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これからのライブ配信サービス⑥

 これまで、各ライブ配信サービスの立ち位置や動向、現状などを解説してきました。今回はもう少し大きく、俯瞰的に見た場合はどうか?を解説したいと思います。

①リスナー総数はおそらくは減ってない

 Bigo行っても17に行っても「リスナーが減った」あるいは「リスナーが少ない」という不満を本当によく聞きます。各配信のトップクラスのライバーに聞いても言ってます。
 ただ、そんなやめたリスナーが多いかというといと、少なくとも私から見えている範囲ではそんな急激にやめるリスナーが増えたという印象はないんですよね。
 そして以前紹介したPocochaのユーザ動向。

 これを見ても、「リスナーの数が減ったのではなくリスナーの活動量が減っている」というのが実際ではないかと思われます。
 コロナ中、夜の8時から深夜まで配信を見ていたリスナーが日常に戻り夜飲んで帰る機会も増えて夜11時からしか配信を見なくなったり、在宅勤務で昼も配信を見ていたのが夜だけになったり、とリスナーの視聴時間が減っているんじゃないかと思います。これは私もそうです。
 こうなってしまうと、リスナーは今いる推しの枠に定着率が上がっていきます(他の枠を見て回る余裕がなくなる)。
 それがライバーから見るとリスナーが減って見えるという状況を招いているのだと思います。

②市場は掘りつくされた

 コロナよる異常な巣籠り需要の増加が起きたわけですが、そのあとPocochaのデータを見てもリスナーは横ばいに転じています。
 ライブ配信のコアな顧客層(リスナー層)って20代後半くらいから40代までになりますが、この層はおそらくこのコロナの影響で市場は掘りつくされたとみるべきだと思います。
 ターゲット層のうち、ライブ配信に興味を持つような人はあらかた何らかのライブ配信サービスに触れているとみるべきでしょう。コロナ前はライブ配信自体がまだまだマイナーで、ライブ配信とは何か?を知ってもらうことからリスナーの勧誘は始まりましたが、今はそんな層はいないのでそういうCMなどをしても特にメジャーな配信サービス(17やPococha)はリスナーを増やすことはできないとみるべき。
 そうなると配信サービスがリスナーを増やそうとすれば2つしか方法はありません。

これからターゲット層になる年代の開拓

 今10代の人も、19歳であれば来年には20歳になるし、今大学4年生の人も来年には社会人になります。
 その人たちを開拓していくことになるわけですが、その層は多分TikTokにほとんど攫われることになっていくでしょう。TikTokの若者への浸透状況を考えると必然と言えます。

他の配信から引き抜く

 こちらが現実的にはなってきます。ただ、例えば17をやっている人にPococha勧めたって来るわけないですよね。多少は興味をもつ人もいるかもしれませんが大多数は来ないでしょう。
 そうなると「ライバーを引き抜く」しかないんですよね。ライバーを引き抜いてその人についているリスナー達を勧誘してもらう。
 それか、ライバーを送り込んで、ライバーにリスナーを引き抜いてきてもらう。Pocochaはかなりこれをやっています。

③実際の人の動き

 では、実際今ライバーはどんな動きをしているかというと、ざっくりまとめると次の図のような動きをしています。
 統計が取れているわけではないですが、私が見て回った範囲ではこんな感じです。

ライバーの動き

 もちろんこうじゃない移動もありますが、多いパターンはこの絵の矢印のようになってます。Showroomのライバーは行ったり来たりしているし、Pocochaやふわっち、YoutubeはTikTokへの集客を行っているライバーが目立ちます。
 17やBigoはTikTokへの移動するライバーが増えており、その中でも17は特にトップライバークラスがどんどん移動しています。またマイナー・新興系はPocochaやTikiTokへの移動と、一部がUpliveへの移動を見せています。Pocochaへは出戻りのライバーも多く見かけられます。
 線の太さは人の多さを表していると思ってください。
 TikTokを中心に人が動いているのが見て取れると思います。

④勝ち組と負け組

 正直このライバーの動きによってかなり勝ち組と負け組がくっきりしてきている印象があります。

勝ち組

 一つはTikTokです。地力でのリスナーライバーの集客力もありますが、それ以上に17やPocochaからガンガンライバーが、しかもトップライバーとそれぞれで言われているような人がTikTokで配信を始めているんです。しかもそのリスナーもついてくるから、盛り上がり、それがさらに集客を生むという好循環を生んでます。
 TikTokにしてみれば、多少人がPocochaライバーに抜かれても、むしろそれだけ質の高いライバーが集まってきてくれれば、プラスの効果も強いのではないかと思います。
 もう一つはPocochaです。TikTokでの集客も功を奏していますし、最近は出戻りライバーの増加という現象も見えてます。新興系サービスに移ったライバーが結局リスナーが少なすぎて戻っている傾向が出てきたてるんですよね(Bigoもコロナ中には戻ったライバーもかなりいましたが)。これが実は新興系で見つけたリスナー達も連れてきていて、かなりPococha側に利益の大きい動きになっていますね。

負け組

 Bigoと17、特に17ですね。
 専属契約という形式をとっていることが足を引いて、みんなライバーがやめてTikTokに移動しているんです。その人たちはリスナーも連れて行っていってしまいます。それがリスナー減少も招いてさらにダメージを受けてます。
 専属契約では他の配信で人を集めることもできません。それだとこのリスナーの活動量が減っている中でライバーの成長が見込めないですよね。かといって非専属にすると同じ額のギフトもらっても報酬が減るわけでモチベーション続かないわけで、みんなやめて移動してしまっています。TikTokから人を引っ張ることもできないわけですから。
 専属契約ってこの状況下では多分完全に的外れな戦術で、TikTokだけでも兼業認めないと、正直厳しいとおもいますね。17Live側にマイナスしかない。
 BIGOは専属契約はないですが、やはり移動しています。なんでPocochaみたいにしないのかはよくわかりませんが、17みたいに辞めて移動はしていないようですが、Bigoを休業してTikTokをしているというライバーが多いです。Bigoの報酬体系は魅力も多いので、いずれ戻るとは言ってはいるけど、TikTokでうまく行かなかったら戻るかもというとこは残して配信しているライバーが多い印象です。

まとめ

 まとめるとこうなります。
1.リスナーの推しへの定着度が上がることでリスナーは減っているように見え、同じ配信サービスの中でリスナーを新たに獲得することは難しくなる。
2.新しいリスナーはTikTokから若い層を攫ってくるか、他の配信サービスから引っ張るしかない。
3.TikTokがすでに市場の中心になりつつあり、新規リスナー開拓はTikTokで行うことが現実的な選択肢になってきている。
4.Pocochaはその中でもかなりうまく立ち回って存在感を見せている。
5.17Liveのような専属契約はTikTokという商機をつかめず現在においては時代遅れな戦術。むしろライバーを積極的にTikTok出して人を集めさせなければ配信サービスもライバーも成長は難しい。

 今回は少し俯瞰的に業界全体をまとめてみました。
 業界の状況がわかると、なんとなく今後どうなっていくか、そして自分が今後どうしていくべきか?がわかってくるのではないかと思います。

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