千住Art Path 2023「デッドドラムス」

はじめに

こんにちは。
東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科プロジェクト音響の小原幹哉と申します。
ここでは千住Art Path 2023のために製作した「デッドドラムス」という作品について書いていきます。


フライヤー


作品概要

ステレオ2mix、約3分10秒のドラムソロ作品。タイトルの「デッド」は、残響が少ない音のことを言う。奏者と録音環境やマイキングについて入念に打ち合わせを行い、レコーディングを行った。レコーディングの環境が作曲と演奏に与える影響に注目して聴いてほしい。


演奏者

ドラムの演奏は高橋直人さんにお願いしました。

Twitter:@shihakata_dr


instagram:@naoto_takahashi


動機

作品制作を始めるにあたり、3つのテーマを設けました。

・高橋直人のドラムを録音したい。
 高橋直人の叩くドラムが好きで、音の趣味も合うし、以前から交流があったのでディベートもしやすいと思ったから

・たくさん吸音した音を録りたい。
 自分の趣味嗜好。

・作曲・演奏に寄り添ったレコーディング、ミックスをしたい。
 私はDTMで音楽をつくっているので、自分の中で録音、ミックスと作曲の過程の線引きが曖昧になっていると感じている。しかし、ならばいっそのこと作曲・演奏に大きく介入してレコーディングをしてみたらどうなるのか?と興味があったから。


録音環境

千住キャンパススタジオBで録音を行いました。

2023/10/18
プリプロダクションを行い、マイキングや吸音材の配置の仕方などを調整しました。

ドラム全体を囲むように吸音材を配置しました。
背後にも設置しました。

何パターンかのマイキングや吸音材の置き方を高橋直人と聴き比べ、本番のセッティングをほぼ決定しました。


2023/11/25
本番の録音を行った。

本番の様子
Kickのマイキングはマイクで狙う場所、ミュートの位置など細かい調整を重ねました。
演奏の様子

使用したマイク

OH_L / AKG C414
OH_R / AKG C414
HH / SHURE SM57
Sn_1_top / SENNHEISER MD441-U
Sn_1_bt / SHURE SM57
Sn_2_top / AKG C414
Sn_2_bt / SENNHEISER MKH8040
Floor_tom / NEUMANN U87Ai
Kick_out / SENNHEISER MD421
Kick_in / SENNHEISER MD441-U
Kick_bt / AKG PZM30 D
Room_L / Austrian Audio OC818
Room_R / Austrian Audio OC818

ミックスについて

使用DAW:Logic
使用プラグイン:waves plutinumなど

全体的なミックスのリファレンスとして、ルイス・コール、ドミ & JD・ベックのようなドラムンベースを置いた。

・セカンドスネアのゲートリバーブ
 セカンドスネア(音が高い方のスネア)にゲートリバーブというエフェクトをかけた。ゲートリバーブとは、デジタルリバーブで残響音を足した後、ノイズゲートで一定の音量以下の音をミュートするエフェクトのことである。

・キックのキャラクター
 ソロ作品ということで、飽きられないように特徴的なキックの音を作った。Kick_inのトラックにゲートリバーブをかけ、85Hzを強調した。

・ルームマイクの使い方
 
展開をつけるため、0:00〜1:16まではルームマイクを使わず、1:16からは徐々に音量を上げていった。

おわりに

今回、ドラムの音だけに焦点を絞ってレコーディング、ミックスをしたことで、自分の好きな音を作りこむことが出来たのは非常に大きな経験になった。
今後も自分の好きな音を追求していきたい。


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