【フリー台本/#絶望という花束を君に】おーい、兄ちゃん、そこのご高説垂れてる作家志望の兄ちゃん
以下は黒根百合花さん主催の企画【#絶望という花束を君に】に台本を寄稿する為に書き下ろした台本です。
絶望がテーマということで【少し気分が落ちる】を標榜してボイス動画を投稿している私としては携わりたいなと思い、初のフリー台本配布と相成りました。
関西弁台本なので扱い辛いかも。
利用について
ご利用の際は尾花そこつの名前とTwitterID(@O_Skotsu)を書き添えてください。
趣味のいいテーマではありませんので、無いとは思いますが、自作である事を主張する行為はお止め下さい。
投げ銭や広告収入で収益を得る分には構いませんが、閲覧者が限定されるような(支援サイト等)でのご利用は固く禁じます。
企画の開催期間内は企画元の規約にも従い、ご利用ください。
設定
リスナー
ちょっと鼻につく当て擦りをしてくるタイプの自語り、創作論が大好きな小説家志望(ワナビー)。創作しない人を無産と内心で軽んじる希によくいる危うい人
具体的なモデルはいません。
演者
人と感想を共有したいタイプ。
溜め込むタイプで暴発すると嫌味に際限がない。
これまで知人であるリスナーに対して蓄積させてきた不快感を反芻して内心で暴言の推敲をしてきた。
台本について
演じる方が読みやすい言葉遣いに適宜直してお使いください。
文頭に//とある文章はト書きですが、その通りでなくとも構いません。
改行は自分だったら前後と変化をつけるかなと思う箇所に目安として入れていますが、演じる方の自由です。
淀みなく読むと様になる気がする
本文
君さあ、小説家志望やったっけ?
そっか。目指して何年くらい?
//子供扱いするようにあからさまな猫なで声
ふーん、えらいねえ。
//リスナー、訳が分からないといった反応を返す
//吐き捨てるように
なにがて、えらい無駄な努力続けて来はったんですねって意味やん。
//聞き分けのない子供に言い聞かせるように
私はな、小説家になりたがる奴には大まかに二種類の人間が居ると思ってる。
1つ目は頭にあるもんを書き出したい、とにかく小説が書きたい。
書きたいから成る、好きやから成る。
そんな人間。
2つ目は誰かに影響を与えたいと思っている承認欲求と下心だけ肥大させてなんの進歩も成長もさぇへんクソ野郎や。
君みたいなね。
動機はそれぞれあるでしょうや。
でも、良くも悪くも誰かに評価を依存させているお陰で腐りやすい。
そして阿ってくれる誰かの上に立ちたいと大小に関わらず思っている。
そう、君みたいに。
ほんましょーもな。
君がどんだけ崇高な理念をお持ちであったとしても、そのお気持ちに他人様を巻き込んだ時点で、
//自分の思う1番の柄の悪さ、不機嫌さ
「気色悪いんじゃボケ。ぶち転がすぞお前」
//おだやかに
……程度の感情しか持たれへんくなる。
他人様というか、私がそう思ってるって話なんやけども。
あのな、腹で何を思っててもよろしいけど、その薄ら寒い自己陶酔を披露する為に人の言葉尻掴んで、僕の持論はね……とか、ほざき始めたら最後やぞ。
そもそも私、読んだ小説の感想を話してただけで、君に話しかけた覚えも話しかけられた覚えもあらへんねん。
何わざわざ当て擦っとん。恥ずかしないんけ?
今の君、人の肩にぶつかりながら訳の分からんことを言うてすれ違っただけやで。
//「」内はあなたの思うステレオタイプのキモオタ
「なんとかちゃんはサービスしてくれたのになフヒヒッ」
//「」とテンションの落差を強調
みたいな。態度取るんやめてくれる?
あんたの相手してくれてる奴らはただ人より気が弱いか頭が弱いか同じように言い負かして悦に浸りたいだけの狂人しかおらへんから。
前者はただの時が過ぎろと思いながら接待してただけの人らやぞ。
真に受けてんのヤバない?私やったら死にたなるわ。
なんやあんた 、もしかして、それも承知で能書き垂れてたりする?
地球全体が風俗やと思っとんけ。
……さすがにないか。そらせやわな。
思っとったら無いはずの株がますます下がるところやった。
ほんで、話に戻るんやけど、君、最後に物書いたんはいつや?
……ふーん。
で、完成させたんはいつや。
やっぱり君、向いてへんよ。
向いてへんけど、お望み通り人に影響を与えられたよ。
嫌悪感でとても気持ちが揺さぶられた。
君とは関わりたくない。
肩に触れれば気持ちが悪いと思う。
触れてしまった服はもう着てられへんなとも思う。
穢れよな、穢れ。素晴らしい作家先生やなくてバイ菌と同じ扱いよ。私の中ではさ。
一応聞くけど、これが君がなりたかった小説家さんがする言動?
//小馬鹿にする感じ。にこやかに。
ごめんね、小説家志望の方でしたねー。
なれるとも思っていませんが、これからも頑張ってください。
//平坦に。もしくは侮蔑するように
えらい無駄な努力をね。
補足
主題:絶望
副題1:膨れ上がった自尊心を不意に踏み躙られる
副題2:明確な悪意で人を傷つける事への自己嫌悪
リスナー視点はあからさまにチクチク言葉の大雪崩なので各自想像しやすいかと思うので、演者ちゃん視点の絶望について補足します。
リスナーが気軽に行っていた当て擦り(不穏な空リプのような類)は楽しい時間に冷水を浴びせてくる脅威であり、演者ちゃんにとっては気が重たい瞬間で、小さな失望を積み重ねていたんだと思います。
好きな作品の余韻に浸る時間や友達と感想を言い合ったあの時間にケチがついてしまったそれはとても悲しいし、思い返す度にリスナーの嫌な言動も付いて回るのですから、これからも引き摺る絶望でしょうね。
嫌いな人とはいえ、悪気がない(最悪!)相手なのにあんな風に言ってしまってよかったんだろうか。
あんな事言えてしまえる私ってめちゃくちゃ嫌な人じゃない!?
と、喉元を通った瞬間は爽快でも、遅効性の毒のように自分の大人気なさに自己嫌悪が募ってまた別種の絶望をします。