僕の靴
先っぽが丸い靴が好き
ちょっと前まで、「カヌー」というブランドの靴を履いていた。
特徴のある靴で可愛いのだ。僕はとても大好きで、もう履いてはいないけれど、ボロボロになったカヌーの靴を部屋に飾っている。
僕が高校生くらいの頃から、イケイケオラオラな人達の間で、先っぽが物凄く尖っている、いわゆる「お兄系」「ホスト系」の靴が流行っていた。触れる物みな傷つける、凶器みたいな靴だと僕は思っていた。
そのアンチテーゼみたいな感じで、僕はもう、とんでもなく丸まった靴を履こうと思って、見つけた靴。それがカヌーだった。
やがておでこ靴に変わっていった
カヌーの靴は本当に良く履いていたのだけれど、僕の歩き方が悪いのか、履き潰してしまう事がとても多かった。中敷きが破れたり、ソールに穴が開いたり、剥がれたり、壊れてしまうのだ。
カヌー、可愛いんだけど耐久性がな…そう思って探して、出会ったのが「ヒラキヒミ」というブランドの靴。
これだ、と思った。
鹿児島の職人さんが、一足一足を手作りしている革靴だ。
価格帯でいえば、高級靴、の部類に入るんだと思う。結構お高いし、セミオーダーだし。2年に一度、メンテナンスが必要だし。
でも最近の僕は、例えば傘なんかもそうなのだけれど、ちょっと良いやつ、を買ってそれをなが〜く使うことにしている。
元々、物持ちは良い方だと思っていて、愛用のリュックなんてもう12年目だし、絵描き道具…例えばシャープペンは15年くらい使っている。水彩絵の具のパレットは10年くらい経つだろうか。
もっと長いやつがあった。靴下だ。手編みの靴下ぽくて、全然破れたりしていない。これはもう、高校生の時から冬限定で履いている。3足ある。
あとは、セーターだ。これは売っていた物ではなく、若かりし頃のうちの母が父にプレゼントしたらしく、父の遺品を整理していた時に発掘、それを僕が引き継いで着ているのだけど、40年くらい前の物らしい。
最低でも10年使う。直せるものは直して使う。
最近はそう思って、物を買うようにしている。
(家電製品や消耗品などのある程度の寿命がある物はその限りではない)
だから、ヒラキヒミの靴もそうしようと思って、思い切って購入した。
この靴以外考えられない
今ではもう、この靴以外、考えられなくなってしなった。雨の日も雪の日も、いくつになっても僕はこの靴を履き続けようと思っている。
おでこ靴。そんな名前のこの靴に、似合うような男になりたい。