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第2章 最愛のお父さん

5 初めての過去世回帰

どんな時代にもそれぞれの前提や制限があって、それぞれの味わいがあるのでしょうね。

ある時代のある地域の集合意識のなかで起こっていた夢が、別の時代の別の集合意識のなかで起こっていた夢より、正しいとか間違っているとか、進歩しているとか退歩しているとか判断できる客観的な基準がありうるとあなたは思いますか?

もしあなたが、両方の夢を見ていた当人だとすればどうですか?

ヴィッキーさんの物語は、私たちが生きているこの今の時代の日本という環境から見れば、わずか百年前のことなのに、まるで映画のなかの場面のように思われます。

そしておそらく、あらゆる人生がそのようなものなのかもしれませんね。

そんな映画のなかでヴィッキーさんはいま、幼児に課せられた時代の常識にしたがって、独りで部屋のなかで寝かされています。

まだまだ早い時間で、とても眠ることなどできません。

そんな微睡むような時間のなかでヴィッキーさんは不思議な体験をしていたようです。

そのような体験は、実際は少なからぬ子供たちが幼児の時代に体験するもののようです。

ただ、それを後から思い出すことができないために、自分にはそんな体験はまったく起こったことなどない、というふうに見なされるのかもしれません。

ヴィッキーさんの場合はそれを覚えていて、あとからも頭のなかで何度もその光景を反芻したのでしょうね。

そのためその体験は忘れられることがなかったし、いつかヴィッキーさんのなかで疑問が氷解するような意味を持つ体験となったのでしょう。

家族のなかの他の誰にも知られることもないこうした時間のなかで、後々開花する霊的能力の片鱗がすでに現れていたんでしょうね。

寝室のすぐ外にあるガス燈にまだ火が入る前の、薄暗いベッドで横になっていると、奇妙なヴィジョンが私の意識の中へと漂ってきたものでした。
こうした感覚は、子供時代にある一定の間隔を置いて繰り返し現れ、私の生涯を通じて起こり続けたものです。
私はいつの間にか、知らない旋律の歌を口ずさんでいました。
おまけに歌詞も意味不明で、その響きといい、意味といい、私の住んでいる世界とはまるで何のつながりもないような歌。
けれども不思議なことに、それはまるで、私が遠い昔に使っていた言葉のように、懐かしい響きを持っていました。

 『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p13-15)

そう言えば、自分も昔こんな場面を何度か見たことがある。それはまるで絵本の一場面のような感じで、なぜ自分がそんな場面を知っているのかわからないが、後になっても何度かその場面のことを思い出したことがある……。

というような経験というのは、少なからぬ人たちに起こっているような気がします。

たいていそういう幼い頃の記憶は、大人になってから見る朝方の夢と同じで、すぐに反復して思い出すと永久記憶にいくらかの痕跡は残すけれど、そうでもないかぎりは、やがては忘却の彼方に消えていくものです。

ヴィッキーさんの場合は、その幼児の記憶を何度も反芻するような資質を持っていたんでしょうね。

そして繰り返し現れる、あるヴィジョンがありました。
突然、まぶしい光が部屋中に満ちたかと思うと、背の高い、痩せた女の人が立っているのです。
痛ましいほどやつれた彼女は、同じようにやせて、肋骨が透けて見えている猟犬を従えています。
飢餓の様子が、ありありと見て取れました。
にもかかわらず、彼らには育ちのよさと、威厳が感じられ、その気高さは、それはまぶしいほど。
私はほんの三歳ほどの子供でしたが、恐怖も不安もなく、繰り返し現れては消える彼らを見守っていました。
彼らの身の上は哀れではありましたが、どこかで分かっていたのです。
これは彼ら自身が選んだことだ、と。
それは、彼らの歩むべき道だったのです。

 『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p13-15)

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幼児というのは、けっしてすべての判断力が幼く未熟だというのではなくて、人生に対する包括的な理解力ということになると、けっして大人より劣っているというわけではなさそうです。

むしろ、地上の常識にまみれる大人の方が、ある意味ではずっと退化している、という言い方もあるのかもしれませんね。

いずれにせよ、幼いヴィッキーさんは何度も同じ情景を見ることになったのだそうです。

このヴィジョンは、ある日、別のヴィジョンによって、その意味するところがすっかり明らかになるまで、何年も繰り返し現れ続けました。
その後、彼らは永遠の休息へと出掛け、そして、今生での役割へと戻ってきたのです。
これによって私は、自分の体験に対する十分な理解を得ることができたのでした。
これは、私の初めての「過去生回帰」つまり、現在と関係のある過去を知る体験だったのです。

 『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p13-15)

そういうことだったんですねぇ。

ヴィッキーさんの時代は、こういうことは人前でおおっぴらにできる話題ではありませんでした。ヴィッキーさん自身、人前でこういうことを語ることはなかったと思います。

でも時代は変わり、現代ではこういう話題は「過去世回帰」「前世療法」「過去世退行催眠」といった名称で、「幼児期退行(インナーチャイルドセラピー)」なども含めて、ヒーリングの世界でいわば最先端の一分野とも思える領域を形成し、さまざまなヒーラーたちがその技量を競うようになりましたね。

もちろん、こういう世界にとてもいかがわしい感じを持つ方も多いでしょうが、それは小個人の趣味・判断の領域という時代になったと思います。

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