【2024.12】LAM個展「千客万雷」
ある日、私が愛読するWebメディア「オモコロ」に記事広告がアップされていた。
読んでみるとまぁ本当に物凄い記事なのだが、要するにLAMさんというイラストレーターがでっかい個展をやりますよ、という宣伝である。
これまでLAMさんのお名前を知らなかったのだけれど、いくつか見たことがある絵もあったので行ってみることにした。
池袋のアニメイトの8階でやっている。前の道でオタク達が缶バッジを交換し合っているあのでっかいアニメイトである。缶バッジに紛れて違法薬物とかが取引されていても分からないと思う。
当日券を買って入場したら、想像よりかなりすごかった。
LAMさんの絵も素晴らしいし、その数も常人の域を遥かに凌駕しているのだけれど、何よりも展示の仕方がすごい。絵のコンセプトによって全部で11のエリアに区切られており、それぞれに空間演出が施されたセットが組まれている。モニターの塔があったり、彼岸花が咲き乱れる和風空間だったり、洋館のような内装だったり、宇宙空間だったり…。
正直言って、アート展の空間演出という意味では自分が見てきた中でもトップクラスだと思う。
LAMさんを知らなくても、あの空間を見るだけでも1200円の価値はある。個展のディレクションは雷雷公社さんというチームでやられているらしい。楽しみながら企画しているのが伝わってくる空間でした。こういう仕事もやってみたい。
絵だけではなく、立体物とかもある。カーテンを捲ったら急に真っ白な空間になって二つの像が佇んでいた時はビビった。何を言ってるのかよくわからないと思うので、実際に行ってみてください。大阪でもやるらしい。
今回の作品のなかで一番好きだったのはこれ。
「記録1」「記録2」「記録3」という作品。LAMさんの描く女の子の裸体にピンが刺され、身体の各部の名称の札が貼られている。
人間がモノになる瞬間が好きだ。社会の中で一つの人格を持つものとして尊重され、距離を保たれてきたその不可侵領域が侵され、モノへと転落、あるいは上昇する。そこには間違いなく支配・被支配の関係性があり、即ち性的なメタファーが隠れていることは明白なのだが、「人間のモノ化」にはもっと深遠な魅力がある気がしている。
「モノとなることを受容する姿」の美しさは一つのキーである気はしている。支配欲を持ったものが強引に他者を支配しても、それには自然の摂理以上の美しさは望めない。支配から逃れるという自然の摂理から脱してでも、衣服を脱ぎ棄て、口の中を曝け出し、ピンを刺されることを受け容れ、支配されようとする姿であるから美しいのだ。
これ以上書くとSM論みたいな話になっていく気がするのでこの辺にしておきます。
グッズも買った。ランダムアクリルブロックを買ったら、欲しかった2キャラがでて嬉しい。「月」と「水星」をモチーフにしたキャラ。あと「ハレー彗星」も欲しかったんだけど、まぁいいです。
「太陽に仕える12人の星娘たち」というシリーズのキャラらしい。ググったらちゃんと12種出てくる。みなさんの推しは誰ですか。私はこういう闇を抱えていそうな子が好きです。明るい朗らかな子が実は闇を抱えてるのも好きだけど。もういいですか、私の性癖の話は。そうですか。
画集も売っていたんだけど、お金使いすぎな気がして買わなかった。でも一般書店でも買えるらしいので今度買おうかとも思っている。LAMさんを知らずにフラッと行っただけのオモコロ読者だったのに、まんまと散財してしまった。
以上、みなさんも行ってみてください。
あ、東京明日までじゃん。
大阪民は行けるね。よかったね。