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牧のうどん「山菜うどん」に秋が忍び込んでいた。
こんにちは。福岡に移住してフリーランスをしている酒井です。
今日もうどん日和ですね。
さて、昨今の日本は、夏が長すぎて、秋の出番がない。みたいな日々が続いていますよね。本当に10月の半ば、赤とんぼが飛ぶ中、セミがミンミンしていたような記憶さえありますよ。
ただ、最近やっと、朝の風が涼しくなってきて、曖昧だった秋を感じられるようになってきた…。山の葉っぱも赤く色づいてきた。というわけで、今回は「山菜うどん」を食べよう。と強く決心したのでした。
一口で広がる山の香り。噛むたびに山が目に浮かぶ。
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ごらんください。このうどんの上の景色を。
気分は落ち葉狩りに来た時の峠の茶屋ですよ。山菜がどっさりのったおうどん。
熱々のつゆに浮かぶのは、ほろ苦さをまとったぜんまいやわらび、なめこのツルツル。
箸で掴むたびに、山の静けさがつゆに溶け出していくようでうれしい。
なんだか落ち葉の匂いを吸い込んだ時みたいで、鼻先から秋が忍び込んでくる感じ。秋が腰を据えているんですよ。丼の中に。
しかも、他の乗せものと違い、山菜だけはつゆに溶けない。
噛むほどにその芯の強さを感じる。シャキシャキとした一口ごとに、秋らしいすがすがしさが伝わってくる。
このしっかりとした山菜、噛むたびに山が目に浮かぶんです。
わらびを噛むと、シャキッとした繊維が心地よく歯を弾く。
ぜんまいのコリコリとした弾力には、山の湿った空気がしみ込んでいる気がする。
筍をシャクシャク食べると、山の元気を分けてもらっている気がする。
麺をすすりながら、つゆを味わいながら、でも最後に山菜を噛み締める。
この音が秋の入り口なんじゃないかと、本当に一口一口感動できるんですよ。550円の山菜うどんで。
山菜うどんには一味がよく合う。
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あと、普段、僕は牧のうどんに置いてある一味はあまり使わない派なんですよ。スープの旨みをしっかりと味わいたいので。
ただ、山菜うどんに関しては、なんとなく一味が合いそうな気がしたんです。唐辛子も山のものですからね。
そしたら、やっぱりめっちゃ合う!食べた瞬間、思わず膝を打ちましたからね。
むしろ一味の赤さが山を彩る「紅葉」に見えてきちゃいましたもんね。うどんの中もの山菜も一味の赤で鮮やかに映えるっていう。
そのピリ辛のアクセントが、山菜の歯応えをより鮮やかに感じさせてくれる。ただの「山菜」だったものが、「山菜のごちそう」に変わるんですよ。まるで秋の山風と紅葉のように相性抜群なんです。
と言うわけで、今回もご馳走様でした。
秋の深さをこんなに身近なうどんやで感じさせてくれるなんて。
もはや食べる旅行ですよ。うん。
牧のうどん、いつもありがとう。