海外学振@カナダ|ビザ申請編
まもなく日本学術振興会の海外特別研究員としてカナダに出発する予定なのですが、6月なかばにやったビザ(ワークパーミット)申請についてメモしておきます。自分は代行業者を通さず自力で申請したので、「これちゃんと通るのか……?」とかなり心配でした。同じ状況に陥った方の助けになれば幸いです。
海外学振は日本学術振興会から給料をもらって2年間海外の研究機関に滞在できる制度ですが、ビザ申請は手伝ってくれません。こちとら長期の海外滞在は初めてなので、ビザというものについて調べるところからスタートです。
本当に無知だったので、カナダ大使館に行ってなんかわちゃわちゃすればいいのだろうぐらいに思っていたのですが、どうやらカナダ大使館にはビザの担当課がないらしく、基本的にカナダの移民・難民・市民権省(IRCC: Immigration, Refugees and Citizenship Canada)のサイトからネット申請になるようです。
そもそも、海外学振はなにビザなんだ?という感じですが、派遣先がカナダの場合、ポスドク向けのビザというのがあるので、それで大丈夫そう。ふつう滞在先研究機関は決まっているので、オープンじゃない方のワークパーミットになるかと思います。
ともあれ、IRCCのサイトに登録し申請準備を開始します。このサイトやたら重いし、毎回認証がたくさんあるのが面倒くさい。はじめになに目的での入国なのか長いアンケートがあるので、ポスドクっぽい方へと話を進めます。一通り答えると、必要書類をアップロードするページへと移るはずです。
申請に必要な書類は、時期によって違うらしいのですが、私の場合は以下を求められました。
メインの申請書 Application for Work Permit Made Outside of Canada (IMM1295)
パスポートのコピー Passport
証明写真 Digital photo
学位証明 Education (diplomas/degrees)
研究計画書 Research Proposal
履歴書 CV/résumé
雇用条件を満たしていることの証明 Proof that you Meet the Requirements of the Job Being Offered
現地受け入れ先からのレター Invitation Letter
LMIA免除の証明 IMM5802 Offer of Employment to a Foreign National LMIA-Exempt
雇用主からのレター Employment Reference Letter
雇用記録 Employment Records
現在の雇用主からのレター Letter from Current Employer
以下、それぞれ細かく解説。
派遣開始日が決まり、行きの航空券を予約したら、派遣先に「Invitation Letter」と「IMM5802 Offer of Employment to a Foreign National LMIA-Exempt」をお願いします。前者はその名の通り、滞在先、滞在期間、現地での職位、雇用条件などを記載した書類です(間違いなければ、大学公式のレターヘッドに書いて送ってくれます)。私の場合、受入研究者にメールしたら学務の方につなげてくれました。
後者は聞きなじみがないですが、派遣先に言えば分かってくれます。カナダのワークパーミットは、ふつうLMIAという機関による審査(現地カナダ人の雇用に悪影響がないかどうか)が必要なのですが、ポスドクを含む一部職種は免除されます。そのために派遣先が手続きし、手数料を払ったよー、という証明が「IMM5802 Offer of Employment to a Foreign National LMIA-Exempt」です。派遣先の担当者にひと手間かけることになるので、早めにお願いしておきましょう。
以上の書類を用意してもらうのに先立ち、まず派遣先に履歴書と研究計画を共有しておきます。前者は、受け入れをお願いするときにすでに作っていたものがあるのでそれを使いまわし(私のCVはPhilpapersで見れます)。後者は、学振申請書の1ページ目をざっくり英訳しました。どちらも、ビザ申請でも使います。
細かい情報は「Application for Work Permit Made Outside of Canada (IMM1295)」というメインの申請書に記載します。このPDFファイル、Adobeのリーダーじゃなきゃ開けないので注意。途中、「IMM5802 Offer of Employment to a Foreign National LMIA-Exempt」に記載されたナンバーが必要な欄があります。その他、パスポート、証明写真、学位証明を用意しておきます。学位証明は、博士号の学位記をスキャンし、ざっくり英訳したものを添えて提出しました。
「Proof that you Meet the Requirements of the Job Being Offered」というのは正直なにを出せばいいのかいまいち分からなかったのですが、学振から英語の証明書を出してもらえるのでそれを提出しました。
ややこしいのは日本でのこれまでの雇用に関わる三つ。とりあえず、「Employment Reference Letter」と「Employment Records」は大学院時代の指導教員にお願いしました。在籍期間や仕事?内容(単位を取って学位論文を書く)を大学のレターヘッドに記載したものを出してくれましたが、「Employment Reference Letter」と「Employment Records」の違いはいまいちわからないとのことだったので、どちらにも同じものを提出しました。結果的にはこれで大丈夫でした。
「Letter from Current Employer」は、ひとつ受け持っていた非常勤先の、今年度の委嘱通知書を提出しました(ざっと英訳したものとセットで)。そういうのがとくになければ、大学院の指導教員から出してもらったやつをこちらにも提出すればいいのかな。よく分かりません。
あと、私は指導教員が英語ネイティブだったのでもろもろ英語で用意してくれましたが、そうでない場合は英語で出してもらえるか、日本語で出してもらったものをこちらで英訳するか、要相談でしょう。
全部アップロードできたら提出に進みます。申請料とバイオメトリクスの手数料を払います(合わせて¥28,000ぐらい)。ここで、結果が出るまで13weeksとか怖いメッセージが出ますが、私の場合はバイオメトリクスを取った翌週に承認されました。油断もできないので、とにかく早め早めに申請しましょう。
提出できたら、次はバイオメトリクス(指紋採取)です。「Biometric Instruction Letter」というのがメッセージボックスに届くので、それを持ってカナダビザ申請センターに行きます。このレター、24時間以内に届くとの噂があり、届かなかったときにはちょっと焦りましたが、4日後ぐらいに来ました。1週間ぐらいは気長に待ちましょう。
カナダビザ申請センターは東京(浜松町)と大阪にあります。事前にネットから予約し、(1)バイオメトリクスのレター、(2)予約確認書、(3)同意書(2部)をプリントアウトして持っていきます。現地では、個室に呼ばれて指紋をグッとやるだけなので、15分ほどで終わりました。私は不要でしたが、乾燥で指紋がなかなか取れない場合があるらしいので、保湿クリーム的なもの持参推奨っぽいです。ちなみに、ワークパーミットの申請書類はIRCCのサイトにアップロードする代わりに、カナダビザ申請センター宛に郵送するかたちでも申請できるようです。そのほうが、一旦日本人に確認してもらっている感があって、心強いかも。
6月25日にバイオメトリクスを終え、ちょうど1週間後の7月2日にビザ承認のメッセージが届いていました。厳密には、ここで出してもらった「Letter of introduction」を入国時に見せて、完了のようです。
まっすぐ生きてても免許更新を忘れて失効するタイプの人間ですが、どうにかなったのでたぶんそんなに難しいことではないはずです。