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読書感想④『バッテリー』
あさのあつこさんを初めて読んだ。
読書好きなのに、そんなものかとは思わないでほしい。
有名な作家を全員、そして全部読んでるわけじゃ、時間的制限で読めるわけじゃないでしょう?
なんていう、言い訳なんか、実はどうでもいい。
やばい。意味がわからない。それくらい、この作家、すごい。
野球。わたしは興味ない。
でも、小説で、いや漫画でもドラマでも演劇でも映画でもなんでもいいけど、野球を描こうとしたら、普通は高校野球が来ると思う。それが、小学生から中学生に上がる少年を主要登場人物に選ぶ。
そんなこと誰ができるんだ、と思う。
しかも、タイトル通り、「バッテリー」がメインテーマ。それ以外の野球の要素は枝葉末節と言わんばかりに削ぎ落とされている。
そう、試合さえも。バッテリーを描く以上、試合の結末さえも不要。読者の想像の自由に委ねてしまう。そうすることで、読者の数だけ物語ができて、深みが増す。
理屈はわかる。
理屈はそうだ。
バッテリーを描く、それ以外は抑制する。
豪が巧の球をできうる限り取り続けると決めて、バッテリーとしては完成した。だから、物語のメインとして進んできた試合も最後まで書かない。
わかる。
でも、そんなことできる作家がいるなんて、信じられない。
豪が巧に出会って、その才能に惹かれたように、わたしもあさのあつこさんという作家の才能に惹かれてしまった。
惜しむは、角川つばさ版を読んでしまったこと。一部、児童向けに修正されているらしい。そういう注意書きは最初に持ってきてほしい。電子書籍用の注意書きの後くらいに。
とはいえ、角川文庫版をすぐに読む気力もない。まぁ、気が向いてまた読む時にはそちらにしようと思うくらいで留めておく。
ん? なんで角川つばさ版を読んだかって?
それは、角川つばさ版の合本がKindle Unlimitedにあったから。枠数削減したいし。
兎にも角にも、すごい筆力の前にこれ以上何か言葉を続けることができない。
それくらい、すごかった。
多くの言葉はそもそも要らないのかもしれない。
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