「自分を表現する方法」は、文章も料理も同じ
「どうしたらもっと自分らしさを文章で表現できますか?」と聞かれたことがあります。
対面であれば表情や身振り・声でその人らしさを十分に表現できますが、言葉だけで自分らしさを表すのは慣れてないと中々難しいものです。
私が初めて「自分らしさを言葉に載せる」とはどういうことなのかに気づいたのは3年前、友人Nちゃんの結婚式に出た翌日のことでした。
私は普段からあまりスマホをしっかり見ないタイプで、Nちゃんの結婚式から帰ってきた日も、お風呂に入って晩酌して、そのまま寝てしまいました。
翌朝起きてスマホを見ると、結婚式に出席した友人のLINEグループが以下のようなやり取りで盛り上がっていたのです。
「きれい」「素敵」という言葉で盛り上がるLINEグループの流れに、私だけ出遅れてしまいました。
みんながひとしきり盛り上がった後に「とってもきれいで素敵だったよ」と、今さら出つくされた言葉をつぶやくのもどうなのだろうと感じ、私は「きれい」「素敵」という言葉を自分の中で因数分解してみることに。そうして書いて送ったのがこちらの文章です。
Nちゃんはどう綺麗にみえたのか?
私にとって素敵とはどういうことなのか?
を、かみ砕いたらこうなりました。
この文章が正解と言いたいわけではありません。文章の先生に見せたら何かしら赤字が入ると思います。
でもこうして素敵だと思ったことを「素敵」の漢字二文字で済ませずに、どうして素敵だと思ったのか・自分にとって何が素敵だったのかを言葉にしてみると、なんとなく私という人となりが文章から浮かんでくるのではないでしょうか。
「素敵な結婚式」とは、何が素敵だったのか?
上等なレースのドレスを見れたことが「素敵」と思う人も、親御さんへの温かい手紙に心震えたことを「素敵」と思う人も、余興で盛り上がった楽しい時間を「素敵」と思う人もいる。
同じ出来事に遭遇しても、何をどう捉えるかは人によって違います。
そうして自分の心に残った感情や考えことをかみ砕いて言葉にすること・つまりその人の視点をわかりやすく書くことが「言葉に自分らしさを載せる」ことではないかと、このLINEのやり取りを通して感じました。
もちろん御礼や謝罪のメールは先手必勝であり「今日は素敵な時間をありがとうございました!」「今日はとんでもないことをして申し訳ございません!」と、自分の言葉にかみ砕く時間を取るより、一刻も早く相手へ言葉を送った方が良い場合もあります。
でもSNSやブログなどじっくり時間を掛けて書くことができる文章は、多少時間が掛かったとしてもいちいち自分の言葉に因数分解して書く方が、人となりが読者に伝わるので良いと思うのです。
思えばこればインスタント食品と、手を掛けたお料理の違いかもしれません。
急いでいる時・疲れた時・体調が悪い時など、お湯を注いだりチンすればすぐ食べられる食品は本当にありがたい。相手への感謝を伝えたいときに書く「今日は素敵な時間でした!」の「素敵」という言葉はとても便利です。
でもお客様がお見えになった時はいつもより丁寧に出汁を取ったりテーブルを整えたりするように、自分を文章で表現することを目的とするならば、いつも何気なく使っている言葉を丁寧にかみ砕くと、相手に届きやすくなる。
手を掛ければいいというものでも、手抜きはいけないということでもなく、その時その状況に応じて言葉を使い分ける。
この筋力が伸ばせるように、私も頑張りたいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。