はじめての林檎博から二週間、私自身を果物で喩えたい。
先日話を書かせて頂いた友人から林檎博代わりに行かね?という話を貰った。やっぱり彼女は乗り切ではなかったらしく、ソニマニの記事も御好評につき「いくいくー⤴️⤴️」と即答、馳せ参じて来たのだが…二週間が経って…未だあの経験を咀嚼しきれていない。
その昔、林檎が落ちてきて「あゝ、さては万有引力、あるねえ⤴️⤴️」となれる人間が幾ついただろうか?きっとアイザックニュートンだけだ。残りの人間は「あるある!万有引力ある!」「特にこの辺り!」「ここすごいここすごい!」「それガーチャーほんま万有引力やで!」などと共感する事も無く「なんのはなしですか」と思っていたのだろう。
彼彼女達の”気付き”と言えば「林檎って時々落ちるよね」「確かにX2」「うんX2潰れちゃって勿体無いよね」程度か。
敢えて言おう、私は前者の発見があって然るべき経験をしてきた。にも関わらずその2時間はあっという間に過ぎ去り、記憶は実に断片的。処理を試みてなんかいい感じに要約して読者様にその稀有な経験をシェアする体をとりながらも、類稀な努力土台の文章力を遺憾無く発揮して「どうかしているとしか」と言わせる突飛な視点、遊び心溢れる散漫的な文体を取って脱線、最近の心情をトロッと吐露して結句年内最後の「なんのはなしですか」的着地を決める記事を書こうと打ち込んでいる今日は京都からの出張の帰り。
記憶を遡れば、私は埼玉スーパーアリーナに居る。
スタッフは皆白衣。
メゾンマルジェラだね!
林檎的事前知識無しの私はこのツッコミが出来た自分に惚れ惚れ。
するとステージには白衣のオーケストラがずらりと並び出していよいよ始まり始まり👏👏👏👏
…マルジェラのオーケストラ…ルーケストラってこと?…おもれー🤭🤣👏…などと騒がずに御口チャックしてiPhone飛行機モードにしてシートつくと聞こえ始めたのは
摩~訶~般若~波羅蜜多~心経ぉお~
🤔……おきょう?……なぜ……🤔
どうだっていいZE☆彡
ハンニャうぇーい🤩EZ☆DO★心経😎
と、なれたか?そんな事は全然なくて、
えー🫤世界観わかんねー😩帰ろかな😥
筋金入りの無神論者、筋金ちゃんの私は戸惑った。小さい渡辺哲…小哲さん…どっか行った。
ハッキシ言って、この辺のアバンタイトルさっぱり理解できなくて全然覚えていない。要するに、
ワイヤーに吊るされて、林檎、落ちてきた。
「地球のみなさんゴキゲンヨウ」
え?地球外知的生命ネキ?E.T.Nekiってこと?
椎名林檎が大スターであるという事は百も承知ってか周知と言えど、林檎博初参加、セトリの内一曲しか知らない私がその世界観を把握できる筈もなく、では一千一万一億を飛ばして一兆までふりきって考えて、ってもまだ解らないってーんで、一京で書きましょう正味の話、はい、ギアも上がってきたよこっからぶっ飛ばしていきますよ、ブンブン!
林檎背面のLEDモニターにドン!
景気の回復
林檎はどうか?まるで噺家!或いはジェダイだい!スルッと羽織を脱いだなら、その出で立ちに
Oh My 小哲🤯🤯🤯
いた!私の中の小哲が騒ぎ出した!🤭
のも束の間ッケンユー、なにがどう爆発しているのかを私は書き留めなければ、
真っ赤!!!!!!!
金髪!!!!!!
ん?地球外知的生命体で真っ赤で金髪!
すなわち、
シャアだ!赤い彗星だ!
或いは、オスカル!カズレーザー!
となったか?ならなかった。なぜか?今となっては単純明快であの場で言えば衆議一決。あれれれー?もかしてこの人って?🤔🤔🤔
✨✨✨めっちゃ歌上手いネキ✨✨✨
そっからはもう怒涛の歌唱ラッシュ。MC一斉なし。椅子に座ってニ三秒の暗転でテンテン、ステージで寝転んでテンテン、そんだけで着替えが終わったと思ったらギター持ってジャンジャン、すらっと伸ばした魅惑の脚を振り回して歌って踊ってジャビンジャビン、兎に角「無駄を一切省いた」「RTA」笑。マイク離さないですから私、一秒も飽きさせないからって気概。なもん見せつけられたらこっちも付いてきたくない?気付けば絶対に離さないで下さい、既にここが私の生き甲斐😍って感じ。
パツキン+ドレスでヒラヒラしちゃってモンロー?になったり貝殻から出てきてマーメイドかな?CMかってぐらい真っ赤な口紅をフィーチャーしたり、テンテンからテンテンへ、次から次へとセックスシンボル。
セックスシンボルが一流ルーケストラ整列させてステージで歌って踊ってテンテンしている。それを観て、皆固唾を呑む。そこに酒があったらどうなるか?代わりに酒を呑むのである。
会場は持ち込みOK、すなわち、酒を飲んでなんか食ってなんか消費するのであーる。
めっちゃ景気回復する気がした。で、彼女はそれを促進するためにそこでテンテンジャンジャンジャビンジャビンしているわけだ。ググった所、46歳の人妻で凄すぎる。
私はってっきり、丸ノ内サディスティックとかのトガッた姉ちゃんなのだと思っていた。トガッた姉ちゃんは、こんな真似出来ない。
…そこまでしねえよ恥ずいダサイ怠いオモンナイ恁でこそカッケーetc.…私が普段大切にしている「正義」或いは「しょーもない拘り」それら全部を取っ払ったRTAだった。
このようでこそ一流のエンターテイメントなのだろうか?そんな事は知らんけどここまで徹するのが大人で、だからスーパースターなのかもしれない。
極めつけは小学生の息子から我々御客様へのメッセージだ。
母:椎名林檎は作曲をしている時に楽しそうで作詞の際に苦しそう。作詞の際に一言一句間違いなくありのままの気持ちを言葉で紡ぎたい母はその正直故、ナーバスになるのだろう。みたいな実に達観した事を理路整然と書いていた。小2でこれ?そう、これは”微笑ましい閑話休題”のための欺瞞である。子供/母親という武器を使った、でっち上げ、嘘、フィクションである。では本当の小学生はどんな文章を書くのか?
幾ら育ちが良いと言っても、これよりも綺麗な字を書くとしても、さすがにここまで差が開くだろうか。「ナーバス」なんて言葉を知っているだろうか。では私はこのウソに気付いてガッカリしたか?というとそんな事は全然なくて、なんならこのウソを肯定している。なぜなら、これは御客様を微笑ませて気色の良い経験をさせようというエンターテイメント精神だと私には分かったからであーる。
使える物はなんでも使う。一流オーケストラを集め、白衣を着せ、休みを入れずに歌って踊って美貌を披露し、息子までをも使う超極上RTA。それが示唆するものは偏に、景気の回復。
景気を回復させるためなら私はここまでやりますよ、テンテン。
そんな気概に圧倒された。ドーム中で挙がる手を旗を見せつけられた。私は本当に、本当の本当になにでもないのだと思いしらされた。絶対にああはなれないと。あれが人を感動させる仕事だと。
あの光景を思い出せば観客達はみんな立派な樹だった。林檎が重たくなって落ちて、種が皮をとことん突き破って溌剌と樹を伸ばしていた。
痛いだろうか?樹から落ちる時。種が皮を突き破る時。そっちの林檎の心配をしていても仕方がないのだけど、それは比喩的な表現であって、きっと彼女は落ちたり割れたり突き破ったり、に匹敵ってかきっとそれ以上の痛みや苦しみを以てして人々を感動させて、私の人生何回分、私の会社何個分の大金を動かしているのだろうと思った。
では私はなんなのか?手も旗も声援も挙げずにあそこで圧倒されていた私は?なんでもないんだけど、なんでもないだけでは悲しいじゃないか。
自分のこと果物で喩えてみたーい😫😫😫
そんな事を考えながら、のぞみに乗っている。京都から新横浜への帰り道。
そんなわけないでしょ😡
仕様書送ってますでしょ😡
そちらの落ち度でしょ😡
こうやってめっちゃキレたかったけど、中途半端に感情抑えて、ちょっと不貞腐れて帰ってきた。
何故こんな事を繰り返して生きているのだろう?いい感じに折衷しなければいけないとはわかっているのに譲れない。譲らなければ分かって貰える、なんてのは勘違いだって事も分かってるけど譲れない。そもそも人を感動させる仕事ではない。景気も悪い。やりたい事でもないしおじいちゃんが作ってくれたステージに上がってきただけだ。
やりたい事で重たくなって樹から落ちていった人を知っている。発芽したら溌剌、背骨も皮も突き破る痛みを伴った人を知っている。
やりたい事があると言って会社を辞めたあの人は今日、子供達と別れて東南アジアで暮らしている。
タバコ吸ってるから俺の肺は強い、みたいな事言って酸化銅切り出す機械を夢中で作っていたうちのエンジニアは今日、緊急入院して肺から水を抜いている。
だれが四つ打ちなんかやるか、と言っていた平田が今日、四つ打ちやってる。
絵描きで食ってくつもりで何年も幾らもかかって美大を出たロンケンが今日、美術の先生をしている。
バンドマンは電気屋になって、作家志望はバイク便になって、結婚したくて金稼いだ奴が独身貴族やってる。水が溢れたから水位が減って、作り過ぎたから腐って、死にたくないから殺して、楽するために忙しく働いて、厭のために酔ったら厭が増えて、話は盛っても欺瞞は許せなくて、ただの弱小町工場の正義やただの素人の拘りを守る為に数週間にたった一本の制御不能ななんのはなしかわからない文章しか投稿できない。
「なんのはなしですか」だけして生きていたい。Kindleに載って友達に「俺の記事ここで読めるよ」とか言ってみたいし下書きの再生をして「気付いてくれたかな?実は本家や海賊版にインスピレーション貰ってんですよ」とか言ってみたいしXでいい感じな人達にいい感じに路地裏紹介したいしなによりちょんちょんGPめっちゃ出たかった。ちょんちょんの話してー😩
けど言い聞かす。それだけやっていたいと言うのは現実逃避だから。日常生活頑張らないといけないから。でもそれだけでは楽しくないし、上手く行く事ばっかりでもないし、やっぱりたまにはたまたまとかちょんちょんの話がしたくなっちゃうのかもしれない。
結論
果物で喩えるなら、私はアボカドなのだと思う。
硬い核を持ち、柔々をまとって絶対に破けない硬い皮を被る。
アボカドも木から落ちるのだろうか?落ちたとして、
「へー、アボカドも木から落ちるんだね」
その程度の誰かの”気付き”にでもなりたくて、今日の私の話もやっぱり
コニシさんによる年内最後の通信らしく、コニシさんのみならず、ロジウラーのみならず、皆様一年お疲れ様でした。来年もどうぞよろしくお願い致します🙇