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【3】基礎の積み重ねを怠らず「最初のドミノを倒した人」だけが何者かになれる #小原課題図書

#小原課題図書 も三週目。九冊目を読み終えました。特に今週の三冊は「書くこと」に直結する内容でしたので、ライター・編集者を志す同世代にとって有益なまとめになるよう、いつもより噛み砕いてログしてみます。最後までお付き合いくださいませ。

『聞く力―心をひらく35のヒント』

タレントやエッセイスト、小説家…様々な場面でマルチな才能を発揮する阿川佐和子さんが書き下ろした一冊。長らくインタビュアーとしてもご活躍されており、現場で仕入れた「相手の話を聞き出す」35のヒントが詳細に綴られています。

インタビューのテクニックという意味では、それほど目新しいことが書かれている気はしません。よくよくインターネット上で見かけることも少なくありません。ただ、納得感もあるし面白かった。では、どうして面白いのだろう…?

少し深掘りして考えてみると、2つの答えがでてきました。1つは、細かいテクニックが、阿川さんの失敗談とともに紹介されていることです。ただただテクニックを羅列したノウハウ記事もありますが、そこで根拠を述べられても、共感性は低いですよね。

「あくまで現場から得た教訓ですよ」謙遜して書かれているところが、共感しながら読める一つの理由になっているのだと思います。タイトルに「35のヒント」とあるように、指南書ではなく、あくまで阿川さんのエッセイ。そこに読み物としての面白さがあるのだと思います。

もう1つは、とにかく阿川さん「っぽさ」があるところ(阿川さんのことを詳しく知っているわけではありませんが…)。本書の中に「阿川さんは話しやすい」と言われたエピソードがあるのですが、それを象徴するように、この本まるまる話しやすい一冊なんです。

前回読んだ『本を読む本』の中に「読書とは著者との対話である」というようなことが書かれています。まさに、それ。(対話するように読む必要がある、というのが本旨ですが)話しやすい阿川さんと対話するように読めることも面白さの理由のように感じられました。

もちろん「35のヒント」は日常で使える有益な情報ですが、1つ1つのヒントを齧り付くように覚えるのではなく、一冊まるまる、ここに凝縮された対話のテクニックをよりマクロな視点で楽しんでみるのもアリなんじゃないかと思います。分量もライトですし、文体も柔らかいのですぐ読めます。相手の話を聞いて、そこにある素敵なストーリーを紡いであげられる素敵なインタビュアーになりたい人、必読ですよ。

『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』

同じ系統の本でいうと、1週目に読んだ『20歳の自分に受けさせたい文章講義』と同じ。「書くこと」の教科書。

ナタリーで開かれている新人記者向けの勉強会の内容をそのまま本に落とし込んでいるだけあって、これ一冊あれば「駆け出しのライターに必要な情報を網羅できるのでは?」それくらい中身の濃い本です。

記事の構成を作る時、記事を書く時、編集する時…とそれぞれ章立てられているので辞書的に使うことができます。迷った時にすぐ開けるように、常に持って歩くのがいいかも。僕はこれ一冊持ち歩いて、いつでも指針にできるようにします。

特に参考になったのは、「第1章 書く前に準備する」と、第2章に出てくる「主語と述語を意識しながら構造に還元して読む」の二つ。詳しい内容は購入してチェックして欲しいのですが、やはり文章の良し悪しはある程度書く前に決まるし、主観を省いたわかりやすい文章こそが正義、ということを思い知らされます。

本を読みながら、その場で実践できるので、なんども繰り返し訓練することで文章が上達としていくと思います。今まで読んだ同系統の本の中では、もっともわかりやすく学びが多い一冊でした。

『ぼくらの仮説が世界をつくる』

今週最後の一冊は、コルク代表の佐渡島さんによる『ぼくらの仮説が世界をつくる』。読みながらどんどんページをめくるスピードが早くなるのがわかり、終わるのが惜しいと思えました。それくらいにワクワクする本です。

ざっくり説明すると、タイトルにもある通り、仮説を立ててそれを実行する、それを繰り返すことで自分が掲げる理想の世界を作ることができるということが書かれています。仮説の立て方についての説明などもありますが、この本の面白いところはそこではなく、読みながら自分の仮説がどんどん出来上がっていくところ。

特に第4章の、「ドミノの1枚目」を倒す 以降には、本当に重要なことが書かれているように思えます。佐渡島さんによると、世の中は変化していくものだから、未来を見て変化に対する最適なアプローチ(=仮説)を考えて、それを愚直に実行することが大切らしい。しかし、そんな時代においても変わらない大切なこともあるとも書かれている。

僕には、その「変わらない大切なこと」、いわゆる“本質”がこの章以降には詰め込まれている気がしてなりませんでした。一読しただけでは整理できていないので、その一つ一つを拾うことはしませんが、ここで一文だけ紹介します。

僕は本を読みながら気になったところに印をつけたり、行間にコメントを書いているのですが、読み終えた後にさらっと目をとした時にとある仮説を立てていました。その仮説立てに至った一文です。同世代(特に学生)時代に知れたらいいことだと思うので、ピックアップしました。

金融業界の利益率がいいのは、金融業界の人が特別に優秀だからではなく、お金を投資しているからお金が戻ってくるのです。それ以外の産業では、違う価値を生み出し、それをお金に変換しているので、その分投資効率は下がる。-190ページより引用

言ってしまえば当たり前のことだけれど、この本を読んでいれば、こういうたった一文の中にも仮説を立てるチャンスがたくさんあることに気づけます。僕が行間にメモしていたのは以下の文章。

学生が投資できる唯一のリソースは時間。欲しいもののために、時間をダイレクトに変換していかないとダメ。お金が欲しいのに、時間を労働力に変えて、労働力をお金に変えていたら投資効率が悪い。時間をなりたいことにダイレクトに注ぐことでレバレッジをかけられる。

書いてある通りですが、要は学生最大の資産は時間。なりたいことが漠然とでもなければ、その時間を注ぐ対象すらない。資産がただすり減っていくだけで、全くもって意味がない。意味がないというかもったいない。まずは仮置きでも一旦ゴールを決めて、それに至るまでに何が必要で、その必要な要素に時間を費やせることが学生時代の意義。というのが、引用した一文から僕が作った仮説です。

あまりそこを深掘りしても意味ないのでこの辺で終わりますが、まあ伝えたいことは、この本は早い段階で触れた方が絶対にタメになるということですね…。少なくとも僕は2年くらい前には読みたかった…。

・・・

今までもそうですが、今週の三冊は、特に筆者が現場で培った情報や方法論が書かれていました。

何より「タメになったな」というのがトータルでの感想です。なんで「タメになった」のかといえば、どれも現場で知り得たことだけが書かれているからかもしれません(あくまで仮説ですが)


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オバラ ミツフミ
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