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料理男子の参入障壁②

義父母の住んでいるあたりは筍がとれるので、春先に妻を通じて、堀りたてのやつを義母にねだってみたところ、相当怪訝な顔をされたという。なんでまたお前の夫は筍を湯がこうなどと思っているのか。気でも違ったのか。

確か最初は2本くらい送っていただいたと思う。

そこで作った若竹煮や天ぷらの写真を送ったり、また、うちに遊びにきた際にわたくしの料理を食べてもらったりするうちに義母の態度が変わってきた。

まず、わかりやすく送ってくれる筍の数が増えたのだ。年々増えていっている感じがする。今年は6本くらい(すべて美味しくいただきました)。

「本気で取り組んでいる姿が認められた」というあれ。男性ばかりの世界に飛び込んで成功していく女性料理人……的ドキュメンタリーでよく見るあの構図が、家庭料理の世界ではジェンダー逆で起こるのだ。

「男性も料理をしなければ」という声は、特に女性のほうからよく聞かれるものの、実は結構「それでもキッチンの主導権は女性」という、まあ言ってみれば上から目線のバイアスが(特に女性のほうに)あるように思う。

料理好きなんですよね、と言うと、女性から、

「男の料理」ってやつですね!!! こだわりのカレーとか焼きそば、みたいな!! 材料にこだわって、大して使わない調味料をやたら揃えたり。で、キッチンを油まみれにしたりするやつ!!

などと半分怒られることがある。

わたくしは、あまりカレーにこだわりはないし、つまりはスパイスとかにも興味がなく、あまり買わない。

まあ、キッチンは油まみれにするけれども。

いずれにせよ、これはかなり「どうせ男の料理でしょ」というステレオタイプ的反応だと思う。

まあしかし、わたくしも落ち着いてプラクティカルなウィズダムのあるオトナなので、SNSでよく怒っているヒトの常套句「ゾッとしました」で、こういうステレオタイプを攻撃しよう、とは思わない。女性がそう思うのは現代社会においては仕方ないかなと。

ただ、こういった料理周辺の問題について、ひとりの料理をする男性としていろいろと思うところはある。

ということでですね、なんだかんだ言ってまだまだ女性のものとされている「家庭料理」の世界へ入り込んだ男性として、思うことを書いていきたいと思う。アフリカン・アメリカンの世界だった「ジャズ」に飛び込んだビル・エバンスのような気持ちで。

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