ボストンの地下鉄で
ボストンの地下鉄は、アメリカ全土の中で最も古い歴史があり、
グリーン、レッド、オレンジ、ブルー、シルバーと五色に
色分けされた路線図を見れば、旅人の私でも
とてもわかりやすいのです。
私も、ボストン美術館やハーバード大学、
ボストン公立図書館へ行くときに、
何度も利用しました。
ボストンの地下鉄は一回乗車券が2.75ドル。
一日で5回以上乗り降りするなら、
12ドルのワンデイチケットもあるようですが、
私はチャーリーチケットと呼ばれる
一回券(ワンライドチケット)を
地下鉄に乗るたびに購入していました。
このチケットを自動改札にタッチするのですが、
磁気カードって何らかの拍子に、
反応しないときってよくありますよね?
ない?
私だけ?
常日頃から、私はどうやら静電気を帯びてるせいか、
時々、そういうことが起こります。
しかも、たいてい急いでいるときに・・・。
今回も、乗りたい電車の発車時刻が迫ってて
あせればあせるほど、なんどやっても、
自動改札に私のチャーリーカードは拒否されて
これは、買いなおさないとだめかな?と
困っていたその時、
なんとういうことでしょう!
さっと、
僕のを使って!と自分の定期を
私に渡してくれた
さわやか笑顔の青年が
目の前に現れました。
サンキュー❤サンキューベリーマッチ
何度もそういうしかできず、
お返しも何もできませんでした。
こうやって
見知らぬ誰か、困っている人を
さっと、助けることができる人って
ほんとうに素敵ですよね。
改めて、彼に心から感謝します。
これまでも
旅をしていると、
二度と会うことはできない
こうした親切な方に
救われてきたなあと思います♪
ある日の夕方
地下鉄車内での出来事。
17時過ぎて地下鉄は、
すこし混み始めていました。
それでも、
日本のラッシュアワーのような
ギューギュー状態とは程遠く、
立っている人がやや多めという車内で
私は、運よく座ることができて
すこしウトウトしていたのです。
もちろん大事なものは、
胸にしっかりと抱えながら、ですが、
車内でウトウトできるくらいの
そんな雰囲気でした。
ある駅に着いたらしいそのとき、
車内が少しざわめいて、
私は目をあけました。
その駅に降りようとしていた
車いすの男性が
大きな声をだしていました。
ドアとホームの段差のせいで、
車いすがうまく進まないようです。
車いすを押していた女性では、
どうやら、びくともしないらしく、
車椅子の男性は、かなり大きな声を出して
鉄道会社のスタッフを呼んでいます。
しかし、なかなかスタッフは現れません。
すると、車いすの男性は、
あえてドアの真ん中に
自分の車いすを挟みました。
そのため、電車は動かず
しばらくその駅で止まったまま。
車いすの男性は怒りにも似た
大きな声を上げ続けて
スタッフを呼んでいます。
彼の車椅子は電動式のせいか、
見るからに重そうで
その車いすを押す女性は
男性のムスメさんでしょうか?
身長156センチの私よりもずっと小柄で、
彼女だけで押しても、きっと無理だろうと
非力の私でも一緒に押してみようか、
どうしようかと躊躇していると
車内のどこからか、体格の良い中年女性と若い男性が
その車いすの両脇に近づいて、車いすを
もちあげようとし始めました。
それでも、車いすの男性が大柄のせいか、
やはり車いすは、動きません。
何か私も手伝いたいと思いましたが、
今、しゃしゃりでても何もできないなあ、
と様子をうかがっているうちに、
ようやく二人の鉄道職員が、
大きなボードを抱えて持ってきました。
職員の運んできたボードのおかげで
無事、車椅子の男性は
電車から降りることができました。
車いすの男性が
やや声を荒げていたのは、
正直少し怖かったけれど
彼にしてみたら、まっとうな主張です。
私も、そして車内も
ホッとした空気に包まれました。
動き出した車内では、
先ほど、車いすを両脇で抱えていた男性と女性が、
手と手をあわせてパチンとならしました。
それをみて、みんな微笑みました。
車いすを押そうとしていた
小柄の女性も安堵の表情でした。
私は、彼女も車内に残っていたので、驚きました。
彼女もまた、車いすの男性の知人でも家族でもなく、
ただ目の前の困っている人を
助けようとしていただけなんだ、と。
私は、とても素敵な瞬間を
見せてもらえた気がしました。
こうした親切は、
きっと、ボストンでなくても
日本でだってあちこちで、
見られるのかもしれませんが
旅先だと、
なおのこと印象に深く残りました。
ボストンの地下鉄で
私が困っているとき
見知らぬ青年に
助けてもらったり、
目の前でみた心優しい人たちの
ステキな光景を目にし、
私も誰かのために、
ほんの少しのサポートやヘルプが
できる人になろう!
そう思った出来事でした。