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【あの卒業生は今】 水田 光夏さん

【あの卒業生は今】vol.13
中学2年生のとき、難病であるシャルコー・マリー・トゥース病と診断された水田さん。
その後出会ったパラ射撃で東京パラリンピック大会へ出場した経験や大学時代の事を語って頂きました。


-まずは、自己紹介をお願いします。

2019年度にリベラルアーツ学群を卒業しました水田光夏(みずたみか)です。
在学中にパラ射撃を始め、東京パラリンピックへ出場しました。現在は次のパリ大会に向けて練習に励んでいます。よろしくお願いします。

-小さい頃はどんな子どもでしたか。

 小さい時からお楽しみ会などがあると企画委員などを自ら進んでやっていました。また生徒会長なども務めていました。生徒会長は元々やりたかったので、逆算していつまでに何をするか計画を立てて活動していました。そんな性格だったので大学に入学する時も、入学前から生協学生委員会の活動に参加して新入生ながら、新入生歓迎会当日のお手伝いをしていました。

-桜美林大学へ入学したきっかけを教えて下さい。

 車椅子で通わなくてはいけないので、物理的に通いやすい大学を考えていました。その中でもオープンキャンパスに来た時の対応がとても良かったのが印象的です。他にも、キャンパス内がバリアフリー対応をしていた事も入学を決める一助となりました。
 また入学してから感じたことは、本当にアットホームで優しい雰囲気だったことです。履修登録時は教室移動に不安を抱えていた授業も、職員の方の配慮で教室が変更になっていたり、一学生の私の事をしっかり考えてくれているなと思うことが多くありました。

-射撃との出会いを教えて下さい。

 射撃と出会ったのは17歳の時です。新しく何か始めたいと思っていたとき、東京パラリンピック開催が決定してパラスポーツが注目されていました。そんな時、母が知り合いから日本パラリンピアンズ協会の会合がある事を聞き、連れて行ってくれました。そこで出会ったのが、射撃のパラリンピアン田口亜希さんです。丁寧に射撃の魅力を語る人柄に触れ射撃に興味を持ちました。その後ビームライフル体験を行い、競技の魅力に気が付きました。その約2年後にエアライフルを始めました。なぜ射撃が面白いと思ったかというと、今まで関わることが無く、全くの未知の世界だった為です。受傷前まではクラシックバレエに取り組んでいました。ですので、点数を競うという事自体が初めての経験でした。

-では大学時代は射撃に没頭した学生生活だったわけですね。

 そうでもありません。どちらかというと大学時代は、授業か生協学生委員会かの2本の軸で活動していました。生協学生委員会では学生に向けた様々な企画を行っていたので、夜遅くまでメンバーの皆と大学に残って企画の打合せや準備を行っていたのが印象的です。
 授業に関しては情報系と心理系のダブルメジャーで授業を取っていたので、3年生まではみっちり授業を入れていました。

-失礼しました!てっきり射撃漬けの生活かと思っていました。


 射撃自体は週末だけ練習を行っていました。ですので、敢えて大学で射撃をやっている事を公表もしていませんでした。大学3年生の時に強化指定選手に選ばれてから、合宿や遠征などが入って来て、授業などに少し影響が出てきました。ただ、学業が優先と考えていましたので、合宿の参加スケジュール等を連盟とも相談させてもらっていました。どうしようもない時は先生に相談して柔軟に対応頂きました。

-強化指定選手に選ばれてから一気にパラリンピックへの道が開かれた感じですか。


 そもそも、「パラリンピックに出たい!」と思っていましたが、どうやったら出られるのか当時は全く見当がついていませんでした。2017年、初めて出場した全日本選手権で、630.6点という結果を出し、翌18年には強化指定選手に選出されました。パラリンピックに出場する為には、強化指定選手にならなくてはならない事や国際大会へ出場して一定の成績を収めないといけない事もその時知りました。その間、自分の思う様に行かない時期もありましたがそれを乗り越えて2019年10月シドニーで行われた世界選手権でパラリンピックに内定しました。実際、国際大会への出場は移動や競技のスケジュールが想像以上にハードです。それに伴い、使用している器具の破損、経年劣化が進んでしまいます。そんな時に、卒業後にも関わらず、桜美林大学が主導でクラウドファンディングを行ってくれたのは本当にありがたかったです。また最近も校友会さんが主導で自動販売機の利益を寄付していただける施策を実施して頂いており、本当に感謝しています。

-パラリンピックに内定したとなれば色んな方からお祝いされたのではないですか。


 正直、私が競技の事を伝えた人はごく一部の人でしたので、この結果を知っている人はほとんどいないと思っていました。ところが、大学へ行ったら沢山の教職員の方から「おめでとう」という言葉を頂いて本当に驚きました。また先ほどもお話したクラウドファンディングも沢山の方にご支援いただきました。応援して頂いている人の多さに驚くと共に日本を代表する実感が湧きました。また皆さまから応援される立場にいる事を自覚して「アスリート」なんだという気持ちが芽生えてきました。ただ、その時もまだ「私はアスリートになったらしい」という感じで本当の意味で「アスリート」として成長できたのは今回の東京パラリンピック出場が大きく影響したと考えています。
 今回パラリンピックに参加して、周りの選手が競技に取り組む際のルーティンや競技についてお話をさせて頂いたとき、「私はまだこの域に達せていない」と感じてしまいました。この経験を糧に、また次の大会へ向けて頑張りたいと思います。

-パリパラリンピックへ向けての意気込みをお願いします。

 東京大会を経験できたお陰で、次の大会へ向けた準備の流れも多少は把握できましたので、今回の経験を活かしたいと思います。東京大会は「出場する」ことが目標になってしまい、準備してきたことを十分に発揮できなかったと反省しています。「真のアスリート」として次のパリへ向けて、競技力だけでなく、自己管理、体調管理、試合に向けた準備の仕方などを徹底して行っていきたいです。パリまでに行われる大会も含めて応援をお願い致します!

-最後の質問です。あなたにとって桜美林大学とは?


 家族の様な存在です。教員や職員と学生の距離が近いので事務的な手続きだけでなく、普段の事も相談に乗ってもらえる機会があったと実感しています。言いにくいことが少ない、学生が声を上げやすいとも思っています。
 畑山学長もとてもフレンドリーでそういった雰囲気も相まって教職員が学生目線で関わってくれる大学だと感じています。


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