ポートレート写真集『ASYLーアジールー』起
この度、被写体:時子としてオンラインイベント【エアコミケ2】にてデジタル写真集を発表することと相成りました。
企画制作:sanagi from anonymousbody (サナギ)
作品詳細はこちらのアドレスへ
https://enjirom.blog.fc2.com/blog-entry-1073.html
作品情報と併せて、サンプルが数枚ご覧いただけます。
内容は随時更新されますので、要ちぇきらーです。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
今回のデジタル写真集『ASYLーアジールー』の企画制作者であるサナギさんとは、約5年前のとあるオリジナル同人作品イベントで出会った。
私はブースの売り子をしており、ぼーっと呆けていたところを突然、声をかけられた。
『あなたを撮影したいのですが』
私服の私がそう、声をかけられたのは初めてだったと思う。
サナギさんは私の返答を待ち、続けてブースの主に挨拶とお願いをした。
そしてその後、サナギさんとは2回、撮影を行った。
その頃の私は、うつ病を患いながら、いわゆるコスプレイヤーをしており、自分の理想の人物、なりたい人物に扮装し、現実の自分から全力疾走で逃げていた。
そしてあわよくば、自分ではない誰かの扮装をした自分を認められたくてTwitterに画像を投稿し、『いいね』を待ったりなんかしていた。だけど待っていたって何も始まらないわけで……勿論、特に何の反応もなかった。そしてSNS特有の儀式みたいなコミュニケーションにも馴染めなかった。加えてコスプレ界に蔓延する異様な生存戦略を目にすることが増え、Twitterのアイコンが憎くも、かごの中から飛び立てない鳥のように見えはじめて息苦しくなった。
何より、楽しむために始めたコスプレで承認欲求を満たそうとしている自分に嫌気がさし、だんだんとコスプレの世界から離れていった。もう3年も前になる。
しかし一度、急降下した私の『自己肯定感』は底辺のまま…コスプレから離れても『わたし』は【わたし】を見失ったままだった。
そんな中、サナギさんが何年かぶりに撮影に声をかけてくれた。
2020年の7月だった。
そこから改めてサナギさんから今回のデジタル写真集のお誘いを受けた。
サナギさんは作品制作に対して大変、真摯な姿勢をお持ちの方で毎回、撮影の際は、分刻みでのスケジュール作成から、撮影時の衣装の準備、撮影当日までの確認連絡など、きちんとされている。(そんなことを言われてサナギさんにとってみれば当然のことであり、失礼にあたるかもしれないが)今回の撮影にしても『企画書を用意したので一度、打ち合わせをしたい』と言われて驚いた。撮影時に企画書を用意されたのは初めてだったからだ。しかし同時にサナギさんの熱意が伝わってきた。
そして打ち合わせ。
企画書の中で一番、大きく心動かされたのは
『生きるのが苦しい人同士の関係、人間の関係維持に対して敬意をはらう』
というテーマだった。
『生きるのが苦しい人同士の関係』の脆さ、繊細さをよく知っているからだ。
生きづらい人は、生きづらくしている同族に対して、敏感にそれを察知する。たとえ相手が満面の笑みを浮かべて31アイスクリームを食べていても。この人は自分の抱える『生きづらさ』に共感してくれるはずだと声をかけ、それが『生きるのが苦しい人同士の関係』の始まりとなる。
しかし生きづらい人は相手との距離感をつかむことが苦手だし、感情をコントロールすることも苦手、そして自分のことで精一杯であり、常にギリギリを生きている。そんなお互いが支え合うことは大変難しい。
相手に自分を投影し、同族嫌悪に陥ることもある。
ただの他人にどれだけ自分の生命力と時間を捧げることができるだろうか。
その難しさを、私も、サナギさんも、痛いほどわかっている。
そんな中、サナギさんと私、二人の生きづらい人間が改めて関係を築き、そんなテーマの写真集を創る。
私は大変な船に乗り込んでしまったかもしれないという不安と、同時に使命感を感じていた。
そんなこんなでスタートした写真集制作。
今後もこの作品に対して、つれづれに書き連ねてまいりたいと思います。
とりあえず今回はここまで。
作品詳細はこちらのアドレスへ
https://enjirom.blog.fc2.com/blog-entry-1073.html
作品情報と併せて、サンプルが数枚ご覧いただけます。
内容は随時更新されますので、要ちぇきらーです。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。