be here かまくら⑤ みんなの駄菓子屋「たい焼き なみへい」
鎌倉駅西口から御成通りを抜け、長谷に向かう由比ガ浜大通りは、のどかでローカルな雰囲気が魅力。そんな空気に馴染んで佇むのは、ちょっと懐かしいレトロな店構えの「たい焼き なみへい」。観光客はもちろん、0 歳児から80 歳を超えるおじいちゃん、おばあちゃんまで、幅広い世代の地元住民に愛されるお店だ。
「なみへい」のたい焼きは、鯛の形をした鋳型で一匹ずつ焼き上げる。最近では愛好家たちに「天然もの」と呼ばれている昔ながらの焼き方だ。つぶしあんや抹茶あんなどの定番に加え、季節限定など常時5 ~ 6 種類あり、材料やレシピの端々にお店独自の工夫がされている。
例えば、季節限定のチョコあんのたい焼きをいただくと、外はカリッと、中はもちっとした香ばしい皮に、小豆の素朴な甘さとチョコレートの濃厚なカカオ感が絶妙に合う。チョコあんは製菓用チョコレートでソースを作り、つぶしあんと合わせ、チョコあんの生地にはアーモンドの粉を配合しているそうだ。
「こだわりというよりは、みんなの駄菓子屋というのがコンセプトなので、みんなが楽しく食べてくれればいいなというのが一番です。ただ、本気でやっているよというのはあります」
とは店主の濱田紳吾さん。大学卒業後、飲食業が好きだからとケーキ屋さんやパン屋さんで修業をして、2010 年に20 代半ばの若さで自分のお店をオープンした。
子どもから大人まで好きな庶民の味
店内にはたい焼きのほかに、自家製シロップのかき氷、焼きそば、天然酵母パン、焼きピロシキなど、子どもから大人までが大好きなおやつメニューが並ぶ。お店で売られている商品はすべて濱田さんの手作りで、天然酵母パンは店内に設置しているオーブンで焼き上げている。
「天然酵母のパンは北海道産の小麦粉で焼いてます。もともと僕がポストハーベスト使用の小麦粉や食品添加物とかに反応する体質だからで、たい焼きやかき氷のシロップも材料は吟味していますが、ストイックにやってるわけではありません。誰が食べてもみんなが好きという味、庶民の味を目指しています。お客さんから「おいしかったよ」とか、小さい子から「また来るよ」といわれるのが嬉しいですね」
製造から販売まで担当する濱田さんと、学校帰りの小学生がピロシキをほ
おばる姿や、犬の散歩がてらパンを買う女性、近所のお年寄りがたい焼きの
焼きあがるのを待ちながら、何気ない会話を交わしていくのは、ほのぼのとした風景だ。ときには「トイレ貸して!」と走ってくる子どもまでいるという。
かき氷のおいしさは、楽しさや思い出といっしょ
夏が近づくと、子ども達が楽しみなのはやっぱりかき氷。「なみへい」では通年かき氷を食べられるが、春先ぐらいから「かき氷はじまった?」と聞かれるらしい。
「なみへい」のかき氷は、自家製シロップに加え、ジャンボサイズなのが特徴。濱田さんは、ミルク感たっぷりのジャンボかき氷「しろくま」発祥の地・鹿児島県の出身だから、かき氷への思い入れも深い。
「僕が子どもの頃に食べた「しろくま」ってとにかくでかくて、かき氷が出て来た瞬間に「わっ!やった」って嬉しいんです。大きくて食べきれなかったりもしますが、そこはいいんですよ。来てもらった人に「楽しかったね」というような場所を提供するのがかき氷だと考えているので」
人気なのは、「たいやきくん氷」や「なみへいのしろくま!」など、ちょっとバージョンアップしたメニュー。「たいやきくん氷」は、ミルク味の大きなかき氷の上に豪快にたい焼きをのせた一品。「なみへいのしろくま!」は、練乳にヨーグルトと自家製の無農薬オレンジピールを合わせ、季節のフルーツを盛り付けている。
「おいしいのはもちろんですけど、みんなとワイワイ食べたという思い出を残すのが駄菓子屋の使命だと思っています。僕は子どもの頃の、夏になったらかき氷を食べに行ったという思い出が今でもあるから、この街の子ども達もそういう風になればいいなと。基本的にはかき氷だけでなくてたい焼きもなんですけど、そういう思いでいます」
『たい焼き なみへい』
住所:神奈川県鎌倉市長谷1-8-10
電話: 0467-24-7900
営業時間:10:00 ~ 18:30
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
※営業時間・定休日は変更している場合があります。ご来店前に店舗へご確認ください。
ここから先は
OAUマガジン 5号
仕事のことや家のこと、毎日忙しい私たち。大人たちはいったい、どんなことをして「遊んで」いるのでしょうか? ふしぎなことに、遊びの取材をして…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?