「マスクファッション」から始める日本が創るニューノーマル
マスクにネガティブな印象をもつ欧米でも、コロナでマスクを着けるようになった。一方、日本ではコロナを機にファッショナブルなマスクを女性たちが身に着け始めた。コロナとマスクを機に、日本企業はもっとアフターコロナのニューノーマルを世界に打ち出せるのではないかと思う。
シャープ、ミズノと異業種によるマスク製造が続くなか、ついにユニクロのマスク参入が公表された。夏が近づくにつれ、エアリズムのマスク登場を期待していた人は筆者だけではないだろう。
しかし当初、柳井会長は「マスクより服で貢献する」として、マスク参入には否定的だったとされている。
では、柳井さんの言われる「服」とは何か?
辞書を引けば、服とは身に着けるもの、とある。
実際、ユニクロではTシャツ、スカート、ジーンズ、下着、靴、帽子、サングラス、バッグまで売っている。マスクも身に着けるものなのに、なぜやらないのか?疑問に思っていた人も多かったのではないだろうか?
マスクは医療衛生用品としてのイメージが強すぎる、許認可や精度、量産後の需給動向などに懸念があったのだろうか?
しかし、長引くマスク不足でマスクを手作りする人もあり、布製マスクを寄付・販売する中小事業者も出始めていた。
そして街にはカラフルなマスク、個性的な柄のマスクをする女性が目立ち始めた。女性たちはいつの間にかマスクをファッションとして楽しみ始めたのである。
小池都知事のマスクも話題になった。
小池都知事はマスクとスーツをコーディネートしている様子が窺われる。
他の自治体でもご当地キャラのマスクをする知事などが現れた。
マスクはもはや医療衛生用品の枠を超えている。
いろんなファッション・ブランドやキャラクタ・ライセンサーからマスクが出てきたらコロナの辛さも和らぐのではないだろうか?
日本だけでなく、世界の人々が今後も新型コロナウィルスと長く付き合わざるを得ない。厳しい環境をただ悲観的に受け止めるだけでは辛い時間になってしまう。
これを機にマスクのイメージや位置づけを変えたらよいと思う。
医療関係者を除き、一般的にはマスクは本来、花粉症やインフルエンザの予防としてどちらかというと止むを得ず身に着けるもの、ネガティブな理由から身に着けるものだった。そのうち、若者の間でノーメイクでも楽ちん、対人関係が苦手なのでマスクをしていると安心する、という人も出てきた。
この際、多くの人がポジティブにマスクを着けられるよう、機能性に限らず、ファッション性を高めたらよいと思うのである。色柄の種類も豊富になれば、もう少し明るい気持ちでコロナとの生活を送ることができるだろう。
実用的な衛生用品からファッションアイテムへ昇華させるのだ。
現在、ファッションアイテムとして定着しているものも、かつては実用目的だったりする。
例えば、ジーンズの歴史はかつてゴールドラッシュの時代、鉱山で働く人々の作業用の丈夫なズボンとして始まったことが知られている。
今回のコロナでマスクの代用品として一部の人が使っているバンダナも、元は農業従事者やカウボーイたちが日差しや砂埃を避けるための実用品だったようだ。
日本の女性たちは無意識にマスクをファッションアイテムのひとつに昇華させた。企業が意識的に取組み、コロナで悲観的になりがちな世界に対して、新しい生活、それこそニューノーマルを象徴するひとつのファッションアイテムとして日本発で積極的にアピールしてはどうだろうか?
その先頭にファーストリテイリングになって欲しいと思う。なぜなら、同社の企業理念は「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」だからである。
日本の女性たちは厳しい環境下でも楽しみを見出す、生活に潤いや彩りを添える、豊かさを創り出すことができることを示した。
自然災害の多い日本に住む人や組織にはそうした厳しさから何かを生み出す力があると思う。
これを機に、コロナで暗くなっている世界に対し、日本はマスクを新しい生活、ニューノーマルのファッションアイテムとして世界に送り出し、世界を明るくしていくことに貢献してはどうだろう?
と同時に、マスク以外の分野でも同様に、商品、サービス、事業、企業を再定義すれば、ニューノーマルとなる日本発のイノベーションをもっと創出できると思う。
日本発のニューノーマルを世界に発信しながら、厳しい環境下でも楽しみを見出す、生活に潤いや彩りを創り出す、そういう日本の力強さを世界に見せることで、世界を少しでも明るくすることに日本は貢献できるのではないかと思うのである。
歩く好奇心。ビジネス、起業、キャリアのコンサルタントが綴る雑感と臍曲がり視点の異論。