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生きたいので今日も死を乞う




煙草を買った

高校の卒業式の後 お気に入りの河原で 人生最後の制服を身に纏って くしゃくしゃのボックスの中に残った何本かを吸い上げたあの日以来


好きなわけでもなければ詳しいわけでもない

良さも悪さもどこに売ってるかさえもよくわからないまま 商品名と赤を指定してIDと引き換えに買ったそれのパッケージには管に繋がれた小さな赤ちゃんがいた


マッチ派だったため未だに10回ぐらい擦らないと付かないライターで 少しフィルターの湿った1本に火をつける


ひさびさに吸ったら頭がくらくらして立つことさえままらなかった

それでも懐かしい あの五感の全てを刺激するヤニを 身体が拒む感覚に酩酊した


吸い終えた後 しばらくはべろべろに酔った時のような状態になって自室の床に突っ伏して動けなかった

こんなにきつかったっけ なんて思いながらそれでも自分を縛っていた何かから吹っ切れたような その事実に満足して

ああ ライターの練習をしよう




あたしの将来の夢は 死ぬこと だ

誰がなんと言おうとこれは変わらない



所謂普通の死生観を持っていない自覚はある

あたしとって死は当たり前にあるもので 恐れるものでもなければ涙を流すようなものでもない

寧ろ不死身の方が怖い



人はいつか必ず死ぬ

当たり前で忘れがちなこと


死をもってでしか生を証明できない

あたしの全てに通ずる ベースとなっている考え

人は死ななければ生きていないのと同じ

死んだ時にはじめてそのひとは生きる


決して死自体は悪いことじゃないんだと言い続けるよ



高校2年生の終了後 自殺未遂をした

勉強についていけなくて 父親に怒鳴られ続け 丸3ヶ月間同じ家に居ながら一度たりとも顔を合わせなかったことがある

ちゃんとした 職につけないからと言われたこともあり 就職は端っから選択肢にさえなかった

大学に入れるだけの頭も 入りたい大学もなくて 就職もしたくない


じゃあ高校卒業後どうするの?

答えは1つだった


なんていうか すごく自然な流れだった

進学や就職と同一直線状にある 選択肢の1つでしかなくて

その道を選ぶことに疑問も違和感も全く抱かなかった




結局それは未遂でしかなくて あたしは今もこうして誰に読まれるわけでもない文章を連ねているわけだけど

あたしのその根本は変わっていないし それは決して悪いことではないのだと改めて確信したのは ここ最近いろんなひとと話が出来たから


多様 としか言いようがない個々が持つ価値観は全て尊重されるものだと

もっと自分を曝け出して 自分が好きな自分のまま死に向かおうと思えたから


考え方や価値観に悪なんて何ひとつない

ただ どう他と違うか だけ

そしてそれをどう受け止めるか


あたしを嫌いなあたしだってあたしが好きなあたしの一部




煙草なんて から始まる煙った顔を見たくなかった

だけどあたしにとってそれが唯一自分を救える手段なの

あなたの中の悪があたしを生かすんだ








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