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鎌倉さんぽ部 古都トコトコ記―建長寺の巻―

 キーンと晴れた冬の朝、都内に住む友人からメールが届いた。それは「今から鎌倉に遊びに行くのだけど、おすすめの場所があったら教えて」というもの。
 わたしは頭のなかを検索してみる。

 鎌倉はトコトコと歩いて歴史的建造物を観たり、自然を肌で感じたりと、おすすめの場所にはことかかないが、冬の晴れ渡った日となると「建長寺」がおすすめだ。

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 建長寺は歴史的建造物を観て、自然を肌で感じることが両方できるし、なんといってもその歴史的由来が豪華である。
 建立されたのは1253年。北条時頼による日本で最初の禅道場。かの足利尊氏もここで修業していた時期があり、14、15世紀に起こった数度の火災で多くの建物が焼失するも、沢庵和尚の進言で江戸時代に再建。ちなみにけんちん汁は、ここが発祥…などなど。

 わたしのおすすめの建長寺の見どころは、どーんとそびえ、きりりとした美しさを持つ三門。
 法を説くためのお堂である法堂の、天井に描かれた約80畳もの大きさの、かっこいい龍「雲竜図」。
 開山の蘭渓道隆が作庭したと伝わる庭園と、お手植えのビャクシンの古木。

 そして冬の晴れた日に、わたしが特に建長寺をすすめるのは、建長寺の鎮守である半蔵坊大権現殿と、そのさらに上の展望台に登ってほしいからなのだ。

 通称、半蔵坊は建長寺の裏山にあり、245段の階段をひたすら登ったところに位置している。階段の途中にある、大小さまざまなカラス天狗の像も楽しい。(ここの鎮守である半蔵坊は天狗さんなのだとか)
 245段の階段を登れば、冬でもうっすらと汗をかくほどで、建長寺を訪れる人のうち半蔵坊まで足を延ばすのは1割くらいの人ではないかと思う。とても、もったいないことだ。

 半蔵坊の見晴台からは眼下に建長寺を、そして遠くには相模湾が見渡すことができるし、三方を山に、残る一方を海にかこまれた鎌倉を一望できる展望台からのながめは、まるで鎌倉を胸に抱きしめているような雄大な気分にさせてくれる。
 そして空気の澄んだ晴れた日には、富士見台から彼方に富士山が見え、鎌倉を懐におさめているこの場所から富士山を見ると、ものすごく得した気分になる。

 建長寺へ行ったら、徒歩圏内に数々の見どころがあるので、そちらも観ていくといいと思う。
 たとえば明月院は、別名「あじさい寺」と言われている。紫陽花の季節には北鎌倉から明月院まで人の列ができているのではと思うほどの人混みで、わたしにはちょっと近づけない場所なのだが、冬の間は比較的すいていて、しっとりとした美しい庭を楽しむことができる。

 さて、友人は富士山を見ることができただろうか。                                       (文/N)

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