コップの罠
筆を洗おうと思って
僕は、イラストは、水彩絵の具を使う。
そして粘土細工の着色は、バターミルクペイントという、比較的安全な水性ペンキを使っている。小さなお子さんやペットがぺろっと舐めてしまっても、大きな問題にはならない、という理由によるところが大きい。
どちらにも当然、筆を使う。だから穂先が汚れれば洗うのだが、僕はよく作品の制作中は紅茶を飲んでいるので、手が届く範囲にコップを置いている。
それが悪い。
汚れた筆を、僕はあろうことか、紅茶が入っているコップに突っ込んで、バシャバシャと洗ってしまうのだ。筆洗い用のバケツを、ちゃんと用意しているにも関わらずだ。
そして僕は筆を洗った紅茶を口に運ぶ。
むむ、今日の紅茶はやや苦いですかな?ワトソンくん。気分はまるでシャーロックホームズだ。
うーむ、しかしだねワトソンくん。やや苦味が強すぎる気がするぞ。一体どんな淹れ方をしたらこんな味になるんだい?
紅茶を見てみるとめちゃくちゃ濁っていたりして、またやっちまったと肩を落とす。ワトソンくんのせいじゃない。僕がいつも通り、汚れた筆を洗ってしまっただけだ。
しかしまだ僕の健康には影響は出ていないので、やはりバターミルクペイントは安全だということは立証されている。身をもって立証している。けっこう本当に苦いけれど。
しかし作品制作に飲茶はつきものなので、これからも僕は筆洗い用のバケツと紅茶のコップを間違え続けるんだと思う。
苦味がわからなくなるように、今後は抹茶とかにしてみようかしら。ゔぉえ。