『(500)日のサマー』サマーちゃんの解説♡
昨日TSUTAYAに行ったら、『(500)日のサマー』が、三つとも借りられてたんですね。僕が大好きな映画なんで、なかなか僕的に評価が高かった、『タリー』が星3つと云う詰まんねぇスコア(バーカ。狙うは三ツ星。byキムタク)を食らっているにも関わらず、嬉しくなってしまった次第です。
しかしそこで思い出したのが、友人の言葉なんですね。
「え!お前、サマーちゃん好きなの!絶対嫌いそうじゃん、あーゆー女!」
そこで僕は思い立ちました。
ちょまてよ。みんな、サマーちゃんの魅力わかってねーの?俺が解説してやるって言ってんじゃん!
これは詰まらない事をベラベラベラベラ言ってる批評じゃありません。考察っちゃ考察だけど、サマーちゃんの素晴らしさを紹介するだけです。つまり、全く堅くない。あと、ネタバレも含みます。作中からの抜粋は、正確には一致してない所があるかもしれません。あと、日本語字幕に文句付けます…悪しからず。
映画なんて人それぞれの解釈ですけど、これを読んでくれれば、サマーちゃんを肯定してもらえると思います。
上手く伝われば、「この映画つまんねぇ」って言ってた人が、「もう一度観てみようかな」ってなってくれるかな?そうなってくれたら嬉しいです。
結論を言いますと、サマーちゃん、好き勝手にトムをふって、他の男と結婚したわけじゃないんですね。しっかり考えてるんです。
先ず、ナレーターが「これはボーイミーツガールだけど、ラブストーリーじゃない」って言ってますよね。ここで、「ははあん。そりゃトム君の成長物語ってー事だな」
と踏んでしまうんですね。
そこが間違っている。これはトムと、サマーちゃんの成長物語なんです。
トムの成長は明らかですよね。要約すると、
自発的なサマーちゃんと出会い、それを運命と勘違いし、フラれてメソメソして、運命でもなんでも無かった、俺はただ受け身だったんだと気付き、メッセージカードみたいな生温い事言って他人を応援してるだけでどーすんだ!とブチ切れ、脇役に拍手され、やりたい事に向き合って、それを突き詰めて、最後に面接会場で自発的に女の子をナンパしたら、それがオータムちゃん。サマーの後にオータムって…これってディスティニー?ってなわけです。
これすらも、初めてこの映画を観た時の僕は理解できませんでした。「はぁ?サマーちゃん、きーんも!ビッチじゃん!誰だよオータムって。」これが高校生の頃の僕。
「やっぱ俺、仕事辞めてよかったじゃん!」大学を卒業し、就職をするも、一年関係が続いていた大好きだったノルウェー人のセフレにフラれ絶望し、仕事を辞めた後にコレを観た僕。
そして今の僕、「サマーちゃん偉い!君、かっこいいよ!」これは、決してフェミニスト云々じゃありません。男も女も関係なく、理解できる内容になっています。
では、サマーちゃんがどんな人間だったのかのおさらい。
“Color my life with the chaos of trouble”
「私の人生をトラブルってゆーカオスで色付けて」彼女の卒業アルバムの一言。
つまり、彼女は波瀾万丈、天真爛漫で、空想家なんですね。いや、それ以上かも知れない…ブっとんでる!自分が思う、面白いを突き詰めたいんですよ。自分のしたい事に正直に生きていたい。世間体なんて感じたくないんです。
まさに、『卒業』のダスティンホフマンみたいな、マッチョなコなんです。
これ、創作してる人には、伝わるんじゃないですかね?俺or私が「カッケー」「面白い」って思う事やるんだよ!って感覚ににてませんか?僕は小説書いてて、そう思う。アイアム主人公って感じ。
だからカラオケバーで「愛は感じればわかる。」なんて自信満々で言って、ベロベロに酔っ払って、Here Comes Your Man なんて歌っちゃってるトムを見ている時の彼女の目は、輝いてるんですね。
だからトムとだって付き合う必要はなかった。楽しい事だけをすればいいから。セックスをしたい時にセックスをしたいし、デートをしたかったらデートをしたいんです。
セックスやデートがしたいなら付き合わなきゃいけないなんて世間体、退屈で仕方ないんですよ。
皆さんも、実際そう思った事あるでしょ?
僕はある。「もしも俺が松潤だったら…」なんて言って花男みてました。
そう、もしも僕が道明寺だったら、間違いなくツクシで終わる様な男じゃねぇ!って思うわけです。
「おいおい何でいつも側にいてくれる花沢類じゃねーんだよ!」って文句を言ってる友人が居ましたけどね、僕に言わせば、
「君は、てんからの馬鹿だね。いいかい?ツクシが花沢類とくっついていた所で、小栗旬でも、ましてや金持ちでもない いなたいオノボリさんのおめぇさんには、何のメリットもねーんだよ。」でした。
…いや、オノボリさんが花沢類に感情移入したっていい!だけどどうせ勘違いするなら主人公の道明寺になろうぜ!そうだろ?
時を戻そう!
つまりそんな根っからの空想家?アタオカ?映画脳?乙女?スポンテニアス?主人公?な彼女だから、二人でアダルトグッズコーナーに入ってみたいし、公園でペニスって叫びたいんです。だってそんなん絶対面白くなるから。
そんな彼女にとって、同じ様なデートは"つまんねぇ"んですね。特に劇中で二回目のIKEAデート(時系列がバラバラの為、一回目のIKEAシーン)では、退屈しています。あの、IKEAのコピー
“We don’t make fancy quality. We make true everyday quality.”
「私達はファンシーなモンは作りません。私達は日常的な、ホンモノを作っています。」これ、字幕になってないのが凄く残念なんですが、サマーちゃんの心情を示唆してるんですね。絶対、サマーちゃんに刺さってるんです。
バーのケンカでトムが一発KOされた時には、びっくりしてから、幻滅しています(これも時系列がバラバラなので最後の方で確認)。だって、映画だったら、相手起き上がって来ないですよね?道明寺がワンパンで相手ぶっ飛ばした後、起き上がって殴り返して来ないですよね?
多分、トムが最初に一発かました時、「何やってんの?」って言ってますけど、彼女いい表情してると思うんですよ。確認出来ない様になってるんですけどね。
そして、彼女の意識がガラッと変わってしまうのが、『卒業』を観た時です。
「私ってバカみたい。」そう言って泣いてしまいます。
これ、ダスティンホフマンみたいじゃないトムに失望してるわけじゃないんですよ。
女の子だから花嫁に感情移入してるんでしょ?って思いがちですよね?違います。僕に言わせれば、
「どうせ勘違いするなら主人公の方がいい。そうだろう?」
彼女は、ダスティン・ホフマンみたく生きてきた自分の末路を垣間見たんです。あの、映画のエンディング、「カッコよく結婚式から逃げて来たはいいけど、この後どうするの?」みたいな、どこか絶望的な問題提起に。あれに彼女は打ち砕かれたんですね。
一方で、子供の頃 既にJoy Division のTシャツを着て冷めた様子で『卒業』を観ていたトムにとっては、何のこっちゃ?なわけです。何で泣いてんのサマーちゃん?アタオカ?って感じです。そもそも彼は未だにあのTシャツを着ている。つまり逆を言えば、あの頃から、未だ成長していない。成長が早かった様で、遅いんです。トムの次のステップは、サマーちゃんにフラれた後なもんですから。
最後に結婚が決まっている彼女は、トムをダンスに誘います。
「お前、彼氏いたんかーい!」なんて、思うかもしれない。でも、これって、サマーちゃんが最後の最後にした、彼女なりの『卒業』なんですよ。彼氏いるけど、トムと踊りたいから踊る!彼女は、元同僚の結婚式だろうと、「ペニス」と大声で叫びたかったんです。だって、そうしたら絶対面白いから。
そんなこんなで『卒業』から卒業した彼女は、結婚してトムの前に現れます。
「あなたとは違う気持ちを感じたから。」と云う和訳は、少し僕には納得できない。
“I knew, what I wasn’t sure of, with you.”って言ってるんですよ彼女。
「あなたといた時に、確かじゃなかったモノが分かったの」って言ってるんですね。
それって、紛れもなく『卒業』のラストのことじゃないですか?あの見えなかったエンディングの先が、新しい旦那さんとなら見えるんですね。
つまり、単に「あなたと付き合いたくない」なんて意味じゃないんですよ。
やりたい事に向き合って、建築の道で仕事を得たトムと、空想家だったのに結局、誰かの奥さんとして骨を埋めてしまった彼女。
それらを踏まえると、あのラストの対峙が少し絶望的ですよね。
でも彼女は、トムに負けないぐらい、希望を持って生きていけるんです。
彼女は言いますよね、トムは間違ってなかったって。
今から生きてくのは、めっちゃ現実的な道だけど、先が見えてしまう退屈な日常かもしれないけど、彼女は頑張れるんです。トムが言っていた子供じみたフェアリーテイル、愛や運命を信じる事で。決して映画みたいな事は起こらないであろう、現実的な今彼を、ソウルメイトだと信じる事で。そうしたら、それもそれで、主人公だって思えるから。
どうですか?これ、彼女の成長なんです。どこかに諦めをつけた、彼女の選択なんです。
そんな感動を目の当たりにした後に、二人が仲直りするべきだったとか、オータムちゃんって誰だよコイツ!なんて文句をつけるのは、野暮ってもんじゃないですかねぇ…
多分、何かに諦めを付けた事がある人には響くんじゃないですかね、この、サマーちゃんの格好良さ。
つまり、何かを挑戦する人には、トムとして感動して欲しいし、何かに諦めを付けた人には、サマーちゃんとして感動して欲しい。そんな映画なんです。
三連休中、是非手に取って欲しい一本ですね!コロナ鬱をぶっ飛ばして下さい!
あー、卒業シーズンだ!俺もそろそろあのコから卒業しないと…とは言いつつ、最後はこの映画の導入部に擬えて
Sigrid... you bitch
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