望の象徴として登場します。僕がこの曲の好きな点として、異化効果が曲の中で起こっている点です。同じ青空でも来た時にみた「青空が違う」という言葉と最後の「青空が違う」という言葉の持つ意味が少し違って感じるからです。

 話が広がっていきましたが、まとめると、「地平線を見ているか?」の斬新な部分は待たせる側の主人公がSTU48の世界に現れた、ということです(もういたらゴメンナサイ)。そして、この曲と並べることで、「暗闇」がまた違った響きを持つこと。
 そして、「青空が違う」と並べてみることで、秋元康の歌詞における「太陽」は希望の象徴として使われることが多いことが見えてきます。多分、「青空が違う」の主人公は大事に育てて、夢を叶える気がするんですよね。
 じゃあ、「地平線を見ているか?」の主人公はどうでしょう?
 夜明けまで苦いコーヒーを飲みながら、待ち続けること。
 それは夢が叶う太陽が昇るまで人生の苦渋を耐え続けることかも知れません。諦めて大人になるか?それとも…。
 みなさんはどう思いますか?


そんなことより、甲斐心愛ちゃんってかわいいよねえええ!!(去年プロになった人間の文章) 


 いや、もういいんだよ、日本とか。
 もう、甲斐心愛ちゃんのためにクランプールに移住して、応援しなければ。マレー語も覚える覚悟ですよ。くふ、くふふ。
 いや、待てよ。
 甲斐心愛ちゃんの可愛さにうつつを抜かして、自分の文筆をおろそかにしていたら、多分、こうなるぞ!

 はあ、はあ、危なかったぜ。
 マイホーム選びは慎重に。
 ちなみに、僕のSTU48の推しは兵頭葵さんです。
 シングル初選抜おめでとうございます。
 宇和島の片隅から応援しております。
 一つ、また目標を達成した兵頭さん。
 次はどんな場所へ向かうのか、楽しみにしています。


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栄、覚えていてくれ
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