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ヨード液うがい薬は要注意

2005年に発表された京都大学による研究です。
全国18箇所、387人が参加しました。
うがいをしない群、水うがいをする群、ヨード液うがいをする群の3つのグループに分け、それぞれの行動を2ヶ月間行ってもらい、風邪の発症率を調べました。

その結果、うがいをしない群では、風邪の発症率が1ヶ月あたり100人中26.4人、4人に1人が発症していました。
一方、水うがいをする群では100人中17人と、発症率が明らかに低下していました。
水うがいだけでも十分に風邪を予防できることがわかります。
そしてヨード液うがいをする群では、100人中23.6人が発症。
水うがいをする群より1.4倍も高く、うがいをしない群と比較してもそれほど変わらないという結果になりました。

病気になっていない人が予防のためにヨード液うがい薬を使っても意味がないということになります。
また、ヨード液うがい薬は口腔内の正常な細菌をも破壊してしまいます。
ヨード液うがい薬の頻回な使用により粘膜の細胞が傷つき、インフルエンザなどになりやすくなったという論文もあります。

口や腸の中にはさまざまな細菌がいます。
そしてその微生物の世界には一定の秩序があります。
いい菌もいればそうでない菌もいてバランスを保っています。
ヨード液には強力な殺菌作用があるため、そのバランスが崩れてしまいます。
正常な粘膜の抵抗力が失われてしまい、それによりむしろウイルスの侵入経路となってしまう可能性があります。
またタンパク質変性作用が強く、希釈が不十分だと正常な組織を痛めてしまい、粘膜障害を招くこともあります。

風邪をひいている状態であれば、仮に甲状腺疾患の人でもヨード液うがいを数日間やることに何も問題ありません。
しかし喉の症状など何もないときに毎日ヨード液うがいをするようなことは控えた方がよさそうです。

ヨード液を含むうがい薬でうがいをしたところ、唾液中のウイルスの陽性頻度が低下したという話があります。
殺ウイルス効果がありますので、うがいをしたことで口の中のウイルスが減って陽性頻度が下がるのは当たり前であると言えます。
ヨード液うがいによって検査の陰性化を促すことができるかもしれない、ということは言えそうです。
一時的に口の中のウイルス量を減らしたとしても、全身のウイルス量が減ることとはイコールにならないということ、重症化を抑える根拠にはならないということを知っておく必要があります。

健常人18人に1日3回、15秒のヨード液うがいを行ってもらい、尿中のヨードを測定した報告があります。
その結果は、平均して1日4mgのヨードが吸収されていました。
1日に摂取すべきヨードは0.15mg程度です。
甲状腺機能低下症の方や妊娠中の方は特に注意が必要です。

ヨード液うがい薬は使うべきときにだけ使いましょう。
普段は水で十分です。

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