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それでも隣り合わせで生きる死を恐れて かわいい自分を守ろうとするの





一通り見漁ったYouTubeに飽きて 適当に急上昇ランキングをスクロールしていたら ここ最近日本の芸能界を揺るがせた名前があった


例に漏れず 普段ならスルーしているであろうそのMVを見て驚いた

ああ こんな美しい声で歌うひとだったのかと


普段の演技とはまるで違うその声に強く魅せられ惹かれた




少し前までは歌うひとだということすら知らなかった

突然の訃報と共に順風満帆のように見えた一生を説明する経歴の欄にあった ニューシングルリリース予定

その時にはそれをわざわざ聴かなかったのはファンでもなければ特別視もしていないし 所詮話題づくりの俳優業の間の片手仕事レベルだろうと思っていたから

けれど 1度聞けばそれは大間違いであることは明白で

個人的にすごく好きな歌声だった




あたしは死を理由に脚光を浴びる芸能人だとか作品だとかが大嫌い

生前は当たり前のものとして消化されてたかのようなその存在が 死と同時に一時的に名を轟かせ そしてまたすぐ消える


人は死んだ時に初めて生きるのだと

あたしはそう言い続けているけれど それは決して消化されるという意味でも瞬間的な光を浴びるというわけでもない

当たり前にあるものが消えたことへ恐怖を抱き それに涙することで自己保身に走るだけだ


けれど けれど あたしはこの一件がなければその歌声を聴くこともなかっただろうとも思っている




皮肉にも遺作となったその曲は1番のヒット曲となるだろう

インスタのフォロワーが急に増え続けていると聞いた

全部全部 消失感という仮面を被せた自己愛をぶつけただけのエゴじゃないんだろうか


あたしは誰かの死をそんな醜さで埋めたくはない




あたしはたぶんその曲を聴聴き続けるだろう

どこかで流れる姿を見続けるだろう

だけど 今現在残る作品や欠片に対して特別なことは何もしない


芸能人として生きて そしてその肩書に殺されたのであろう一生が これ以上誰かに傷つけられることがありませんように






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