504. 特殊詐欺と色恋営業は紙一重?
特殊詐欺の被害から高齢者を守るためという名目で無尽蔵に予算が使われている。しかし、私にはその高齢者から「騙される機会(権利)を奪っても良いのか」とどうしても懐疑的に映る。
特殊詐欺の多くは息子を装った別人に「俺を助けるためにお金を用意して」と母を頼るフリをし、それを本当の息子だと思った母親が本当にお金を工面して「これで息子は助かった。良い母親ができた。」と悦に浸るというプロセスで完結する。
その渡したお金がどこに行くかは知らないが、息子に頼られお金を工面することで良い母親ができたと満足する行為に、100万円の価値があるのであればその価値を味わったのだからそれが悪いことかと言われれば、私は悪いとは思わないのだ。
現に、本当の息子が100万円を必要として本当の息子がその100万円を使うのと、息子を名乗る別人が使うのとでは、母親に起きた目の前の100万円がなくなった見返りとして悦に浸れたという事実に違いがない。
これを悪とすれば、キャバクラや夜の店で繰り広げられている「色恋営業=恋人ごっこ」も全て詐欺ということになる。そういう人もいるであろうが、何年も実の母親に連絡をとらず全く愛想のなかった現実の息子より、嘘でも息子のふりをして自分を懇願してくれた上に涙を流してお礼まで言う息子のふりをした別人の方が、被害者とされる母親にとっては満足度の高い存在だったと言えるのではないか。
キャバクラの色恋営業は詐欺です。電話が来ても出ないでください。LINEのアカウントは削除しましょう。キャバ嬢から電話が来たら家族の人に相談して本当にそのキャバ嬢があなたを愛してくれているのか意見を求めましょう。
これが特殊詐欺撲滅キャンペーンの紙一重の姿である。本物の息子であろうが偽物の息子であろうが、失った金額に見合う満足を得られたというのであればそんなに目くじらを立てて撲滅すべきものではない。むしろ、真偽を見抜けないほど実の母親をほったらかしにしていた息子をもう少し責めてもよいくらいだ。
梅田王子