いにしえよりの愛の伝承 Hula ーHawaii の風をあなたにー⑥
Aloha Kākou
寒さ避けのため、狭い部屋に押し込められていた我が家のハワイ生まれの植物たちは、暖かな季節になり、太陽の下に出してもらえることを心待ちにしていたようです。遠慮がちに伸ばしていた葉が、太陽の光を受けながら大きく広げ、伸びやかに風に揺れる姿は、暖かな季節を歓び踊っているように見えます。
ハワイの歌では、大切な人を愛らしい花や植物、胸を飾る美しいレイにたとえて歌われます。それ以外にも、各島に伝わる神話や伝説、王族を尊敬し讃える歌、また家々の歴史や美しい風景なども歌われていますが、それらの曲をフラで表現する場合、歌の内容や歌に出てくる島や花、植物だけでなく景色や時代背景も考慮して踊られます。
島には代表される色と花や植物などがあり、最も古いカウアイ島は紫とモキハナ。一番新しく大きなハワイ島は赤とレフア。モロカイ島は緑とククイ。皆さんがよく知るオアフ島は黄色とイリマ。個人所有の(立ち入る事の出来ない)ニイハウ島は白とニイハウシェルで表され、色が島と重なっていると思えることが多々あります。また、空や海、水を表すものとして、青色
を装いに取り入れたりと、心豊かなフラを大勢が楽しみます。
そこかしこに見える茂みや森にはハワイ固有の植物が自生し、その花や葉、ワラなどを摘んでレイを作ることはハワイでは当たり前ですが日本では難しいですね。温暖なことに加え、しっとりとしたハワイの気候は水の豊かさの賜物でしょう。小さな苔類から大きな樹々まで、全ての植物が生き生きとしています。八丈島や沖縄、小笠原諸島の恵まれた森の奥だったら、ハワイに育つ花や植物、それに近いものが育っているかもしれません。
栽培された花や葉でレイや髪飾りを作ることの多い私達ですが、植物へ感謝を忘れず、心を込めてレイを作ります。ハワイではレイに必要な植物を手にする前に、まず森の守り神ラカに森に立ち入ることを申し出て許可を得ます。そして摘み取るときにも祈りと感謝を述べるという昔からの儀式を守り続けています。これらのことはレイの出来上がりに大きく影響するように感じます。私達が作るレイも綺麗ですが、少しだけ生命力の力強さが足りない様に思えるのは、保護管理され育てられた花々から作られているからでしょうか。自然の厳しい環境の中、大地のエネルギーを受取り育つことで、植物は生命力にあふれた輝きを放つのかも知れませんね。
昨年、フラの大会「メリー・モナーク・フェスティヴァル」を観覧するためにハワイ島を訪れました。島内のホテルのロビーや広場、会場のまわりに立ち並ぶテントには、美しいレイがたくさん並べられていました。大会の3日間のためだけに摘まれたレフア、マイレ、ケニケニ、クラウンフラワーなどなど、写真でしか見たことのない花々を前に、クプナ(人生経験豊富なおば様)たちがレイを作ります。おしゃべりしながら花や葉を選び、明るい笑い声とともに可憐な物から見事な物まで、あっという間に仕上げていく様子には感服。「素晴らしい‼︎」という声と同時にまわりから拍手が沸くほどです。芳しく香るそのレイを着けて皆で夕暮れの会場へ向かいます。
レイや髪飾りで装い、おしゃれをした大勢の人で会場は埋め尽くされ、穏やかな夜の優しい風がレイや髪飾りの心地よい香りを漂わせながら会場を包み込みます。
今回も引続きPō La`ila`i の2番を紹介しましょう。優しい花の香りを一緒に楽しんでください。
Ko mai ana ke `alaä
心地よい香りが漂ってくる
O ka pua o ka pikake
ピカケの花の香りが
I halihali ia mai
こちらの方へ運ばれてくる
E ka makani kolonahe
優しい、気持ちのよい風によって
いかがでしたか。穏やかな夜の風に運ばれた優しい花の香りが皆さんに届いたでしょうか。
では次回まで a hui hou
` i h i l a n i(大原 眞弓)
フラ ハラウ オ プアメリエ インストラクター
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OAUマガジン 5号
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