日頃の行い
良いと晴れるのか
例えばだ。結婚式などの人生におけるビッグイベントを行う二組がいるとしよう。それも、両者共に、ガーデンウェディングだ。
それぞれが綺麗に整えらえたガーデンで、思い思いにお酒を飲んだり、昔話に花を咲かせたりして、新郎新婦の門出を祝う。
ひと組は晴天で、ガーデンウェディングは大成功。
しかしもうひと組は大荒れの天気、台風直撃の天気になってしまって、やりたかったプランの8割ができなかったとする。
よく天気の良し悪しに関しては、
「日頃の行いが良ければ晴れる」
などと言ったりするが、果たして前者の方は日頃の行いが良く、後者の新郎新婦は日頃の行いが悪かったと果たして言えるのだろうか。台風直撃、結婚式当日がそんな天候担ってしまったら、その夫婦はもう、日頃から泥棒とかしているのだろうか。
決してそんなことはないと思う。
いったい誰が言い始めたのだろうか。
そういえば小学生時代、運動会などの開会式で校長先生が
「皆さんの日頃の行いが良いおかげで、すっきり良い天気に恵まれましたね」
などと言っていた記憶があるが、果たしてこれは本当だろうか。
例えば運動が大嫌いな子がいて、そうだな、名前はアメコちゃんにしよう。
アメコちゃんはもう、本当に運動会に参加したくなかった。運動会が雨で中止になって、順延してもまた雨、ずっと雨で、中止になってしまえばいいとさえ思っていた。
だからアメコちゃんは、めっちゃ良い子になった。もともと良い子のアメコちゃんだったのだが、もっと良い子になった。落ちているゴミなどは率先して拾ったし、いじめられている子がいれば盾になった。学校だけでなく、家庭の中でも、お母さんの手伝いなどを進んでやった。年の離れた弟の世話もした。
「運動会、やだなぁ…。中止になっちゃえばいいのに…」
アメコちゃんはポツリと呟いた。そして当日である。
からっと晴れて、これにはアメコちゃんもがっかりだった。
「あんなに良い行いをしてきたのに」
アメコちゃんにとっては、「雨の日」こそが良い天気で、「晴れの日」などはもう、大悪天候なのである。
そして校長のこの言葉である。
「皆さんの日頃の行いが良いおかげで、すっきり良い天気に恵まれましたね」
これにはもう、アメコちゃんも大激怒であった。
「もう良い行いなんてするものか」
やがてアメコちゃんはグレにグレて、地域一番の悪女になるというのはまた別の話だ。
あとはそうだなあ。例えば農家の人なんて、世の中の人間全てが日頃の行いが良くなってしまったら雨が降らなくなってしまうので、とてつもない不作になってしまうのではないか。飢饉となり、一揆が起こるだろう。
いったい僕は何の話をしているのだろう。
とにかく、日頃の行いなんてものはあまり天気と関係なく、まあ、受け入れるしかないのではないかと思う。
ただ僕も
「この日は晴れてほしいなぁ」
と思うことはよくあるので、ちょっとでも願いが通じるように、進んでゴミを拾ったりしてしまう。
多分、人間って、そういうふうにできてるのだと思う。