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⑧転職と昇給のタイミング

 イギリスでもしあなたが料理人として成功したいと考えているのなら転職と昇給のタイミングをきちんと計画して望まなければレストラン側にいいように利用されて終わってしまいます。
 レストラン経営者はできるだけ自分に都合がいい人材を安く働かせたいと思っているので欲のない従業員にはできるだけ昇進と昇給のチャンスを与えません。
 
 どこのレストランも人の入れ替わりが激しく従業員が長く居着かないのが普通です。そのレストランに嫌気がさして逃げ出すという人ももちろん多くいますがそれ以外にもいろいろなレストランを渡り歩いて自分の技術を身に着けたいというポジティブな理由もちゃんとあります。
 
 そういう料理人は大体一つのところで一年以上働いたら別のお店に移っていきます。
 料理人は職人なのでどれだけ多くの技術やレシピを集めれるかでその人の地位が確定します。
 大体どのレストランでもそのレストランの自慢の一品があります。それはどこにも流出させたくない大切なお店の財産ですが働く従業員に隠すことはできません。そういうレシピを盗み学んで自分のレシピに加えていきます。
 
 そしてもう一つお店を変わる理由が昇進と昇給です。長く同じレストランで働いていても昇給はできても昇進はなかなかさせてくれません。
 
 転職するには時期がとても大事だったりします。クリスマスの後はどこのレストランも人員を削減しているので新しく求人を出すところは少ない上に一つの求人にかなりたくさんの応募が殺到します。
 
 私のおすすめのタイミングは春です。夏の忙しい時期やクリスマス前だと仕事に慣れる前に忙しくなりすぎて思うように動けなかったり、スタッフと仲良くなることが難しくなるからです。春はこれから忙しくなるであろうと予測されているので求人も出やすいし、誰もが少し余裕があるので歓迎されやすいです。
 
 そしてもしあなたが今いるレストランが気に入っていてそこで昇進と昇給を願うのならば
クリスマス前が一番効果があると思います。そして一度だけお願いするのではなく、夏の終わりごろから少しずつ話を持っていき、クリスマス前にはっきりと昇給してほしいと伝えると上司からマネージャーへと話が自然と伝わっているので話が早く進みます。
 クリスマス前に従業員に辞められることを懸念している経営者はこの時期なら意外と簡単に話を進めてくれます。そしてもし気まずくなりその会社を辞めることになったとしてもクリスマス前ならば採用してくれるレストランも多いので怖がらずに強気で行くことも出来ます。
 
 イギリスでは転職しようとする時、まずレストランに履歴書を送ります。
そこで気に入ってもらえるとインタビューの連絡が来ます。インタビュー自体はあまり意味がありません。履歴書をすでに見ているので話す内容はあまりありませんが人柄やキッチンになじみやすいかどうかを見ているのだと思います。もしそこで話が進めば次は一日体験の日を決めます。
 この一日体験は実際にキッチンに入ってその人の仕事ぶりを見ます。その日、働いたからと言ってお金はもらえません。そしてそこでも気に入ってもらえたら正式に採用の手続きに入ります。
 
  そしてもう一つ大事なのがレストランをやめる時、できるだけいい関係を維持しておくことです。もちろんいろいろなトラブルがあって辞める場合はそういうことができなくても当然ですがそうでない場合はできるだけそこのシェフやマネージャーを立てておくと後々助かることが多いです。
 一つにレストラン業界は広いようで狭い業界なので巡り巡って昔の同僚と働くということもなくはありません。また新しい職場の人事担当者が調査のために連絡を取ることもあります。
 
 私は経営者が悪くなかったレストランをやめる場合、辞めた時にお礼のプレゼントとカードを贈るようにしています。日本ではよくあることだと思いますがイギリスではそういうことが全くないので好印象を持ってもらえます。
 そして、できるのなら一年に一度、クリスマス時期に今まで働いていた場所すべてにクリスマスプレゼントを持っていきます。こうすることによってやめて離れた職場でも自分の実績や人柄を思い出してもらうことができるし、またポジションに空きがあった時など声をかけてもらいやすくなります。
 
 私はこの方法で以前働いていたお店3軒から仕事の依頼をもらい、そのうちの1軒に昇給と昇進の条件で戻りました。また他の2軒ともいまだにいい関係を続けています。面倒くさがらずに一年に一度、昔の職場を訪れることで思いがけないチャンスが舞い込むこともあるのです。
 
 
 
 
 

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