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一言で心を掴む宮北さん

1人でバーに行く理由は様々だが、私がBAR ReCalmに行く理由を考えた時、ただその空間にいたいからであることに気が付いた。

ReCaImはカウンターのサイズ、色合い、明るさ、装飾品、椅子の座り心地、こだわり過ぎないBGMのセレクト、音量までもが柔らかく心地よい。
そう、ReCalmはお洒落というより、柔らかい。もちろんバーの空間としてかなりお洒落ではあるが、柔らかさがお洒落を凌駕しているから、お洒落であることが、そういえば、の中に紛れてしまう。それ程にReCalmの空気は柔らかく、日常の緊張感を緩やかに溶かしてくれる。

ある夜ReCalmに行ったらカウンターは満席に近く、ウイスキーの水割を2杯飲む間にマスターの宮北さんと話すタイミングはほとんどなかった。

飲み終えての会計の時に少しだけ宮北さんと話すタイミングが訪れたが、その短い時間の僅か一言だけで宮北さんは、さりげなくも見事にその日私が求めていた事を言葉にした。

「この前投稿されていた文章読みましたよ。すごく共感しました」

それは接客という枠組の中でのやりとりであるはずだが、そこに偽りがないことが伝わった。宮北さんには良い物を見つける優れた感覚と、それを良いと正直に語れる人柄が染み付いている。

ReCalmは宮北さんがカウンターに立つことでその鼓動が広がり、くつろぎという形で還元される。そのような満足感を得られる頻度と角度が高いバーは私の日常を豊かに彩ってくれる。
特に寒い冬のReCalmは私を心底温めてくれて、その温もりは帰路まで保たれる。

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