おすすめの映画「スウィング・キッズ」
近頃、劇場で公開中の映画ばかり紹介していたので、たまには配信やレンタルでも観られる作品を紹介しようと思いましてね。
今回は昨日観た「スウィング・キッズ」。
韓国の戦争映画というと、僕は「高地戦」が印象的なんですが(特に後半からの畳み掛けと悲劇!)、今回も素晴らしい作品でした。
【ここからはネタバレありで書きます】
まず、物語の縦軸として戦争があり、プロパガンダ映像で始まり、ラスト付近で観光ガイドの人の捕虜収容所の説明が真実と異なるものであることでサンドイッチされているのが、印象的でした。「戦争とは〇〇ものだ」という台詞が何回か出てきますが、都合よく真実を曲げてしまうものだなあ、と感じました。
物語の前半では、韓国映画ならではのほっこりするコメディもありつつ、「タップダンス」を通して、まったく立場の違う人々がチームになっていく過程が心地よくてですね。収容所という自由を束縛された場所において、あの練習場のホールだけは、自由が残されている感じがしました。
映画の横軸を走るのは「分断」です。朝鮮人とアメリカ人、資本主義と共産主義、白人と黒人。収容所というそれらが幾重にも重なる場所だからこそ、最後のステージ前に米兵のジャクソンさんのスピーチが心に刺さります。
後半からはサスペンス色が強くなります。どこかで不吉な予感が漂い続けます。そのきっかけを作るのがイデオロギーにとらわれ過ぎた人々。ふと立ち止まって自分の頭で考え、自分の目で環境を見られているかを我々に問いかけます。また、知らないことに対して必要以上の不安や恐怖を抱いていないかも。
この映画の中で「分断」が解消され、心が通じ合うきっかけになるのは、タップダンスです(それ以外だとクリスマスですね)。タップダンスを一緒に踊ることで、隔離された施設の中で自由を体感します。踊っている時は、人種も年齢も関係なく、その場から「分断」はなくなります。
ラストシーンで、年老いたジャクソンさんが、練習していたホールの床を触るシーンからのダンス対決のシーンが凄く良くてですね。言葉が通じなくても通じ合うことができた「自由」がこの施設の中にもあったことを、ジャクソンさんと床だけは、ちゃんと覚えているという終わり方がとても素敵でした。
主人公のEXOのD.O.さんはボウズなんですけど、良い顔してるんですよね。特に、迷いの表情と決意した時の表情が最高でした。髪が長いとよりベビーフェイスに見えますね。
勿論、韓国映画名物、良い顔のおっさんたちも出てきますよ!個人的には、オ・ジョンセさんが凄い良い顔でしたね。そして、ジャレッド・グライムスさんの足さばきの華麗さ。流石は、世界トップクラスのタップダンサーですね。
閉塞的な環境において、エンターテイメントがいかに重要かを改めて考えさせられる映画でした。コロナ禍から映画館が再開した時も感じましたが、僕らの人生においてエンターティメントがいかに僕らの心を動かして、同じ好きなもので通じ合えるかを実感させられた映画でした。
このシーンが本当に良かったです。