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SKE48を更新した日 第4回チームE編

はじめに~デジタルリマスターについて~


 皆さんは、「デジタルリマスター」という技術についてご存じでしょうか?
 びっくりするぐらい雑に説明すると、映画はかつてフィルムで撮られてきました。
 撮影したネガを現像して上映用にプリント、そうすることで初めて映像として観ることができるようになるわけです。そのフィルムを映画館で再上映やDVDで発売する際にデジタルデータに変換する方法を「デジタルリマスター」といいます。
 先日、発売された春日太一さんの「ヒット映画の裏に職人あり!」の中で、東映ラボ・テックのベテラン技師である根岸誠さんへのインタビューが収録されています。 


 根岸さんはデジタルリマスターについて、もともとフィルムには膨大な情報が記憶されていましたが、20年前ぐらい前まではその情報量をデジタル再現できるほどの機器がなかったそうです。テレビとかで問題なく再生できたらいいじゃん、というぐらいだったんですね。
 しかし、技術の進化とともに徐々にフィルムの情報量にデジタルも追いついてきたそうです。この辺りは、目から鱗で、僕のような素人はデジタルの方が情報量多いでしょう、と思っていたんですが、フィルムの方が情報が多く。根岸さんはデジタルは0か1かの世界なのでその画と画のつなぎめ、段差のようなものがいかに細かいかで画質が変わってくるので、「階段」とたとえています。はっきりしているわけですね。それに対して、フィルムはアナログなので、「坂」であると表現しています。坂なので、段差が見えにくい。なめらかなものである。それをどうやってデジタル化していくのが重要だそうです。
 そういえば、DVDのデジタルリマスターが出始めの頃と、近年の4Kだとまた色合いが違いますよね。根岸さんの表現を借りると「段差」が分かりにくくなっていると思います。

※すんごい分かりやすい「犬神家の一族」の画像の違いを。もうね、何回観ればいいんでしょうね、この映画。市川崑ファンですけど。「青沼静馬だ!」

 

 根岸さんはデジタルリマスターの考え方として二通りの考え方があるといいます。
 一つは当時の色合いを可能な限り再現すること。「7人の侍」の4K版とか凄かったですね。
 もう一つは、当時作ったものを現代の観客に気持ちよく観てもらえるようにすること。
 どちらのアプローチをするかは、DVDメーカーや映画会社の方針によって決めるので、根岸さんたちは決められません。ただ、どっちのアプローチでも対応できるように上映用のプリントをしっかりと観る必要があるそうです。しかも、このプリントも年が経つごとに色が劣化していきます。時にはもともとの色を想像しながら作っていく必要もあるわけです。
 フィルムに現像されて何年経っていて、どれぐらい退色がしているか。
 いやあ、大変。しかも、もっと大変なのが若い技術者の方々はアナログに触れずに入ってくることもあるので、最後の判断は60代以上に任せざるを得ないということにもなるそうです。ううん、これはキツイ。かといって、当時のままデジタルリマスターしたときに、白黒映画などは「画が硬く」なりすぎて、当時の方では馴染みがあっても現代の方には馴染まないという仕上がりになっては困るので、若い方の意見も大事なんですよね。
 ちなみに、もっと細かい話をしていくと、フィルムは減色法でデジタルは加色法という違いがあるのですが、いったん、ここは置いておきます。
 この本の中で、ここまで違ってくると、映画をどのバージョンで観たのか、ということが重要になるのでは、と指摘します。
 それに対して、根岸さんは同じ作品でもバージョンによって受ける印象が変わってくるのは悪いことではない、それだけ作品がもともと持っているキャパが大きいので良いことだと語ります。色々な技術に対応できるように撮ってあるのだからと。あとは、監督やカメラマン、照明技師や音響スタッフが最高の環境で作ったものを自分たちがどれだけ再現できるかだと。

 僕はここまで読んで、「これって、なんかSKE48にも通じるよな」と思いました。
 たとえば、劇場公演は作詞家や作曲家が生んだ楽曲をもとに振り付けしがその世界をヴィジュアライズ化します。そして、その意図をメンバーたちが理解して踊り、初めて公演は完成します。自分のポジションでなく、他の人のポジションに入る時は、そのポジションがどんなものか理解する必要があります。更に、オリメンが卒業して、自分が次の担当になった時、オリメンの作ってきた世界を引き継いでいくのか、それともブラッシュアップしたものを見せるのか。
 もっとカメラを引くと「SKEらしさ」の質感を分かっているメンバーがいるうちにどう次の世代に引き継ぐのかが重要になってくると思います。

本題~チームE「声出していこーぜ!!!」相川暖花生誕公演について~

 
 さて、色々な事情でSKE48の公演から離れていた僕ですが、近頃はSKE48の解像度をもう一回上げていかなければと思い、この「更新した日」連載を続けております。今回はチームE公演編です。森本くるみさんの生誕と迷ったんですが、新しい方をということでこちらを選びました。

貴方へ~声出していこーぜ!!!

 この日は、センターの熊ちゃんこと熊崎晴香さんが休演で代わりにまーやんこと菅原茉椰さんがセンターを担当しています。まあ、これが凄くてですね。1曲目の「貴方へ」のAメロでのまーやんセンター、両サイドに前作までのセンターのおーちゃんと現在、林美澪ちゃんのポジションを多く担当するゆうかたんを持ってきた布陣。かつて、7D2にSKE48の未来を夢見た世代にはたまりませんよね。層が厚い。ちなみに、1曲目の「貴方へ」ですが、川村優愛さんのステップの踏み方やリズムの取り方に目がいきました。決して目立つポジションではないのに、目が行くのは凄い!!
 2曲目の「単推しシンドローム」ですが、始まった直後のおーちゃんに注目してみてください。公演初日から何度も表現することでこの曲を捕まえられてるな、というのがうかがえます。曲のスタートの温度はこれぐらいからですよね、という感じでしょうか。更にれお様の魅力もこの曲では爆発します。この並びもいいですね。あと、2番の「わたしカラーのペンライトで」のところが本当に楽しそうで観ているこちらの幸福度も上がります。観てる人が何故か嬉しくなる表現が出来るのって素敵。
 3曲目の「誰しもいつか止まる心臓を」は、間奏の劇場のひな壇のような段差を利用したフォーメーションが好きなのですが、その後の2番でほののと一緒に歌うさんちゃんの笑顔が良かったですね。そして、斉藤真木子さんの浮遊感というか、こんな目線がいくステップ。だれか引き継いでほしいです。
 4曲目「声出していこーぜ!!!」は、赤堀君江さんが印象に残ってましてね。この公演とめちゃくちゃ相性が良いのでは、と観ながら思いました。そして、大サビ前のさとかほのコーラスがやっぱりいいですね、笑顔なんですが切実さがあるというか「歌いきってくれ!!」と思いながら観ました。
 

ユニット曲 Revolver~ねえ 横浜のあの子を好きになっちゃったの?

 ここからは、ユニット曲になります。
 「Revolver」に関しては、やはり、斉藤真木子さんの強さ、れお様のセクシーさをこれでもかとぶつけられるんですが、ゆうかたんの新しい一面を見せてもらった気がします。
 次の「釘付けwink♡」は、声が少しかすれた状態でほののが頑張って歌っている姿に心を動かされました。歌いながら、観客に頷いたりするさんちゃんにはこの曲の余白の部分というか、何かを挟んでいい部分を見つけられていて、流石、と思いました。あと倉島杏実ちゃんがどれぐらい可愛いかという話になりますが、以前、1万字ほど書きましたが、今回、彼女の声のクリアーさについて発見がありました。また公演の合間合間の両手ハート入れるタイミングの最高さとかもいつか書きたいと思います。
 「ユースコール」は、なめらかさと硬さが交互に入り乱れ、まるで柔らかい溶岩を玉鋼にするために何度も叩き、鋭い刀にしていくようなまーやんとさとかほのコンビネーションが印象的でした。特にさとかほのパフォーマンスは凄かったですね。
 「キラスキ」は、センターのおーちゃんが良いのはもちろんですが、森本くるみさんのパフォーマンスしている時のスタイルの良さ。遠くから見たときにシルエットが絵になるというか、色々なユニットでこの人を見て見たいと思いました。特に「時間が無い」公演と相性よさそうと密かに思っております。
 さて、そして、「星の雫」ですよ。
 SKE48の新世代のトップを走っていた林美澪さんの卒業後、誰がこのポジションをやるのか、密かに注目していたんですが、ゆうかたんが担当するとは。これが凄く良い采配でしてね。「星の雫」の歌詞、衣装、振り付け、照明の受け方まで、林美澪さんの再現ではなく、新しい「星の雫」を見せてもらったと思います。星を見上げるような上目遣いの視線が彼女は似合いますね。
 ユニットラストの「ねえ 横浜のあの子を好きになっちゃったの?」は、この公演でも好きな方が多いのではないでしょうか?はたごんや谷さんがいなくなって、鎌田さんもこの日はお休みということで、どんな感じになるかな、と思っていたんですが、かえにゃんが大活躍でしたね。もちろん、そして、あゆかぴょんの歌声が曲の世界を引っ張り、謎の太極拳みたいな振り付けが赤堀さん意外と似合うなどの発見もありました。

MC~かえにゃんのエピソード

 ここで印象的だったのがかえにゃんの「部屋のすみっことかでわーんって泣いてるときてくれる」というエピソードが良くてですね。あゆかぴょんもSKE48の中で誰かが泣いてたらティッシュと一緒に来てくれるという語っていて、なんでこの人が副リーダーを任されているかが分かる気がします。

Loose control~告白心拍数


 で、問題は「Loose control」ですよ。
 作詞作曲が「ガラスを割れ!」の前迫潤哉さんで、振り付けがTAKAHIRO先生ですよ。実質、欅坂ですよ。先日、何気なく平手さんの新曲について内々で書いてたら気づいたらヤフーニュースになっているぐらいには、欅坂への思い入れは強い方なんですね。
※タイトルは過激なものをライターさんが選んでいますが、いつもの僕の書き方です。

 で、林美澪さんだからこそ、この「Loose control」の世界を表現できたと考えていたので、さあ、ゆうかたんがどう魅せるのか、お手並み拝見と思いながら観ていたんですね。
 結論から言うと、大成功!!
 もともとこの曲が持っていた離れた悲しみに対して、「再生」の要素が僕は加えられえたと思います。しかも、曲の終わらせ方は変えないので、ちゃんと前の良さも引き継いでいる。ナイス采配だと思いました。ちなみに、この曲、斉藤真木子さんが卒業したあとは、彼女のポジションは誰になるのか、個人的には、森本くるみさんが映えるのではと思っています。あっ、そうだ、この曲の裏MVPは曲のメリハリを生んでいるサイドポジションの倉島杏実さんだと思っています。
 「Don’t judge me」は、奥野心羽さんに目が行きました。この方はその前の「Loose control」でも、いつか前に出た時の姿を見て見たいと思いました。
 「グーとパー」は、大サビ前のまーやんの歌唱部分が凄く良かったですね。今の彼女だから歌詞に一個レイヤーが重なるといいますか。
 MCのほののあるある古今東西も笑いました。
 MC後半はね、スパーかきれなタイムでしたよ。どこか、この方、谷さんっぽい感じがするのは僕だけでしょうか。おーちゃんが語るゆあにゃんの釘付けエピソードも良かったですね。
 「Long long way home」は、さっきまであんだけ騒がしかったかきれなさんのシリアスモードのギャップにやられつつ、ゆうかたんの歌唱が良かったですね。そして、ほののと真木子さんの横並びは2回目見直すと胸に迫るものがあります。
 アンコール明けの「ぎゃぎゃぎゃわいい」は、相変わらず「ど、どうかしている…」と言いたくなるぐらいアッパー気味な歌詞ですね。陽の狂気を剛速球で頬にぶつけられるこの曲、大サビ前の超アイドル声で歌う真木子さんが最高でした。更にその後のかきれなの明るい感じも。更に氷室京介みたいなポーズの奥野心羽さんに目を奪われました。
 「君ダケ好キダッタ私ヲ置イテユク」は、SKE48の振り付けが揃ったSKE48の良さを感じつつも、手を降ろす時の表現にそれぞれの個性が出ているので、そこに注目してみると面白いかも知れません。ああ、自分の推しはこの曲の悲しみをこんな感じで表してるんだな、というのが見えてきやすくなるかも知れません。
 「告白心拍数」では、さとかほセンターバージョンでしたね。この曲、劇場映えしますね。コンサートでまだ体感していないので、早く体感してみたいです。振り付けに置ける「とめはね」のさんちゃんの「とめ」が美しかったです。

生誕ブロック~あなたへ

 もう、斉藤真木子さんの手紙が良くってですね。
 彼女が文句を言わず新しいポジションを覚えていくほのの。
 それが「当たり前」になってしまっている現状。
 沢山のアンダーを担当できながら、他の人のアドバイスやフォローも出来るというほのののポテンシャルの高さは副キャプテンにやはりふさわしいと思います。
 彼女は自分のことを「人気が無いから」と語りますが、目に見えるような人気とメンバーやファンからの信頼はまた違うと僕は思います。彼女が居てくれるから、公演を回すことが出来ています。更にいうなら、長いキャリアがある彼女だからこそ、再現できる「SKE48」があると思います。それは斉藤真木子さんにも言えることだと思いますが、彼女には卒業が迫っています。それを考えると、これから彼女に出来ることは持ち前の公演への高い理解度を他のメンバーにも副リーダーとして共有して欲しいですし、もし、組閣で違うチームになったとしても、持ち前の優しさだけは変わらずに持ち続けながら、頑張って欲しいと思います。
 この記事を書く前に「SKEらしさ」ってなんだろう、と考えました。
 ダンスの激しさなのか?
 泥臭さなのか?
 カウンター精神なのか? 
 きっとどれも多分に含まれていると思います。
 でも、その根底に流れているのは誰かへの優しさであると思います。
 初代キャプテンの平田さんが持っていた優しさだったり、彼女と同じように公演職人だったなるちゃんだったり、静かに流れている仲間への優しさこそが「SKEらしさ」ではないかと僕は思っています。
 「手をつなぎながら」や「仲間の歌」の歌詞のように。
 そんな「SKE48らしさ」をほののは受け継いでいると思います。
 その後のかえにゃんの言葉も良かったですね。この子ならきっと良いところを引き継いでくれるな、と思います。
 ラストの「あなたへ」は生誕祭で聴くとまた響きが違いますね。
 ほののと絡む一人一人のメンバーが笑顔になっていくのもいい。
 それから、この曲の照明、凄く良いですね。
 ラストのあゆかぴょんの「行け行け行け行け」も男前でした。

おわりに


 公演を作り手が思い描いた通りにアウトプットするのは大変です。
 それが自分が理解深めたポジション以外になるとなおさらだと思います。
 でも、きっとほののは彼女の良さを活かしてこれからも、最高の公演を作り続けるでしょう。できたら、選抜で色々なメディアで見つかるところも見たいですね。ラジオだけでなく、エッセイが読んでみたいメンバーです。
 そして、来年には組閣が待っています。
 歴史とともに、SKE48のメンバーは変わっていき、曲も増えて行きます。「SKE48らしさ」というのもフィルムのように様々な要素を持って残り続けていると思います。それを現在のメンバーたちでデジタルリマスターしていくのは大変なことかも知れません。でも、彼女たちなら、きっと過去を超えるものを作っていけると思います。研究生たちにも希望が見えます。僕らファンはどのバージョンのSKE48と出会ったか人によって違います。でも、きっと最新のSKE48もきっと好きになっていくと僕は思っています。最初は、解像度が変わって驚くかも知れませんが、そこから見えるものは、前よりもきっと美しくなっていると信じています。

※過去の記事はこちら!


もしよかったら、書籍でもヤフーニュースになったのだ、お時間があれば読んでみてください。


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栄、覚えていてくれ
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