【数学センス】似てると気付ける力
ジュリア集合というものがあるそうです。マンデルブロ集合の方が有名でしょうか。姉妹関係にあるそうです。これからお話しするのはこれらの集合についてではなく、そこに登場する式についてです。
float4 julia(float4 q) {
float4 r;
r.x = q.x * q.x - dot(q.yzw, q.yzw);
r.yzw = 2 * q.x * q.yzw;
return r;
}
これを見て何か感じるところはありますでしょうか?
コードを見ても分からないという方もいらっしゃると思うので数式で書きますと、
$$
r_x = q_x \times q_x - \bm{q}_{yxw} \cdot \bm{q}_{yxw} \\
\\
\bm{r}_{yzw} = 2 q_x \times \bm{q}_{yzw} \tag{1}
$$
となります。少しは見やすくなったでしょうか?あまりならないかもしれませんね。
ところで
$$
x = a^{2} - b^{2} \\
\\
y = 2ab \tag{2}
$$
から何かを見出せと言われたらどうでしょう?数学の勘のいい人なら
$$
x + i y = (a + ib)^{2} \tag{3}
$$
と一つの式にまとめることが出来ることに気づくかも知れません。
さらに$${(1)}$$と$${(2)}$$が似ていると気づけたら、同じ理屈で$${(1)}$$は$${(3)}$$の形、つまり
$$
r_x + i \bm{r}_{yzw} = (q_x + i \bm{q}_{yzw}) \cdot (q_x + i \bm{q}_{yzw}) \tag{4}
$$
と書き直すことが出来るが分かると思います。この式のバランス感覚と言いシンプルさと言い、何とも美しいとは思いませんか?
一見関係なさそうに見える別のものを「似ている」と気付ける力が「数学のセンス」の一つの要素だと思います。
今回は記事の長さを考えて敢えて記号の定義や意味を省いてご説明したので分かりづらい面もあったかと思います。フィーリングで感じ取っていただければ十分です。
次回はもっと易しいお話から入っていこうと思います。