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おすすめの映画「ワンダーウーマン1984」
今年は、アメコミ映画がコロナの影響もあってかなかなか日本で公開されてなくてですね。「映画秘宝」の激推しもあって、IMAXで観てきましたよ。
観てきた感想としては、「1984年だけど、2020年だよなあ」という感じでした。
【ここからはネタバレ全開でいきます】
まず、僕は話の根源にある「欲望」の描き方が物凄く上手くてですね。主人公の一見、完璧人間にも見えるダイアナでさえ、実は「欲望」があって、みんなの「欲望」が表出してさあ、大変というストーリーなんですが、国や年齢が違えども、人間の「欲望」って似たりよったりだよなあ、と思いましてね。「チヤホヤされたい!」とか「お金が欲しい!」とかですよね。邪悪な物だと「力が欲しい」とか「アイツがいなくなればいい」だと思います。
で、映画の終盤で願いの石成金のマックスが、世界のテレビをジャックして、「あんたの願い叶えたろキャンペーン」を開始した際に、続々とみんなの熱い願いが画面に映し出されていくんですが、みんな自分の身の程を超えた願いだらけでしてね。
僕自身も許されるなら、「日給1兆円ぐらいほしい」(バカの発想)とか、「1000年後の人類にも残っている文章を書きたい」とか壮大な夢はあるんですがね。
さて、話を戻すと、まるで、現代のSNSにおける「身の丈を少しでも高く見せる発信」や「リツイートとフォローしてくれたら、これをあげちゃうキャンペーン」とかを、僕は観ながら連想していましたよ。
「ありのままの」ではなく「真実」の自分と向き合って、正直な自分を見せることがこの世の中では、なんと大変なことかと考えさせられましたよ。だからこそ、ダイアナのみんなへの呼びかけが心に響いたのかも知れません。
ダイアナ自身も、自分の「欲望」との葛藤があったんですが、スティーブの説得で、なんとか、自分の「欲望」を振り払って走り出すんですが、前後のシーンを合わせて、ここが僕的にはこの映画のベストシーンです。あえて、スティーブの姿を見せずに声だけ、というのが泣けます。
そして、暴力で解決するのではなく、相手の心に問いかけて勝つという「デッドプール2」以来のなかなか良い終わり方でした。
あと、1984年描写がなかなか良くてですね。
僕は生まれたばかりなので、記憶にはないんですが、昔の映画でよくあるものが2020年に観られるとは。
たとえば、最初のショッピングモールは、映画「コマンドー」の警備員みたいな制服の人がいたんで、「相手は筋肉モリモリマッチョウーマンの変態だ!」みたいな無線を何故、飛び交わせなかったのか、と思いましたよ。あと、昔の映画でよくあったエアロビも久々に観ましたね。
1984年とは関係ないですが、子供を助ける描写が多いのもヒーロー映画っぽくて良かったですね。
最初の謎運動会も、「どうせ、ダイアナって凄いよね、みたいな奴だろ」と斜めの目線で観ていたんですが、実はズルをして手に入れたものは、意味がないのだ、という教訓であり、この映画のメッセージを最初の段階で説明していたんですね。多分、井原西鶴の「好色一代男」で最後に目指す「女子が島」って、こんなとこなんでしょうね(絶対違う)。
終わり方もなんとも冬の切なさを感じさせる良い終わり方なんですよね。楽しそうな街と、孤独な自分。でも、何気ない隣人との短い会話で少しだけ幸せになる。思えば、バーバラにとってのダイアナがそうなったかも知れないのに。
嫌というほど、繋がりが可能になり、人の頭の中が可視化されやすくなった2020年現代にこそ、観て欲しい映画です。
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