『影はいいね』
こんにちは。
春のはじめに次男とお散歩していたときのこと。
出先の知らない住宅街で私の手をぐいぐい引いて歩いていく。
都会から車で1時間ほど離れたその辺りはなんとなく田舎の懐かしさがあって。
空き家やら水路やら。普段見る機会の少ない道を次男は軽くスキップして進んでいく。
私と次男が2人きりになれる時間はなかなか無い。
いつも長男か、大抵のときは夫がいる。
『ねー、ねー!影はいいよね〜〜!!!!』
唐突に次男から元気よく言われた言葉。
明るく軽やかに楽しそうに羨ましさを教えてくれる。
影のいいところってどんなところだろう?って思って聞き返すとこんな返事が。
『どんなところにもスルンって行けちゃうところ!!!!』
なるほどなるほど。影には実体がないから狭いところも曲がったところも危険なところも行けてしまう、そんなところに次男は面白く興味を持った模様。
『ずっと動きをマネしてきてちょっとなんだかなぁ、って思う事もあるけどー!影って面白いし、すごいよねー!僕は好き。』
私はそんなことを教えてくれる君が最高に好きだな、そう伝えてニッコリ微笑んで次男をハグした。
光のあるところに影ができる。
そんな当たり前のことを少し視点を変えて、イイね!と思える時間は楽しい。
明る過ぎて見えない物も、日陰に行けばよく見えたり、日の光の下で育つ植物も、陰日向で成長する生き物もいる。
そして物陰に入れば影は見えない不思議。
無くなるわけじゃない同一化する不思議。
光。影。
明るいところ。暗いところ。
前向きなところ。後ろ向きなところ。
積極的なところ。消極的なところ。
何かと好評価を獲がちな前者だけれど、後者には後者の良さがある。
永続的に。絶対的に良いだけのモノもコトも実はないんだよなぁ。
なんて、母の私は勝手に物思いにふけたのだった。
おしまい。