
千年ギツネ
書き下ろし作品
『千年ギツネ』2009年11月(理論社)
約084枚/400字詰め換算
書き足りなかった! と思うことよりは、書き過ぎだった! と思うことのほうが多い気がします。印刷されたり、出版されたりして、もう書きなおせなくなってから、文字単位、語句単位、文単位、段落単位で、これはなくてもよかった/ないほうがよかった、などと思うことがあります──もっとゴッソリないほうがよかった……と思ったことは、さすがになかった気がしますけど。
不思議なことに、読んだ人は特にそんなふうに思わないこともあるので、気になるのは書いた本人だけ、なのかもしれません。でもどうせなら、書いているときに気づきたいものですが、書いているあいだはあいにく、過不足などない、パーフェクトだ、などと思っているので、どうしようもないというか、この先もずっとおなじままかもしれないです。
『捜神記』の原文は、とてもそっけないもので、分量的にも1ページより長いものはあまりなくて、数行でおしまい、という短いものもぜんぜん珍しくありません。また、内容的にも、話が落ちていないというか、だからなに? それで? なにが言いたいわけ? とツッコミを入れたくなるような、尻切れトンボだったり、不可解だったりするものがかなりあります。小説や物語のように〝読めるもの〟にしようという企図がなかったからだろうと思いますけど、でもそっけないからこそ、読むほどに想像力をかき立てられる、ということはある気がします。
だからできるだけ、そっけない児童書にしたかったのですが、それがまたなんともむずかしく、いい気になってついつい余分なことを書いてしまうというか、子どもたちがすんなり味わえそうなものにこしらえたがってしまうというか、自らを律することができず苦労しました。初稿あたりは、枕みたいな感じで話の要点(のようなもの)をわけ知り顔で書いたりしていて、かなり悲惨でした……。
〝話〟そのものは、おもしろい、というか、不思議というか、えも言われぬ味わいがあると思うのですが、問題はやはり料理人の匙加減、ということなんでしょうね。













































