見出し画像

48ファンに全力で「timelesz project AUDITION」を勧めたい&第7回から考えたこと「創りたいのは『闇夜切り裂く光の刀』」



はじめに


 今回は実験的にそもそもtimeleszをご存じないSKE48を中心とした48ファンの方々向けのこととネットフリックスの「timelesz project AUDITION」の最新回を見て考えたことを同一記事内に書きたいと思います。
 まだ初心者が知らない方々向けに勧めるというtimeleszのファンの方からしたら、「解像度が低すぎる…」とか「〇〇月〇〇日のコンサートを参照にした視点が抜けている」という面もあるかと思いますが、この思いを自分の仲間たちにも伝えたいと思ったので、どうか、広い心で読んでいただければ、と思います。
 そして、いつも僕の記事を読んでくださっている48ファンの方からしたら、「最近、こいつ本名の中村辰之介の方でプロデビューしてから変わったな」と思われるかも知れませんが、何も変わっていません。むしろ、この番組でもらった熱をどうSKE48に持って帰るかをずっと考えています。
 それでは、始めていきましょう。

「48ファンに全力で『timelesz project AUDITION』を勧めたい」

歪んだ固定観念が溶けていく

 48ファンの皆さんから見た旧ジャニーズ事務所のアイドルたちってどう見えているでしょう?
 学生の頃の僕は、とても歪んだ目で見ていました。
 「どうせ、顔がいいだけで苦労なんてせずにテレビに出てるんだろ」とか、「そりゃ一流の作詞家や作曲家がついてるんだから、誰が歌っても売れるのは当たり前だろ」とか、もう完全に醜い嫉妬だったと今なら思います。本当にごめんなさい。
 その固定観念が少しだけ薄れ始めたのは、大学院の時に日雇いで入った関ジャニ∞の「全国47都道府県 完全制覇!! 関ジャニ∞ えっ!ホンマ!?ビックリ!! TOUR 2007」奈良100年会館でコンサートの設営と会場整理に入った時のことでした。朝早くから集合して、ステージセットの準備をお手伝いしたり、会場内の設備の確認をして、少しだけ休憩時間が出来た時だと思います。関ジャニ∞の皆さんとジュニアの方々のリハーサルが始まりました。
 照明の方と今日のステージの位置確認や音の確認。
 中でもドラムの方が何度も何度もあるフレーズを確認していて、素人には「同じじゃないのかな?」と思っていましたが、何かとても細かい微調整をされていのたではないかと思います。
 そして、物凄く限られた時間で同じくバックダンスの確認をするジュニアの方々をみた時、「僕よりずっと年下なのに、既にプロとして活躍している人がいるのか」と驚きました。
 もっと驚いたのは、コンサートが始まってからで、僕は場内整理のポジションに居たので、昼夜のコンサートをまるごと会場内で聞ける立場にいました。基本的に観客席を観ながら(特に遅れて到着された方に注意しながら)、ステージをたまに振り返るぐらいでしたが、背中で聞いているだけでもそのパワーに圧倒されました。ある曲でドラムの方のソロパートが来た時に「あっ、あの練習してたとこだ!」とそのリハーサルを超える仕上がりに思わず鳥肌が立ったのを覚えています。そう、大倉さんでした。
 そして、照明の逆光を浴びる観客の方々の顔が本当に多幸感にあふれていて。「アイドルってすげえなあ」と思いながら、ステージ撤収を行って家路につきました。
 それから約1年後、僕は入社式の前日に彼女に振られて、翌日に48グループにハマるのですが、それはまた別の話です。

 さてさて、初めてみた生のジャニーズの凄さを感じたものの、48グループにハマった頃は、とてもじゃないですが、男性アイドルをチェックする時間が無くてですね。
 映画ヲタでもあったので、草彅剛さんが「ミッドナイトスワン」、「碁盤斬り」と素晴らしい演技に感動したり、稲垣五郎さんが「13人の刺客」や「ばるぼら」で新境地を見せたり、香取慎吾さんが「凪待ち」で彼から初めて「怖さ」を感じたりと演者としての可能性の広がりを感じました。
 でも、もっと下の世代については、そこまで知らなくて、「紅白出て凄いなあ」と思うもののそこまでのめり込むことはありませんでした。

 その認識が変わったのは、ネットフリックスの「timelesz project AUDITION」という番組です。
 こちらの番組は、Sexy Zoneからtimeleszに変わったメンバーの3人が「仲間探し」として開催したオーディションに密着した番組です。ポイントは新しいグループを作るのではなく、今いる3人に追加していくというコンセプトです。これが、凄く面白くて。たとえ、一人のタレントとして完成していたり、別の世界で結果を出していたりしていも、果たして「仲間」にするとなると相応しいのか、という視点が入ってきます。
 「仲間」を自分たちで選ぶ、という中で、3人からはこれまでのジュニア時代の経験について語るところが何度もあります。そこでは限られた時間の中で覚えたり、礼儀作法について厳しく教育されたりしてきたんだろうな、というのが伺えるんですね。「どうせ、顔がいいだけで苦労なんてせずにテレビに出てるんだろ」とか思ってた学生の頃の自分にビンタしてやりたい気分です。SKE48のメンバーに同じことを言われたら、絶対に「なんでこの人は何も知らないのに分かったようなことを言っているんだろう?」と考えるでしょう。
 そう、やはりステージに立てる人は、プロとして乗り越えてきた努力や試練が沢山あるのです。
 まず、この番組を見ることで僕の歪んだ固定観念が緩やかに溶けていきました。
 

行かなきゃならない茨の道


 で、こちらのオーディション番組の凄いところは、2次選考から密着しているのですが、明らかにオーディションへのモチベーションが低い人と高い人のどちらも移します。しかも、実名で。
 もう3次審査終了まで放送されていますが、残らなかった人たちは全世界に顔と名前が知られたまま、野に放たれます。
 こんな厳しさを感じるイベント、48にもありましたよね。
 そう「ドラフト会議」です。
 ドラフト候補者で集まり、合宿をしてファンが見守る前で各グループが欲しい候補生を指名していきましたね。
 第1回では、他のグループが指名をやめたにも関わらず、SKE48の高柳明音さんが「同期が多い方が良い」という理由でなんと合計5名を指名しつづけました。特に最年長の惣田さんが最後に指名された時のドラマは未だにドラフト会議の名場面だと思います。
 今でもドラフト候補生同士はグループを越えて仲が良いですよね。旧ジャニーズ事務所でもグループを越えて仲の良いメンバー同士の関係性を楽しめるという良さがあるかも知れません。
 世界に名前と顔をさらすリスクは計りしれません。
 これからの人生で、あのオーディションを受けたということがプラスになる方もいれば、マイナスに働いてしまう方もいるかも知れません。それでも、それぞれの思いを胸にオーディションに挑む姿には、やはり、感動を覚えます。
 48グループには研究生ヲタという方々がいます。
 正規メンバーに昇格する前のメンバーたちを推すという方々です。
 研究生から正規メンバーに上がった後も応援する方もいれば、次の期の研究生を推すという方もいらっしゃいます。
 推す理由は様々で認知されやすいから、という方もいれば、毎週の公演で少しずつ成長していくところがいいんだ、という人もいらっしゃいます。この番組の第3回からは、僅か3日間で曲を覚えて披露するという成長のドラマを観ていくことができます。
 アイドルファンはパフォーマンスを観る時の視点が増えますし、これからアイドルになりたい方にもおすすめしたいことばかりです。ああ、お客さんに観てもらう人間になるには、こんな茨の道を越えていかなきゃいけないのか、と感じます。でも、プロになった後は、これが当たり前なんだよな、とも。やはり、「どうせ、顔がいいだけで苦労なんてせずにテレビに出てるんだろ」とか思ってた学生の頃の自分に、往復ビンタしてやりたい気分です。
 

選ぶ側の魅力溢れる3人


 追加メンバーを選ぶ、timeleszの3人も魅力に溢れています。

 まず、佐藤勝利さん。
 最初観た時は、色々な役が出来そうな顔だなあ、と映画ヲタとしては思っていたのですが、なんとお笑いもやっているんですね。「佐藤勝利のすべて」というシリーズは、めちゃくちゃ中毒性があるので、おすすめです。
 個人的には、大河ドラマ出て欲しいなあ、という方です。
 水の都の民兼、鎌倉好きなので、源氏も平氏も北条も似合いそうなんですよね。
 大正から昭和では、芥川龍之介とか室生犀星とかやってほしいなあ、と。その場合、松島さんが太宰治か萩原朔太郎で、菊池さんが菊池寛か中原中也で。
 すいません、妄想を書いてしまいましたが、じっと候補者を見つめる眼差しと、その口元がふと緩んだ時のギャップはたまりません。
 
 次に菊池風磨さん。
 もうね、言語化の鬼です。
 番組を見ていて感じる言葉になる前の感情を言葉に変えてくれるのがこの人です。
 また、創作に関しても本当に素晴らしくて、「because」の歌詞やSecondz の方に教えていただいた「Cocoa」は、時間の流れをとても丁寧に書いていて、とても好きな曲の一つです。「ぎゅっと」の歌詞も素敵です。
 あと、「かわいたちチャンネル」での釣り堀対談を観ていると、好感度が爆上がりです。この人、めちゃくちゃ10代で苦労してるじゃんかと。もうね、学生の頃の自分を(以下略)。
 そんな菊池さんからは、今回のオーディションを成功させたいという強い思いを感じます。あえて、自分が辛い役をあえて引き受けている感じがして、なんだこの人の土方歳三感は、と感じます(その場合は、佐藤さんが近藤で松島さんが沖田で)。この人が喋る時、心地よい緊張感がピンと画面に貼られるのがいいです。

 最後に松島聡さん。
 初めてみた時に、この人が持つ他の人と違う柔らかい空気は何だろう、と良い違和感を覚えた人です。人との向き合い方が凄く優しいというか。そこから、ダンスを観た時の圧倒的な迫力。振り付けも考えられるクリエイター肌の方なんですよね。凄い繊細なところまで振り付けでビジュアライズ化できる凄い方だと思います。
 更に、「どんな人なんだろう」と彼のウィキペディアを観た時、この人の人生だけで映画作れるぞ、と思いました。その時は、菊池さん役は菊池さんで、佐藤さん役は佐藤さんという本人が演じる形で(少年時代はジュニアの方で)。
 カワイイとカッコいいが同居した優しい天才だと思います(いつか鼻の下投げチューを見てみたい!)。
 もうこの3人だけでも完成していると感じることもありました。
 でも、「仲間探し」をすることで、更に物語を進めていきたいという決断が出来たのが凄いですよね。

 状況をSKE48でたとえると、 

 松井玲奈と矢神久美と須田亜香里だけ残った2012年のチームS。
 古畑奈和と江籠裕奈と青木莉樺だけ残った2018年のチームK2。
 鎌田菜月と菅原茉椰と林美澪だけ残った2022年のチームE。
 
 ここに追加メンバーをオーディションして、公演を再開すると考えてみてください。
 かなり、難しくないのですか?
 我々、SKE48も来年、組閣を控えています。
 チームのメンバーががらりと変わります。
 その時に、どんな形が出来るのか、今から僕は楽しみです。

競争から共創の時代


 話を番組に戻すと、3次審査では、9人のチームを4つ作って課題曲に挑みます。その時に見られていたのは、個人のスキルはもちろん、チームのことを考えられるか。個人だけでなく、チームの中での自分の立場を考え得られるか。「今はこの人が光る時間」ということを意識できるか。
 まさに仲間としてやっていけるかですよね。
 
 10年代、48グループが躍進した理由の一つに「総選挙」がありました。
 最初は運営へのカウンターとして企画されたものが、気付けばグループのプライドをかけた総力戦になっていたり、一人の人間の人生が一夜で変わるチャンスになっていたりしました。しかし、そこには競争の要素が非常に強かったです。メンバー同士はグループの枠を超えて仲が良いことが多いのですが、ファン同士は対立していたり、同グループ内でもピリピリしたりということもあったと僕は思います。
 そこから、総選挙はなくなり、グループを越えた競争の大きな「物語」はなくなりました。その代わりにSKE48の場合、小室哲哉さんを始めとした秋元康以外のクリエイターが作る各チームの新公演を成功させるという新しい「物語」が始まりました。それは、みんなで一つの目標に向かっていく、誰も置き去りにしない共創の時代に突入した気がします。この物語が好きな方はきっとタイプロにもハマると思います。
 男性アイドルに対して、誤った認識を持っていた学生時代の僕のような方や、熱い物語が好きな48ファンの方ほど、チェックしていただければと思います。


最新回と予告から考えたこと「創りたいのは『闇夜切り裂く光の刀』」


 いきなりなんですが、刀を作るまでの話をしてもいいでしょうか?
 日本刀は玉鋼というもので作られます。
 粘土で作られた設備の中に砂鉄と木炭を交互に入れて、三日三晩燃やし続けて作るそうです。
 そして、出来上がった玉鋼を1000度ほどで熱して、金づちで叩いて、刀のように平面状にしていくそうです。

 ふと、最新回まで閲覧して、予告を観た時に「そうか、玉鋼」を燃やす時間が終わったのか、と僕は感じました。
 ここからは金づちで叩いて刀を作る時間だな、と。
 3人のメンバーたちが、予告の中で使う厳しい言葉は、「お客さん」に向けてではなく、これからの「仲間」に向けての言葉なのではないか、と僕は思います。
 自分たちも何度も叩かれたからこそ、強い刀になったように、この試練を候補者たちに乗り越えて欲しいと。特に菊池さんの「売れてえんだろ!」は、これまでのアイドル人生の中で彼が耐えてきた時間を想像させます。そして、この候補者たちの成功にグループの未来を賭けるという思いも。自分たちの未来に誰かを巻き込んでいく怖さと責任。だからこそ、この言葉には重さを感じます。「賭け」のある人は、やはり「つづき」が観たくなります。
 いったい何振りの闇夜を照らす刀が残っていくか。まだ分かりませんが、パフォーマンスで心の闇夜を照らす刀になっていってほしいと感じます。僕は、つい最近、Sexy Zoneの曲に心の闇夜を照らしてもらいました。同じようにtimeleszでも光を放つ刀が生まれると信じています。
 
 この番組の主題歌「Anthem」は、山下智久さんが作詞した曲で、凄く中毒性のある歌詞とメロディーだと僕は思っています。仕事中に頭の中で流れています(あと、「SHAKE」と「Monster」も)。
 その中で何故か2番のAメロの歌詞だけがしっくり来ていなかったのですが、最新回までを見ると初めてしっくりきました。

 そして、今回オーディションに残った方々、残らなかった方々。
 それぞれの人生の「つづき」がみたいと思わせてくれる方が多かったです。

 次の更新がいつのなか、まだ把握できていませんが、早く「つづき」がみたいです。それまで「Anthem」を聴きながら待ちたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

栄、覚えていてくれ
こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。