フタリソウサリプレイ『水底の夢』
TRPGフタリソウサのリプレイです。何が起きているかわかる程度にルールを解説しながら書いていきます。自分がGM、プレイヤーは探偵が近々さんhttps://twitter.com/chika_djed、助手が永田和希さんhttps://twitter.com/naga_tattaでした。許可をもらってリプレイにしています。ありがとうございます。
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フタリソウサはキャラデータがあまり多くないシステムで、今回は、「名前や設定は事前に考えておいて下さい。当日それに合わせてデータ作りましょう」のようにしてみました。なかなか上手くいったのでおすすめの手法です。
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GM:こんにちはー。
草城潮:こんにちはー。キャラ名とか決めてきました。草城潮(そうじょううしお)です。探偵やります。
六辻晃弘:おなじく、六辻晃弘(むつじあきひろ)です。助手でーす。
GM:はーい、ではフタリソウサを遊んでいきます。このゲーム、サプリメントで追加ルールとか出てますが、今日はサプリなしで、基本ルールでやっていきます。ココフォリアに部屋を用意しましたのでそちらへどうぞ。
二人:おおーいい感じ。
※今回は、はら亭さんのフタリソウサオンラインシートhttps://booth.pm/ja/items/2723741を使わせていただきました。とてもいい感じでした。背景写真はクリエイティブコモンズでググったものを使っています。左下には公式サイトのサマリから捜査フェイズの流れを抜粋したものを置いています。
GM:キャラデータを、パネルのメモに書いていきます。セッション中マウスオーバーで読めて便利です。まずはクラスから決めましょう。
草城潮:もちろん天性の才能だな。
六辻晃弘:迷うな⋯⋯。スキルとかアビリティにも影響するんだよね。
GM:影響します、が、あまり大きい影響ではないです。迷ってもらっている間にちょっと説明しましょう。えーと、フタリソウサはですね、例えばクラスの次には背景を選ぶんですけど、これはゲームシステム上の働きは特になくて、キャラ立ちを固めるだけのものです。その辺が同じ冒企ゲーでもシノビガミとかインセインとは大きく違って、あっちはアビリティでコンボ組んでカードゲーム的に戦ったりしますが、フタリソウサのルールはそういう意味ではゲーム寄りではなく、キャラ立ちお助けツールが沢山詰まっているもの、という感があります。
六辻晃弘:ふむー。じゃあキャライメージ優先で選んで、巻き込まれにしようかな⋯⋯。
草城潮:やっぱり超エリートだな。
六辻晃弘:年齢18才の男子高校生にしよう。身長170くらい。
草城潮:こっちはそれよりちょっと小さくしようかな。168。「行け!」ってやりたいからね。そして、私が今朝布団の中で考えた設定聞いて? 「いやあ、あれは僕がまだ探偵を始めたての頃、」
六辻晃弘:なんか始まったぞ。
草城潮:「『二人の花嫁事件』にて、僕は最後の証拠である結婚指輪は珊瑚礁にひっかかっていると推理したんだ」
六辻晃弘:⋯⋯はい。
草城潮:「僕はダイバーにそれを探させていたんだ。指輪を発見して突きつければ解決だったはずが、海の向こうからドンブラコと流れてきたのが君だよ! 仕方なくダイバーに君を拾ってもらったが、指輪はどこかに行ってしまった。君のおかげであの事件は迷宮入りというわけだよ」
GM:超エリートなのに(笑)。
草城潮:経歴の汚点になってしまって。
六辻晃弘:俺は汚点だったのか⋯⋯。てゆうか、俺は何があって流れていたんだ⋯⋯。
草城潮:「僕は深く傷ついたんだ」
六辻晃弘:それより漂流してる高校生を心配して?
草城潮:こういうのを勝手に決めていくゲーム、ですよね?
GM:まさにそうです。
というわけで、以下キャラデータができていきました。
GM:⋯⋯キャラデータ大体できましたね。続いてたまり場を作っていきます。どんな場所か、とか、名前とか。
草城潮:晃弘君はどんなとこがいいー?
六辻晃弘:でもこっちは、弱みを握られてるから、呼ばれればどこにでも行く感じ。
草城潮:18才だよね。免許持ってる?
六辻晃弘:⋯⋯。
草城潮:僕、車での移動がいいから。
六辻晃弘:⋯⋯。
GM:では移動の度に「ホントは車がいいんだよね」とぶつぶつ言いながら歩く探偵さんということで。
六辻晃弘:うぜえ(笑)。まあ免許はそのうち取るということで。
草城潮:たまり場は探偵の家にしようかな。すごい豪邸です。名前は「僕んち」。
六辻晃弘:じゃあ僕んちに集合で、とか言われるんだ。
GM:いいと思います(笑)。
■たまり場フェイズ
GM:ではたまり場フェイズに入っていきます。自己紹介からですねー。
草城潮:そうだなー、じゃあ六辻くん⋯⋯いや、名前で呼ぼうかな。「晃弘君、紅茶を入れてくれたまえ」
六辻晃弘:馴れ馴れしい(笑)。
草城潮:で、温かい紅茶を飲みながら⋯⋯
六辻晃弘:ぬるいです。
草城潮:ぬるいんかい!? 「ぬるいよお」と顔をしかめながら、えーと、僕は草城グループの三男坊で、グループのことは兄たちに任せて、この屋敷をもらって色々遊んでいるわけなんですけど。
六辻晃弘:遊んで。
草城潮:いやでも世の中の役に立っているよ? 「名探偵草城といったら僕のことだからね」
六辻晃弘:「聞いたことなかったですけど」
草城潮:「そりゃあ土左衛門になるのに忙しかった君は知らないかもしれないが」。好きなものは紅茶と謎、嫌いなものは人間です。
GM:いるいるそういう探偵。
草城潮:ファッションは「こだわりがない」んですが、メイドが買ってくる高い服を適当に着ています。今日も暇つぶしになる謎はないかなと新聞を広げています。そんな自己紹介で。
GM:ありがとうございます。続いて助手さん。
六辻晃弘:えーと、六辻晃弘です。こっちは潮さん、って呼ぼうかな。背景は「過去にツケ」で、海に浮かんでいたところを助けてもらいました(笑)。そのせいで事件解決を妨げたのを申し訳なく思って、あとバイトも探していたので探偵の手伝いを⋯⋯、いやえっと、これ時給出るの?
草城潮:時給じゃないなー。事件が解決したときに、報酬の一部をあげるかな。
六辻晃弘:⋯⋯時間の無駄か。
草城潮:無駄じゃないよ! 何度も解決して報酬あげてる!
六辻晃弘:ならよし。学校終わりとかに来るので学生服です。というか、こんな豪勢な家に来る服を持っていないので、休みの日も学生服です。好きなものはジャンクフードで、バーガーキングにいたり、ポテトチップスを持ち込んだりしています。
草城潮:ポテトをこぼさないでくれー。
六辻晃弘:嫌いなものは海。
GM:溺れたから(笑)。
六辻晃弘:あと、ゲストのキャラなんですけど、お姉さんがいることにしました。六辻稚菜(むつじわかな)という名前で、警察官です。なので指紋の技能を持っています。警察として潮さんのことも知ってて、弟がここでバイトしてることについても、頑張りなさいよ、と見守ってます。そんな感じで。
GM:なお、ゲストは技能で助けてくれる他に、最後に探偵さんがなんと推理を外したときに、「~~と、○○君が言っていた」と言って一回身代わりにすることができます。
草城潮:面白い(笑)。
GM:あと、たまり場にある思い出の品ひとつ、そしてそれにまつわるエピソードを決めます。
六辻晃弘:なんだろう、過去の事件にまつわる物とかだよね。
草城潮:溺れてたときの何かでもいいかも。
六辻晃弘:確かにー。でも嫌がらせだよね(笑)。お前溺れてたんだからな、っていう思い出の品。
草城潮:心労が溜まりそう。
六辻晃弘:そもそもなんで溺れてたんだ。覚えてないことにしようかな。
草城潮:事件だね。その手掛かりになる物を持ってたとか。
六辻晃弘:じゃあ溺れながら掴んでいた何かの書類。濡れて読めないし、張り付いて固まっちゃってるんだけど、それが置いてある。
草城潮:なるほどいいね。
六辻晃弘:いい、かな?
GM:いやカッコイイと思います。で、この思い出の品とエピソードから、お互いに強い感情を一つずつ取ります。強い感情と言っても、この「強い」は激しい怒りとかの意味ではなく、定着した、長続きする感情という意味です。
草城潮:うーん、えー、そうだなー、「迷惑」だなー。
GM:そのスタートはありですね。
草城潮:仲良くなろうな!
六辻晃弘:そういう感じで来るなら⋯⋯、こっちは「申し訳なさ」で。
草城潮:普通にかわいそう(笑)。「協力することで借りを返してくれたまえ」
■事件発生フェイズ
GM:いよいよ事件発生フェイズ。今回の事件名は、『水底の夢』です。
六辻晃弘:おお~、いい感じ!
草城潮:楽しみー!
GM:で、フタリソウサでは、この事件の「調査の障害」を、なんとプレイヤーが好きに決めることになっています。
草城潮:へえ~。
GM:このゲームは助手に心労が3つ溜まるとゲームオーバーです。助手は「調査の障害」によって余裕を減らし、余裕がゼロになると心労が1つ溜まり余裕をリセット、のようになります。
六辻晃弘:なんで傷つくのが助手なんだよ!?
草城潮:でも推理小説ってそういうとこあるよね。
GM:何にします? ルールブックには、「犯人の妨害」、「探偵の気まぐれ」、「権力者の妨害」なんかの例が挙がってます。
六辻晃弘:やっぱり探偵がらみの何かかなあ。
GM:命を救われた引け目とか?
六辻晃弘:あ、それにしよう。そうします。
草城潮:こっちはそれほど気にしてないのに(笑)。むしろ潮は友達ができて嬉しい。
GM:そして、いよいよ準備の最後。助手は探偵に対して、「秘めたる思い」を持ちます。これは、自分をこう思ってほしい、という気持ちです。セッション中一度、この思いを告白することができて、これをすると色々いいことがあります。余裕や変調が回復したり、それ以降の判定を一回、自動でスペシャル成功したりできます。これはこっそり決めておいて下さい。
六辻晃弘:決めました!
GM:よーし! ではセッション本編が始まります!
二人:はーい!
■事件発生フェイズと初動捜査
GM:えーと、巻き込まれの人なんですよね、⋯⋯では晃弘君に、お姉さんから電話がかかってきます。それとも一緒に住んでるのかな?
六辻晃弘:晃弘は実家ですけど。お姉は就職してるので一人暮らしかな。
GM:ではやはり電話で。お姉さんは、「ねえ晃弘、お願いがあるんだけど」
六辻晃弘:「ええ~」
GM:「今の事件の関係者さんが、事件の捜査に不満があってもっと調べてほしいって言うんだけど、警察にできることにも限界があるのよね。あなたの知り合いの探偵さんに紹介してあげてくれないかしら」
六辻晃弘:「⋯⋯わかった。たぶん喜んで引き受けそうな気がするから」
GM:「ありがとう。紹介状を送っておくからよろしくね」。ということで、関係者さんが出てきます。
六辻晃弘:おおー。
GM:NPCたくさん出るので、立ち絵は黒塗りでお許しいただいて。
草城潮:雰囲気あっていいですー。
GM:というわけで、二十一才の女性、大学生の沖浦しじみさんが来ました。晃弘君のところに来るんだけど、どう見ても高校生なので、え? 警察に紹介してもらった人なんだけど、高校生? みたいな目で見てきます。
六辻晃弘:「えーと、俺は探偵の助手なんで、探偵のところに案内しますよ」
GM:沖浦さんは不安を抱えている様子で、高校生についていくのも変だけど他に頼れるものがなく、落ち着かない感じでついてきます。
六辻晃弘:潮さんに事前に連絡して、お姉さんから聞いた話とか伝えておきます。
草城潮:「なるほど、話だけは聞いてあげよう」
六辻晃弘:「受けて下さいよ!」。ではたまり場へ行くので、潮さん家かな。
GM:では電車に乗りましてたまり場へ。駅から高級住宅街の方へ歩いていくので、沖浦さんは、驚いた顔で周囲をキョロキョロしています。
六辻晃弘:「そんな緊張するような相手でもないですよー」と言いながら、インターホンを押す。
草城潮:メイドが開けます。
GM:リアルメイド見るの初めてだわという顔をする依頼人。
草城潮:二人が客間に通されたら颯爽と登場します。「やあ」
六辻晃弘:「草城潮さんです。今回の事件をきっと解決してくれるはずです。潮さん、沖浦しじみさんです」
草城潮:ソファにどうぞ、と言って自分も座りますよ。
GM:沖浦さんは潮さんを見て、(ファッションにこだわらない人だわ)とこっそり思います。
草城潮:(笑)。特徴だからね!
六辻晃弘:適当なもん羽織ってきたな⋯⋯。
GM:「探偵さん⋯⋯なんですか?」
草城潮:「もちろん。草城探偵事務所をやっています」
GM:そうだっけ?
六辻晃弘:助手だけど初耳だ。
草城潮:やってるんだよ!
GM:では、沖浦さんは事件の話を始めますが、セリフで喋っていくとややこしいので、概要として伝えます。沖浦さんは大学生で、大学の施設でバイトしています。キャンパスとは離れて、田舎に池があって川が流れ、そのほとりに水質試験場があるんですが、それに付属して「せせらぎ水族館」というものがあります。
草城潮:ふむふむ。
GM:小規模の、施設のついでに作ったような水族館です。その施設で、財前真木(ざいぜんまき)さんという人が窓から落ちて死にました。これはただの事故なのか、それとも誰かがつき落としたのかがわからず、警察も両方の面から調べています。「だけど、窓から事故で落ちたりしないと思うんです」と沖浦さんは言います。
草城潮:まあねー。
GM:しかし、それに続いて先週、施設の敷地内の小屋で、先生だった芦川美則(あしかわみのり)さんが刺されて死んでいました。
六辻晃弘:へええ。
GM:要約したものを事件概要として貼っておきましょう。
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『水底の夢』事件概要
やや田舎の湿地のほとりに、大学の研究施設である水質試験場があり、それに付属してせせらぎ水族館というものがある。
施設は四階建てで、一階の半分がささやかな水族館。後は研究所だ。
その施設で財前真木という女性が転落死した。警察は事故と殺人の両面から調べている。
続いて、敷地内の小屋で芦川美則という女性が刺殺体で発見された。こちらは明らかに殺人だ。
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六辻晃弘:二人死んだわけですね。
GM:そしてここで、探偵さんに「知ってたカード」というものが渡されます。
草城潮:はい(笑)。
GM:これは探偵さんだけが見られるもので、「そんなことは知っていたさ」みたいな探偵プレイができます。まだ聞いていないことをなぜか知っている場合もあります。この内容は特に秘密ではなく、助手さんに好きなだけ教えてもいのですが、カードを読み上げるのではなく探偵さんのセリフとして話して下さい。
(※:というわけで知ってたカードを探偵さんのプレイヤーのみに見せます。上の画面にも知ってたカードのパネルがあるのですが、ちょっと不安感があるので直通チャットで送りました。)
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『水底の夢』知ってたカードその1
依頼人の沖浦しじみはこれは連続殺人なのではないかと疑っている。
芦川美則の死体の側には「①」があったのを沖浦しじみは見つけていた。
警察は両方の事件の「②」を調べたが、決め手にはなっていない。
財前真木の死体の側には「③」があったのを白滝資嗣は見つけていた。
死体の側にあったのは『④』だ。第三の人死にがあるかもしれない。
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GM:ちなみに今回の事件の知ってたカードは計三枚で、これは一枚目です。
草城潮:(読む)はーはーふんふん。ほほー。なるほどね。沖浦さんに色々質問してもいいのかな?
GM:どうぞー。
草城潮:「沖浦さん、あなたはこれが連続殺人だと疑っているんですね?」
GM:「は、はい! やっぱりそう思いますか? 警察の人は信じてくれなくって⋯⋯」
草城潮:「死体の側で何か見つけなかったかい?」
六辻晃弘:えっ。
GM:その質問に対し、沖浦さんは、こんなことを喋ったら馬鹿にされて恥ずかしいんじゃないかしら、というためらいを見せます。そこでこれに対して、「初動捜査」の判定をしましょう。
草城潮:お、はーい。
GM:フタリソウサの判定は、ダイスを二つ振って、どちらか片方でも4以上が出れば成功です。そしてこのとき、助手はD6を振って4以上なのですが、探偵はD10を振って4以上です。明らかな格差社会です。
六辻晃弘:ひどい(笑)。
GM:喋るか迷っている人に喋らせたいので、社交の技能があると有利、また初動捜査では探偵さんは基本的に有利です。
草城潮:(ころころ)成功、スペシャルが出てる。
六辻晃弘:喋って下さいよーと言いつつ(ころころ)、こっちもスペシャル。
GM:大成功している。助手さんは余裕が合計2増えますねー。
(※このゲームでは助手が成功した場合と判定にスペシャルがあった場合余裕が増えます。スペシャルとはダイスの出目の6です(D10でも6)。毎回増えるんですが以下では描写を省いたりしてます。)
GM:それと、助手が成功したなら、探偵は助手に感情を取ります。ショボいと思っていた助手が成功したので見直すような感情、あるいはぜんぜん関係ない感情を取ってもいいです。
六辻晃弘:関係ない感情⋯⋯。寝癖直してないな、とか?
草城潮:面白いからそれにしよう。沖浦さんを説得してる晃弘君を見ながら、朝起きてそのまま来たな、と思います。
六辻晃弘:ネガティブな感情ばかり取られてる。
GM:で、成功したので喋らせることができます。
草城潮:「まあ僕を信用したまえ」
六辻晃弘:「馬鹿にしたりしませんから」
GM:沖浦さんは、「実は、芦川先生の死体を見つけたのは私なんです。死体の側にこんなものが落ちていました」と言います。それがキーワード①ですね。これは両者が見てもいいものです。これです。
①見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ──という和歌の短冊
草城潮:ほおおおお~~~~。
GM:「変なことを言うようですけど、死体があったのは池の側の小屋なんです。回りの風景がもの寂しい感じで、この和歌を思わせるというか⋯⋯」
草城潮:「なるほど面白い。これは重要な証拠だな」
GM:「警察の人は、私がそう言っても首を傾げるばかりで」
草城潮:「だろうね。大船に乗ったつもりでいたまえ」
GM:では、その施設の住所とかを伝えて、「犯人を見つけて下さい」と言って沖浦さんは帰っていきます。
六辻晃弘:彼女が帰ってから聞きます。「どうして、死体の側に何か落ちてたって思ったんですか?」
草城潮:え? 僕? ⋯⋯そりゃあ、知ってたからね(笑)。「そうじゃないとおかしいと思ったのさ」
六辻晃弘:「連続殺人で、和歌が落ちてたってことは、これは犯人からのメッセージなんでしょうか」
草城潮:「それはまだわからないな。ただこのままでは、次の犠牲者が出るかもしれないね」
六辻晃弘:「えっ。そうなんですか?」
草城潮:「僕はそう思っているよ」。むふふふふ。
六辻晃弘:楽しそうですね(笑)。
草城潮:楽しい~。
■捜査フェイズ1-1
GM:では捜査フェイズが始まります。いままでが言わばプロローグで、ここからがフタリソウサのメインとなるフェイズです。探偵一回、助手一回、どちらが先でもいいんですけど、一回ずつ行動して一サイクル。そしてサイクルごとに助手の余裕が減ります。一サイクル目は1減る、二サイクル目は2減る、と減少量も増えます。
六辻晃弘:慢性的なストレスを抱えている。
GM:各サイクルには、「シチュエーション捜査」か「たまり場で休憩」のどちらかをやりますが、休憩は変調の回復が主な目的なので、基本的には捜査を選ぶ感じですね。あと、どっちの手番だろうが最初に探偵の異常な癖が必ず発動します。
草城潮:探偵迷惑だな(笑)。
GM:捜査では、知ってたカードで丸数字になっているキーワードを探っていくことになります。あと、二重カッコ(『』)に入ってるものがあります。
草城潮:ありますね。
GM:これは、探偵さんがフタリソウサというアクションをやることで得ることができます。フタリソウサは宣言すればいつでもできるので、ストーリー的に今かなーというときに使って下さい。なお、フタリソウサの際には互いの感情をひとつ強い感情にします。なので普通の感情がないときは使えないのと、うっかり変なタイミングでこれを使うと「寝癖直してないな」が強い感情になったりします。
六辻晃弘:あかん(笑)。
草城潮:気になって仕方がない、みたいになっちゃう。
六辻晃弘:服装気にしてない人に言われたくない⋯⋯。
草城潮:他の感情取っとかないとな。
GM:ではやってみましょう。とりあえず現場に行ってみるか、その前に何か調べるか、とか。どうしますか?
草城潮:どっちが先に行く? 晃弘君。
六辻晃弘:探偵さんからどうぞ。
草城潮:そっか。じゃあ現場に行ってみるか。水質試験場面白そうだしね。
六辻晃弘:水族館ちょっと楽しみ。
草城潮:ではシーンプレイヤーは草城潮で、「現場にて」の捜査をやりたいんですが、まずは異常な癖ですね。
GM:異常な癖の、自分で決める部分はどうしました?
草城潮:初めてで加減がわからないのと、やってみたいのが多かったのとで、ルールにあるやつから選んでおきました。
GM:部屋の中で銃の練習を始める、とか書いてもよかったのに。
草城潮:壁にエリザベス女王の頭文字を(笑)。
(※:シャーロック・ホームズのネタです)
GM:では1D6どうぞ。
草城潮:(ころころ)事件についてわかった様子だが誰にも教えない。なるほど、「きっと現場に⋯⋯、うん、なるほど。じゃあ行こうか」
六辻晃弘:「もう何かわかってるんですか?」
草城潮:「いやあ、見てみないとわからないよ。晃弘君、免許はもう取ったかい?」
六辻晃弘:「⋯⋯タクシー呼びますね」
草城潮:「仕方ないなあ」
GM:では現場まで来ました。結構田舎で、山がすぐそこにある感じ。池があって、川がサラサラと流れています。そこに殺風景っぽい四階建ての建物があります。池の生物を調べたり、学生が実習をしたりする施設ですね。その一階がせせらぎ水族館となっています。入場無料だけど、日本の池や川の生き物が展示されてる水槽しかないという、子供が来てもあまり喜ばない感じのささやかな水族館です。
草城潮:あー! あるあるそういうの!
六辻晃弘:大人になって行くと結構楽しいよね。
草城潮:じゃあそういう光景を見回して、「のどかでいいところじゃないか」
六辻晃弘:「こんなところで殺人が⋯⋯」
草城潮:「さあ、さくっと解決してやろうよ」
六辻晃弘:「何かわかってるなら教えて下さいよー」
GM:では、今回の事件の関係者一覧を出しましょう。
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『水底の夢』関係者一覧
沖浦しじみ
おきうらしじみ
21才 女性
大学生 依頼人
源ぱある
みなもとぱある
21才 女性
大学生
財前真木
ざいぜんまき
24才 女性
大学院生 最初の死者
白滝資嗣
しらたきもとつぐ
26才 男性
大学院生
鮭沢五城
さけざわいつき
26才 男性
大学院生
芦川美則
あしかわみのり
32才 女性
助教 二人目の死者
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六辻晃弘:可視可されてるとわかりやすいな。
草城潮:すごい名前の人いた。源ぱある。
六辻晃弘:いい名前だな(笑)。
草城潮:人が多くて面白い。
GM:これは立ち絵を描く心を折るゲームです。
草城潮:わかります(笑)。
六辻晃弘:みんな海系の名前なのいいなー。
草城潮:この人々を調べていくとして、D6をロールしてシチュエーションを決めるんですよね。
GM:そうです。なお、キーワードを探す以外にも、普通にロールプレイして情報集めをしてももちろんよいです。
草城潮:はーい。振ってみます。「現場にて」で(ころころ)「逃げた人物」。誰か逃げてる!
GM:えっと、僕も各イベントを読み込んではいないので、いま読むのでお待ちを⋯⋯。(読んで)ははー、どうしようかな、誰か逃げてて、このどれかのキーワードが手に入るには⋯⋯。
六辻晃弘:イベントに合わせてシチュエーション考えるんですね。GM大変なのでは。
GM:まあそうなんですけど、これくらいのアドリブ加減を要求するゲームが好きなんですよー。でもルールブックにも「思いつかない場合は探偵の直感が働いたとしてしまいましょう」と書いてあったりします。
草城潮:(笑)
GM:ではこうかな。はい、お二人はこの水族館の建物を眺めて、なるほどこれか、さあ入っていこう、というところでした。ところが、建物の入口付近に男性がいて、ちょうどそのときにその場を去ろうとします。お二人には、それは単に偶然のタイミングではなく、自分たちを見たから去っていくのかな、という気がしました。
草城潮:なるほど。
六辻晃弘:「アイツ今、露骨に逃げませんでした?」
草城潮:「怪しいね。話をぜひ聞きたい」
六辻晃弘:「捕まえましょう」
GM:で、そのために、追跡または捕縛を使って判定ができます。
草城潮:はーい。(ころころ)スペシャル出ました!
六辻晃弘:(ころころ)失敗した。「あっちに行きませんでした?」て言って見当違いの方に行きます。使えない感じの助手だ。
GM:はい。探偵さんの方が成功したので、何言ってるんだこっちだよ、という感じで、相手が車に乗り込もうとするところに追いつきました。
草城潮:車に乗ろうとするところをぐっと掴んで、誰だか確かめようとします。
GM:相手はこちらを見て、「あんた草城潮だな」
草城潮:「ほほう。僕を知っているとは」
GM:さて、潮さんは警察組織とはどんな関係を築いていますか?
草城潮:えっと⋯⋯? 悪くない、んじゃないかな。ときどき、警察では調べ切れないものを引き受けたりしています。
GM:なるほど。では相手は、やれやれ仕方ないか、という感じで警察手帳を見せます。「私は今回の事件を調べている刑事なんだ。あまり部外者が首を突っ込むのは感心しないが、あんたは結構優秀だと聞いているからな」
草城潮:「なぜ逃げたんだい」
GM:「あんたが来たことを本部に報告しようとしたんだ。仕方ない、教えられることは教えてやるさ」
六辻晃弘:「先生あっちにはいませんでしたー!」って言いながら走って来ようかな。「あ、ここにいたんですね」
草城潮:「警察の方だよ。挨拶しなさい」
GM:「こんにちはー」
草城潮:素直でかわいい(笑)。
GM:「学生じゃないのか? 学校はどうしたんだ?」
六辻晃弘:「終わってから来ました」
GM:「そうか」(笑)。では、警察の人がキーワードを教えてくれます。これですね。
②関係者のアリバイ
六辻晃弘:いいの出たじゃん。
草城潮:警察しか知らないことが聞けそう。
GM:で、その内容を用意してありますのでお見せします。
六辻晃弘:え、やった。
草城潮:うれしい。
GM:事件概要の下のところに貼ります。これです。
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『水底の夢』アリバイ
財前真木の死亡推定時刻は15時~18時
そのとき
沖浦しじみは水族館にいた。これはアリバイにならない。
源ぱあるは下宿でレポートをやっていた。証言者なし。
白滝資嗣はクラブの部室にいた。証言者あり。
鮭沢五城はコンビニでバイトをしていた。ビデオ映像あり。
芦川美則はアパートに一人でいた。証言者なし。
芦川美則の死亡推定時刻は17時~19時
そのとき
沖浦しじみは一人で買い物をしていた。レシートなし。証言者なし。
源ぱあるは水槽の掃除中だった。証言者はないが水槽は実際に綺麗になっていた。
白滝資嗣は自宅で本を読んでいた。証言者なし。
鮭沢五城は大学の演習に出ていた。証言者あり。
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六辻晃弘:おおー(読む)。ぱあるはレポート⋯⋯証言者なし。白滝はクラブ⋯⋯。ビデオ映像⋯⋯。
草城潮:ふむふむ。面白い⋯⋯。これは同じ日ではないですよね?
GM:はい。二つの事件の間は十日ほど空いています。
草城潮:⋯⋯レシートなし、証言者なし⋯⋯。沖浦しじみ怪しいよな⋯⋯。鮭沢は容疑者から外してもいいかな。
六辻晃弘:平和に暮してるよね。
GM:刑事さんは「これだけは調べたんだが、誰でも殺せたとしか言いようがない。ぜんぜん絞り込めんよ」と言って首を振っています。
草城潮:「君にはそう見えるかもしれないな」
GM:「もちろん外部犯の可能性もある」
草城潮:「それはそうだね」(素直)
GM:「しかしまあ、警察としては、部外者とべったりというわけにもいかん。わかるだろ?」と言って、その人は車で走り去りました。
草城潮:なかなかいいこと教えてくれたなー。
六辻晃弘:「いい人ですね!」
草城潮:「悪いやつじゃなかったな」
GM:ではこのシーンはここまでですね。シーン終了時に、助手は探偵に感情を取ります。
六辻晃弘:警察に知り合いがいたりするのを見て「顔が広いんだなあ(尊敬)」という感情を取っておきます。
■捜査フェイズ1-2
GM:続いて助手が行動するシーンですが、その最初に何が起こるかというと、探偵の異常な癖です。
六辻晃弘:怖いよー。
草城潮:どーれだ(ころころ)。「何かの数式を解いている」。では、僕んちの机に紙を広げて、ずーっと何か書いてます。
六辻晃弘:「それは、今回の事件に関係ある式なんですか?」
草城潮:「もうちょっとで出そうだから待っててくれたまえ」
六辻晃弘:「何がですか?」
草城潮:「答えが」
六辻晃弘:「何のですか?」
草城潮:「見てわからないのかね」
六辻晃弘:「え⋯⋯わかんない⋯⋯です⋯⋯」
草城潮:「そうかいそうかい」と言いながら解いています。
六辻晃弘:教えてもくれねえ。
草城潮:「よーし。できたできた」。紙をたたんで机にしまっちゃいます。
六辻晃弘:あれ?「何かわかったんですか?」
草城潮:「ううん、何とも言えないな。今日はどこに行こうか」
六辻晃弘:(笑)「あ、はい」
GM:では、晃弘君は、捜査のカテゴリーから好きなのを選んで下さい。
六辻晃弘:さっきは「現場にて」だったんだよね。「協力者と共に」の協力者って誰ですか?
GM:それは、NPCがいろいろ教えてくれるんですけど、それが誰かは臨機応変に変わります。お姉さんかもしれないし違うかもしれない。
六辻晃弘:じゃあそれにしてみよう。1D6ですね(ころころ)「専門家」。
GM:ほほう⋯⋯。キーワードがこれで⋯⋯。まずは専門家が必要な状況を作らねばならないから⋯⋯。
六辻晃弘:川とか池で調査してるんで、それを専門にしてる学生の誰かに聞き込みするとか?
GM:それだ! それでいきましょう。では、再び現地に行きました。施設の横には、池とか川とかがあって、お二人は現場百遍という感じでその周囲を調査しています。
六辻晃弘:はい。
GM:で、お二人は探偵としては優秀でも生物学の専門家ではないので、大学の施設というものがこんな池や川の何を調べているのか、というのはよくわかりません。そういうところで、大学院生の白滝資嗣(しらたきもとつぐ)君がですね。
六辻晃弘:お。
GM:川のほとりで、例の、川の水を取ってガラス管に入れると色が変わる、みたいなのを調べているところに行き合いました。彼はお二人を見て「何かお探しですか?」と。
草城潮:「行け、晃弘君」
六辻晃弘:「えっと、俺たち、先日の事件を調べているんですけど⋯⋯」
GM:「ああ⋯⋯」と言って、暗い顔をします。もちろん彼にとっても、知り合いが死んだわけです。
六辻晃弘:確か白滝さんは二つの事件のアリバイが立証されてたっけ。
草城潮:片方は証言者なしだよ。
六辻晃弘:(確かめて)ああ、二回目はないのか。
GM:考えてみればこの人は、探偵が事件を調べていることさえ知らないんですよ。なので「あなたたちは⋯⋯?」と不審そうな顔をします。
六辻晃弘:「えっと、探偵です。僕じゃなくて、この人が」と潮さんを紹介します。
草城潮:手帳に一生懸命数式を書きつけています。
六辻晃弘:「ちょっとそれやめて下さい」
GM:(笑)
六辻晃弘:「もしよかったら、ここの話とか、皆さんの話とか聞きたいんですけど」
GM:彼は、へえ探偵なんかこの世に実在するのか、みたいな顔をするんですけど、一応納得したようです。改めて自己紹介してきますよ。「僕は白滝資嗣といいます。大学院生で、この施設で研究しながら、自分の論文を書いています」。それから、他の関係者の紹介もしてくれますね。「もう一人、鮭沢五城君という大学院生がいて、彼もやっぱり自分の論文を書いています。僕はタニシの研究をしていて、鮭沢君はフナの研究をしてるんですけど、素人の人には面白くなさそうに聞こえるでしょうね。はははは」
草城潮:(笑)
六辻晃弘:「へえ、タニシの研究ですか」
GM:「そうです。タニシというのも結構種類が多くって、新種が見つかることもあるんですよ」とかマニアックなことを言い出します。
六辻晃弘:「へー」
GM:「あと、生き物を飼っている場所なので、土曜や日曜でも誰かが世話をしないといけません。そのために大学からバイトを雇っていて、今は沖浦しじみさんと源ぱあるさんという二人がそのバイトをしています」
六辻晃弘:そういう関係者だったのか。
GM:「施設を管理しているのが芦川先生だったんですけど、お亡くなりになってしまったので、今後どうするかはまだ教授会で相談中だそうです」
草城潮:ふーむ。では晃弘君を後ろからつんつん小突いて「晃弘君、この白滝君は何か見つけてるかもしれない。ちょっと聞いてみてよ」と囁きます。
六辻晃弘:「えっそうなんですか」、うーんと、「白滝さん、何でもいいんですけど、知ってることとか、手掛かりになりそうなものとか、あったら教えてくれませんか」
GM:これは社交で判定ですね。
六辻晃弘:社交持ってます!
GM:おおー強い。では振ってみましょう。
六辻晃弘:(ころころ)成功した。
草城潮:(ころころ)こっちスペシャル出てる。
GM:余裕がメキメキ増えていくな。はい、では成功なので⋯⋯。
(※:実はこのシチュエーションではもう一回判定がいるんだけどうっかり忘れてます。)
GM:白滝君は「何でもいいんですか? 何でも⋯⋯。そうだなあ」と言って。
六辻晃弘:ふんふん。
GM:「財前さんが転落死した近くで、そう言えばこんなものを拾いました。全然関係ないかもしれないんですけど」と言って次のキーワードになるものを出してきます。
六辻晃弘:おおー。この、探偵がこういう感じで補助してくれるの面白いな。
草城潮:ねー。
六辻晃弘:知ってたカード面白い⋯⋯。
GM:で、彼が出したのがこれです。
③寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮れ──という和歌の短冊
六辻晃弘:ほわー。
草城潮:真木⋯⋯。
六辻晃弘:真木。
草城潮:かなり⋯⋯何かを示唆しているような⋯⋯。なるほどねー。
六辻晃弘:また秋の夕暮れですね。
GM:白滝さんは「こんなものに何か意味がありますかねえ」と言ってますが。
六辻晃弘:「いえ、これめちゃくちゃ欲しかった手掛かりです。ありがとうございます。お借りしてもいいですか?」
GM:白滝さんはそれが重要だと思ってないようで、気軽にくれました。
六辻晃弘:やった手に入れた。
草城潮:よくやったぞー。
GM:あ、それで思い出しました。助手くんが成功したので、探偵は助手に感情を取ります。
草城潮:わーい欲しかった。そうだな、よくやった、というか、対人関係で頼りになる、という感情を取りましょう。
六辻晃弘:やっとポジティブな感情が。
草城潮:「助かるよ。僕人間嫌いだから」
六辻晃弘:人間嫌いな人に雇われている。
草城潮:「いやあ、君が海を流れてきたときに思ったんだけど、君が昔飼ってた犬に似ててさ」
六辻晃弘:濡れた犬。
草城潮:そう、濡れた犬を思い出して。だからこう晃弘君を⋯⋯
六辻晃弘:人間だと思っていない!?
GM:なるほど。人間嫌いだけど許せる存在。
六辻晃弘:嬉しくないぞ!?
草城潮:つき合いやすくていいなと思ってるよ。
六辻晃弘:今は、やりました! っていう顔をしてる。
草城潮:尻尾振ってる感あるよね。
六辻晃弘:白滝さんには「ありがとうございました」って言って、気をつけて下さいねって言うか迷って、余計なこと言わない方がいいなって思って、「じゃ、じゃあ」みたいな感じで。
GM:では白滝さんは水質調査に戻っていきました。
六辻晃弘:タニシの研究かー。
GM:ではこのシーンの終了時、再び助手くんが探偵さんに感情を取ります。
六辻晃弘:うーんー? なんでそんなに、俺が知らないこといっぱい知ってるんだろう、ということで不信感で。
草城潮:ついに不信感を持たれた!
六辻晃弘:知ってるはずないこと知り過ぎだよ!
GM:さて、探偵さんは知っているわけですが、一枚目の最後のキーワードはアレなんですよね。
草城潮:フタリソウサで取るやつですね。やっといい感じの感情が持てたので、では次のシーンはフタリソウサで。
GM:はーい。ではまずは、互いに感情を一つ強い感情にします。
草城潮:やっと「寝癖直してないのかな」以外の感情が取れたので、「対人関係で頼りになるな」を強い感情にします。
六辻晃弘:こっちは「顔が広いんだなあ」⋯⋯いや違うな「不信感」だよな。
草城潮:(笑)
六辻晃弘:異常な癖も強烈だったし。というわけで、二つの強い感情が「申し訳なさ」と「不信感」。心がぐちゃぐちゃだよ!
■フタリソウサシーン
GM:ではフタリソウサシーン。これは言ってみれば、自動成功してキーワードが手に入るシーン、あるいはムービーシーンでキーワードが手に入るようなシーンです。
草城潮:はい。
六辻晃弘:ふむ。
GM:で、そうですね。潮さんは、これまでに入手した手掛かりから、ビビッと何かを閃きます。で、それをですね。こちらが貼る前に自分で言ってみたいですか?
草城潮:ええっ???
GM:(察し)では普通に貼りましょう。探偵さんが閃いたのはこれです。
④三夕の歌
草城潮:ははーなるほどねー。もう一つあるわけだね。
六辻晃弘:ああー。
草城潮:これは自分で言えたらカッコ良かったな。
GM:大丈夫です。知ってたので(笑)。
草城潮:はい。もちろん潮は知ってました(笑)。
GM:では、事件概要の続きに三夕の歌の解説を貼りましょう。
────
三夕の歌は、『新古今和歌集』中の
寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮れ(寂蓮法師)
心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ(西行法師)
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ(藤原定家)
の三首の歌がまとめてそう呼ばれるものである。
────
六辻晃弘:面白い。
草城潮:うん。
GM:なので、これを知ってた設定で助手に向かってそれっぽく語るといいわけです。
草城潮:では、まずは僕んちに帰ってきてですね。「晃弘君、紅茶が欲しいな」
六辻晃弘:じゃあ、「どうぞ」と、前よりちょっとだけ温かくなった紅茶を。
草城潮:なんで(笑)。なんでちょっとだけ温かいの?
六辻晃弘:準備に手間取って、どんどん冷めるから。
草城潮:手際が悪過ぎるー。茶場があまり開いてないことに文句を言いつつ、「晃弘君、新古今和歌集を知っているかい」
六辻晃弘:「あー、最近授業で習った、ような?」
草城潮:「受験大丈夫? ⋯⋯いや、君の受験の心配は別にいいんだよ。この二人の死体の側で見つかった和歌は、三夕の歌と呼ばれていて⋯⋯」
六辻晃弘:「さんせきって、三つの石ですか」
草城潮:「石じゃない! 夕方の夕って書いてせきだよ」
六辻晃弘:「ええっ! 夕方の夕ってせきって読むんですか!?」
GM:(笑)
草城潮:「読むんだよ。それでだね、見つかったのは三つの歌のうち二つだ。もう一つ歌があるんだよ」
六辻晃弘:「つまり、それに沿ってもう一度殺人があるっていうんですか」
草城潮:「そうだね、誰が狙われるかはわからないが、このままだと、三つ目の歌と共に誰かが死ぬかもしれないな」
六辻晃弘:「なるほど。だから始めから、三つ目の死があるかもしれないって言ったんですね」
草城潮:「最初から思ってたよ」
六辻晃弘:(笑)「教養って大事ですね」
草城潮:「大事だよ。この犯人もなかなか教養がある。僕が疑ってるのは⋯⋯」
六辻晃弘:「誰なんですか?」
草城潮:というところでCMが入ります。
GM:なるほど(笑)。ではこれで第一サイクルが終了です。余裕が1減って8から7へ。晃弘君は命を救われた引け目によってちょっとストレスを溜めました。
草城潮:ストレスを溜めました(笑)。
■捜査フェイズ2-1
GM:ということで第二サイクルです。捜査困難レベルが1増えます。そして一枚目の知ってたカードが埋まったので、二枚目の知ってたカードが探偵さんに届きます。直通チャットに貼りますよ。
草城潮:はーい。
────
『水底の夢』知ってたカードその2
白滝資嗣は芦川美則を「⑤」という理由で恨んでいた。
沖浦しじみは財前真木を「⑥」という理由で恨んでいた。
鮭沢五城は財前真木を「⑦」ていた。
源ぱあるは芦川美則を「⑧」という理由で恨んでいた。
────
草城潮:(読む)ほうほう、うわー。マジでー。
六辻晃弘:なんだなんだ。
草城潮:「そうだね、これからの捜査では、もう少し関係者の人間関係に踏み込んでみようか。彼らが互いをどう思っていたかが、事件を解く鍵になるだろう」
六辻晃弘:「へええー」
草城潮:警察は動悸とかは調べていないのかな。
六辻晃弘:警察は一つ目の事件は事故だと思ってるかも。二つ目は明らかに殺人だけど⋯⋯。
GM:では、このサイクルはどちらからいきますか?
草城潮:人間に聞き込みしたりする必要があるから、晃弘君先にどうだい?
六辻晃弘:えー。
草城潮:誰が怪しいとかも、直感で選んでみてくれれば。
六辻晃弘:なんか、さっきの三夕の歌的に、気になるのは鮭沢さんなんですよ。
草城潮:ああねー。
六辻晃弘:鮭沢さんもなんかの研究をしてると白滝さんが言ってましたよね。
草城潮:フナって言ってた。
六辻晃弘:鮭なのにフナ(笑)。で、しじみさんとぱあるさんが生き物の世話をしてて⋯⋯。狙われてるのは大学院生以上なのかな?
草城潮:死んだのは院生と先生か。次も院生という可能性はあるね。
六辻晃弘:ただ、情報が足りないというか。特に源ぱあるさんは名前しかまだ知らない。
草城潮:会ってみたいね。
六辻晃弘:じゃあ、俺のシーンに源ぱあるさんに会ってみて、その次の先生のシーンでは鮭沢さんを調べてみるとか。
草城潮:いいんじゃないかな。
六辻晃弘:ではそういうことで。
草城潮:ではそういうことでまずは探偵さんが異常な癖を発揮します。
六辻晃弘:やめろよ(笑)。
草城潮:(ころころ)パートナーがついてくる前提で勝手に動く、か。「じゃあ、源ぱあるに会いにいくか」ってドタドタ出ていき、晃弘君が気付いたときにはもういません。
六辻晃弘:周りを見ない探偵だー。「え? あの人どこいったんだよ?」と言いつつ⋯⋯、捜査のタイプは「向こうから」を選ぼうかな。
草城潮:面白いね。
六辻晃弘:1D6(ころころ)5です。「知り合いから」ですね。
GM:ふむー(考える)。ぱあるさんを調べたいんですね。では、まずは知り合いということで、お姉さんから電話がかかってきます。「ねえ、この前のお願いの件、何か進展した?」と聞いてきますよ。
六辻晃弘:「うーんまだ、情報集めをしてる段階。潮さんどこか行っちゃったし」
GM:「えっとね、関係者の源ぱあるなんだけど、被害者を恨んでたらしいのよ」
六辻晃弘:へえ。
GM:「でも、警察を信用してないらしくて、口が重いのよね。あなたみたいに若い人の方が話しやすいかもしれないから、調べてみて?」
六辻晃弘:「そうなんだ。わかった、聞いてみる」
GM:はい、というわけで、悲しく一人で現場に行ってぱあるさんに会いに行くと。
草城潮:(笑)現場に行くと潮がもういます。「遅いよ晃弘君」
六辻晃弘:えええ(笑)。
草城潮:「迷子になってたのかい?」
六辻晃弘:「違います! 周りを見てから動いて下さい」
草城潮:「いやあ、途中で振り返ったらいないからびっくりしたよ」
六辻晃弘:「最初っからいなかったです⋯⋯」と言いつつ、姉からの話を伝えます。
草城潮:「被害者への恨みか。芦川美則の方かな」
六辻晃弘:「なんで知ってるんですか???」
草城潮:「まあ本人に聞いてみようじゃないか」
六辻晃弘:悔しくなってきたぜ。
草城潮:そういうゲームなんだよ。楽しいー。
六辻晃弘:助教に恨みかー。「大学って怖いとこだな⋯⋯」
GM:さて、源ぱあるですが、水槽に順に餌をやっているところを見つけることができました。
六辻晃弘:「あ、源ぱあるさんですよね」と。敵意はない感じを出しながらにこやかに話しかけます。
GM:すると晃弘君を見て、(あらちょっと可愛い感じの子じゃない)という感じで、ニコっと笑いかけてくれます。
六辻晃弘:よーし第一印象うまくいった。「えっと実は、こちらの人が、ここで起きた事件を調べている探偵なんですけど」
GM:「そう言えば、白滝先輩が、探偵の人が来てるって言ってたわね」
六辻晃弘:「そうなんですよ。で、ここの関係者の人にお話を聞いて回ってるんですけど、源さんも、被害者について知ってることとかありませんか?」
GM:「財前先輩は優しい先輩だったわ。いろいろ相談に乗ってもらったこともあるの」
六辻晃弘:ふむ。
GM:「芦川先生はすっごく厳しくってねー」て言って、そこで言葉を濁してしまいますね。
六辻晃弘:「嫌なこととかあったんですか?」という言葉を、聞き込みというよりも相談に乗るような雰囲気で言います。
GM:はい、ではそこでぱあるさんは「でも、そんな、特には無かったわ⋯⋯」と言い出すんですけど、嘘の技能で判定してみましょう。
草城潮:嘘は持ってる(ころころ)ギリ成功。
六辻晃弘:持ってない(ころころ)でも成功。
GM:では、ぱあるさんは無かったと言うんですけど、いやあったな、ということがお二人には分かりました。
草城潮:厳しいと思ったのはなぜか、の理由とか聞いてみたら?
六辻晃弘:じゃあ、「研究について厳しかったんですか?」と。
GM:「そうなのよー。聞いてくれるー?」
六辻晃弘:お。
GM:というわけで、キーワードをお教えしましょう。
六辻晃弘:ドキドキする。
GM:これです。
⑧単位を落第にされて留年し、就職の内定が無駄になった
草城潮:へええーそうなんだ。結構しっかり恨みがある。
六辻晃弘:これはなかなかだよね。「それは⋯⋯、災難でしたね」
GM:「そうなのよー。私、今年四年生で、卒業するはずだったのよ。でも一単位だけ足りなくて、それを落としたのが芦川先生なの。普通四年生を落とさなくない?」
草城潮:内定もったいな~。
六辻晃弘:「そんなことあるんだ」
草城潮:「大学は怖いんだよ晃弘君」(笑)
六辻晃弘:「どんな生徒に対してもそんな感じだったんですか?」
GM:「あの先生はそうだったわねー」
六辻晃弘:それは色んな人から恨みを買ってそう、と思うんですけど、これは口には出さないので。
GM:でもこの辺りでぱあるさんは、探偵がこんなことを聞いてきて、私こんなことをしゃべっちゃって、言わなきゃよかった、みたいな顔をします。
六辻晃弘:まあそうだよね(笑)。「大変でしたねー」
GM:「本当よー」と言いつつ、この話これで終わりオーラを出しますよ。
六辻晃弘:じゃあそこで挨拶をして去った、ということで。離れてから潮さんと会話します。「いやあ、面白いことを聞きましたね」
草城潮:「うん。何かあると思っていたよ」
六辻晃弘:思ってたんかい!「一方で、財前さんには好印象でしたね」
草城潮:「だねー」。でも、財前さんについてちょっと思うんだけど、窓から転落死させるのって結構大変じゃない?
六辻晃弘:ですね。足を掴んで持ち上げて落とす?
草城潮:暴れるだろうし⋯⋯。女性にそれでができるかな?
GM:その辺についてですけど、キーワードではない部分でも、ロールプレイで関係者に聞いてもらえれば何か聞けるかもしれません。
草城潮:そうなんだ。それは面白いな。じゃあ晃弘君に「お姉さんの稚菜君に繋いでくれたまえ」
六辻晃弘:電話してみます。
GM:お姉さんが出ました。「どうかしたの?」
六辻晃弘:「潮さんがちょっと聞きたいことがあるって。代わるよ」と言って、潮さんにスマホを渡します。
草城潮:「やあ稚菜くん。今のところ順調だよ。確認したいんだが、財前真木さんは何階から落とされたんだっけ?」
GM:「四階の窓のようです」
草城潮:「四階か。もし仮に殺人なら、誰かが彼女をそこから放り出したということになるが⋯⋯」
GM:「財前さんはタバコを吸う人で、本当は館内禁煙なんだけど、四階の窓から乗り出すようにしてタバコを吸う光景がしばしば見られていたんです」
草城潮:「なるほどね」
GM:「だから、突き落とすのも比較的簡単だったはずであり、一方、事故で落ちた可能性もあって、警察にもどちらなのか本当に分からないんです」
草城潮:「そういうことか。しばしば身を乗り出していた⋯⋯」えっとそうだな、ついでに、もう一人の犠牲者、芦川についても聞いておくか。晃弘君、何かある?
六辻晃弘:例えば、正面から刺されたか後ろからか、とか。
草城潮:いい質問だね。それもお姉さんに聞いてみます。
GM:後ろから、という返事でした。
草城潮:不意打ちか⋯⋯。「ありがとう、とても参考になった」
GM:「よろしくお願いします。警察にはできないこともありますから」と言って、お姉さんは電話を切りました。
六辻晃弘:いいこと聞けましたね。色々できるなー。
草城潮:後ろから刺されたのか⋯⋯。じゃあ、警察の人が言ってた外部犯もありえるなー。外部犯が四階まで上がるかは分からないけど。
六辻晃弘:財前さんが窓からタバコを吸うことを知ってないと難しそう。
草城潮:それを考えると、内部犯の方がスムーズかな。「よし晃弘君。他の人も引き続き調べていこうよ」
六辻晃弘:「鮭沢さんに行きたいけど、沖浦さんのことも調べられてないですよね」
草城潮:「確かにそうだね」
六辻晃弘:沖浦さんは和歌は警察には見せてないのかな?
草城潮:警察の人が首を傾げてたって言ってたから、見せてるはず。
六辻晃弘:そっか。うーん。次のシーンは、先生の行きたい人に行ってくれれば。
GM:はい。ではこのシーンはこれくらいですね。さっき忘れてましたが助手が判定に成功したので探偵が感情を取り、またシーン終わりなので助手も感情を取ります。
草城潮:女性相手に説得に成功したから⋯⋯、どうしようかな、「年上が好みなのかな?」という感情を取ります。
六辻晃弘:じゃあこっちは、「本当に人間が嫌いなんだなあ」という感情を。
草城潮:お互いに謎な感情を取ってる(笑)。仲良くなろうよ!
■捜査フェイズ2-2
GM:では潮探偵のターンです。
六辻晃弘:がんばれー。
草城潮:がんばろう。どうしようかな。でもとにかく異常な癖。
六辻晃弘:やだー。
草城潮:(ころころ)「事件についてわかった様子だが誰にも教えない」
GM:ひたすら何も教えてくれない人だ。
六辻晃弘:人間不信すぎるよね。
草城潮:では、晃弘君と一緒の部屋にいるのに一言も喋らずに、ニヤニヤニヤニヤしています。
六辻晃弘:「何か面白いことでもあったんですか?」
草城潮:「いや別に何も?」
六辻晃弘:「あるでしょ! 笑ってるんだから。何かわかったんですか?」
草城潮:「晃弘君はどう思う?」
六辻晃弘:「えええ、正直わかんないっすけど、犯人はおそらく、二十代前半から二十代後半で、男もしくは女なんじゃないでしょうか」
草城潮:「なるほどねー、うんうん、そうかそうか、なるほど」
六辻晃弘:「この推理どうですか?」
草城潮:よーしそれじゃあ捜査するか(笑)。シチュエーションは「なぜ?」にしてみよう。(ころころ)「自分なら」です。
GM:(ルール読んで)自分ならどうするか、を考えながら推理するのか、面白いな⋯⋯。
草城潮:まずは助手が、自分がもし犯人ならどうするか、を考えて話すらしいよ。
六辻晃弘:僕が? えええ⋯⋯。「自分が⋯⋯犯人だったら⋯⋯和歌を完成させたいんで⋯⋯次は鮭沢さんを狙うと思います」
草城潮:「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ──か⋯⋯」
六辻晃弘:「で、どう殺すかというと⋯⋯、なんだろう⋯⋯、⋯⋯⋯⋯⋯⋯ちょっとわかんないっすね」(笑)。うーん、落として⋯⋯、刺して⋯⋯。
GM:動悸の側からも考えてみるとか。
六辻晃弘:動悸かー。となると⋯⋯、「研究の邪魔とか、論文の邪魔になる人間は消したいですね」
草城潮:「消したいね」(さらっと)
六辻晃弘:「そう考えるなら、白滝さんと鮭沢さんの二人が今研究してて論文を書いてるんですよね⋯⋯。大学って、研究内容が被って互いに邪魔とかもあるかもしれないでしょ?」
草城潮:「同じテーマを持ってるなら協力することも多いはずだけれど⋯⋯。でもそれはいい線いっていると僕も思うよ」
六辻晃弘:本当ですか? いい感情持ってくれますか?
草城潮:(笑)。「芦川美則という先生の方は、色んな人から結構恨まれてそうだったよね」
六辻晃弘:「一癖ありそうな先生でしたね」
草城潮:「一方、財前真木の方も後輩から恨まれていたようだ」
六辻晃弘:「そうなんですか?」
草城潮:「うん。それに、鮭沢さんは財前さんに何か思う所があったようだ」
六辻晃弘:「殺人が、連鎖している?」
草城潮:「和歌を置いていくんだから、連続殺人であるのは間違いないだろう」
六辻晃弘:「後づけもできますよね。それができるのは⋯⋯沖浦か」
草城潮:「仮にそうだとして、でもそもそも、どうして和歌を置いたのだろう。二人目の死では、沖浦は自分で和歌を見つけている、一人目の死では、和歌を見つけたのは白滝⋯⋯」
六辻晃弘:「そうか、白滝さんが持ってきたんでしたね」
草城潮:「面白いねえ」と言いつつ、話し合っても何の解決にもなっていない(笑)。
GM:では一通り話したということで、指定技能は特になし、晃弘君は有利をつけて判定してみましょう。
草城潮:はーい(ころころ)成功。
六辻晃弘:有利ついた(ころころ)成功。
GM:どっちも成功ですね。ではお二人は、そうだなあ、この流れでは現地には行ってないから⋯⋯、研究の道に進んだ大学院生が集まって同じ専門の大学院生相手に愚痴を言い合う、みたいなインターネット上の場所を見つけました。
草城潮:なるほど。いいですね。
GM:で、そこに、今回の現場となった施設の情報がありました。それがこれです。
⑤新種かもしれないタニシを交雑させてしまった
六辻晃弘:え。
草城潮:ええええ~~~。
GM:潮さんは知ってたカードと合わせて喋ってあげて下さい。
草城潮:もったいな~~~。「これを見てくれ晃弘君。こんな恐ろしいことを⋯⋯。なるほどね~。」
六辻晃弘:「恐ろしいこと? これが恐ろしいんですか?」
草城潮:「どうやらこの書き込みによると、芦川美則という先生は、おそらくは白滝君が見つけたのだろう新種かもしれないタニシが一つの水槽に分離されて育てられていたのを⋯⋯」
六辻晃弘:「タニシを分離? 水と油みたいに分離するんですか?」
草城潮:(笑)「違っがう! 一つの水槽に、他の個体と分けて入れておくんだよ。しかしそれが芦川先生によって、他のタニシと混ぜられ、交雑されてしまったようだ」
六辻晃弘:「ええええ」
草城潮:「タニシは繁殖サイクルも速いだろうから、仮に新種だったとしても、それは失われてしまったんだ。白滝くんは先生を恨んでいたようだね」
六辻晃弘:「なかなかじゃないですか?」
草城潮:「相当だよ。研究者としてやってはいけないようなことだ」
六辻晃弘:「それは怒りますよね」
草城潮:「せっかくの新種を⋯⋯」
六辻晃弘:「新種って、そんなホイホイいるんですか?」
草城潮:「でもそう言えば、あのときの白滝君も、新種が見つかることもあると言ってたね⋯⋯。なるほど。そういうことか」。楽しいー。
GM:はい。ここでまた、助手が成功したので探偵が感情を取り、シーン終わりなので助手も感情を取ります。
草城潮:なかなかいい考察をするじゃないかと思って⋯⋯「鋭いところがある」という感情を取ります。
六辻晃弘:こっちは「生物詳しいんだなー」で。
GM:余裕が減って、次のサイクル⋯⋯。
■捜査フェイズ3-1
GM:次のシーンですが、さっきのタニシの話とか聞きたければ、やっぱりこれもロールプレイで聞くこともできます。それをした後でシーンプレイヤーを決める、みたいにしても大丈夫です。
草城潮:ゾーキングしていけるわけだ。
六辻晃弘:面白くなってきたな。
草城潮:シーンプレイヤーは僕に決めて、異常な癖まではやって、それから聞き込みしようかな。
GM:もちろんそれでもいいです。
草城潮:じゃあダイス(ころころ)また「事件についてわかった様子だが誰にも教えない」
GM:秘密主義なのでは(笑)。
草城潮:前置きなく、「まあ色々わかってきたね」とだけ言います。
六辻晃弘:「俺はまだ何もわかってないです」
草城潮:「白滝君に今の話の裏取りをしにいこうか」
六辻晃弘:「それは聞きたいですね」
草城潮:「どんなタニシだったのか、とかが手掛かりになるかもしれないし」
六辻晃弘:「タニシが?」
草城潮:「タニシが」
草城潮:というわけでまた現地に行きます。また川の側で何かやってる白滝君に会えないかなと。
GM:では期待通り、この前白滝君に会った場所の近くで、再び白滝君を捕まえることができました。
草城潮:いたいた。「やあどうも」
GM:「探偵さん。こんにちは」
草城潮:「今日は、何か面白いタニシは採れましたか?」
GM:「いやあ、研究なんてのは、そう毎日面白いことがあるわけじゃありません。地道な仕事です」
草城潮:「そうかもしれないな⋯⋯。ねえ、タニシについてちょっと教えてくれないかな?」
GM:「タニシについて、ですか⋯⋯? すごく専門的なことしか逆に言えない、みたいになりますよ?」
草城潮:なるほど(笑)。「うーん。じゃあ、ほらこの前、新種が見つかるとか見つからないとかいう話をしてたじゃないか」
GM:「⋯⋯はい」。返事がちょっと用心深くなります。
草城潮:お、面白い。
六辻晃弘:いいですね。
草城潮:「そんな話が聞きたいな。もし見つかるならどんな新種なのか、とか⋯⋯」
GM:ふむふむ⋯⋯、それだと、彼はやっぱり感づきますね。「探偵さん。僕のことを何か調べてきましたね?」
草城潮:「⋯⋯実はそうなんだ。君は新種のタニシを見つけたんだって?」
GM:「やっぱりそれですか」と言う白滝君は、嬉しくなさそうな感じにははっと笑って、「交雑してしまったという話でしょう?」
草城潮:「うん、その話だよ」
GM:「本当のところはわからないんですよ。もう少し増やして育ててみないと確かなことは言えなくて。結局は知られているタニシだったのかもしれないし、もしかしたら本当に新種だったかもしれない。でも正直に言って、新種の可能性は大きくなかった気もします」
草城潮:ふうううん。そんな風に、新種の発見を諦められるものかな?
六辻晃弘:取り繕ってる?
草城潮:すごくガッカリしてて、自分にそう言い聞かせている、ていう可能性もあるな。
六辻晃弘:追求されたくない感じはある。
草城潮:それはあるね。まあ探偵相手に、すっごい悔しかった、とは言わないかも。
六辻晃弘:犯人じゃなくて、本人が疚しくないなら、もっと怒りを見せるんじゃないかって気もする。
草城潮:そうだよね⋯⋯。白滝君に、「実際、新種ってそう簡単に見つかるものじゃないよね?」と。
GM:「そうですね。昆虫の世界だと結構新種も見つかるんですけど、タニシだと難しいですね」
六辻晃弘:ははー。
草城潮:「新種を見つけたら、君の名前が学名に入ったりするんじゃないのかい?」
GM:それには、すごい真剣な顔をされます。「⋯⋯そうなんですよ」
草城潮:かわいそうになってきた(笑)。ちょっと直球で聞いてみよう。「この件で、芦川先生に怒ってる人とかはいないのかい?」
GM:「やっぱりその話も聞いたんですね」とまず言ってから。「芦川先生は、そもそもあれが新種だとまったく信じてなかったんですよ。他の奴らも似たようなもんでしてね」と、これは悲しそうに言います。
六辻晃弘:確かにかわいそうだ。
GM:「僕自身だって半信半疑だったんですから、無理もない話ですけど⋯⋯」
草城潮:なるほどそういう感じか。
六辻晃弘:自信のない人なのかな。
GM:というわけで、どうやら芦川先生は、何か意地悪の気持ちでそれを混ぜてやった、とかではなく、重要な水槽だとぜんぜん思ってなかったので、不幸な事故が起きたようです。
草城潮:そうか~。
六辻晃弘:でも、明確な悔しさでネットに書き込んだ人はいましたよね。
草城潮:確かにそれはそうだね⋯⋯。
GM:はい。ではこの辺までの会話が、一つ前のキーワードにまつわる情報収集ということで、次のキーワードに向けた捜査もしていきましょうか。
草城潮:はーい。
GM:引き続き白滝君に何か聞いてもいいし、改めて別の場所に行ってもいいですが。
草城潮:どうしよっかな。⋯⋯うん。このまま白滝君に他の人物の話を聞く、でシチュエーション捜査をしてみます。同じ大学院生の話とか。
GM:なるほど。
草城潮:「協力者と共に」で行ってみよう。白滝君を協力者扱いして話を聞きます。(ころころ)「変わった目撃者」。
GM:えっと⋯⋯、なるほど。本来は1D6で目撃者を決めるんですけど、ここではダイスではなく、白滝君ということでよいでしょう。
草城潮:「そうだ白滝君。ついでにね」
GM:「⋯⋯まだ何か?」
草城潮:「君の同級生の鮭沢五城くんについてちょっと聞きたいんだ」
GM:「ああ、えっと⋯⋯。⋯⋯いいやつ、⋯⋯です、⋯⋯よ?」
六辻晃弘:なにかある(笑)。
草城潮:怪しいな(笑)。うーんと。「鮭沢くんはね、しっかりしたアリバイがあるから、疑ってはいないんだ。でも聞いたところによると、鮭沢くんは最初の犠牲者の財前さんに対して、何か思う所があったらしいじゃないか。それを知らないかな?」
GM:「鮭沢と財前ですか。うーん⋯⋯、でもそれは⋯⋯、プライベートなことだからなあ⋯⋯」
六辻晃弘:へえ?
草城潮:「でもまあ、片方は亡くなってしまったわけだからさ」と血も涙もないことを言います。
六辻晃弘:最悪だこの先生。
GM:では、そこで判定ですね。技能は、噂、です。
草城潮:持ってないー(ころころ)でも成功。
六辻晃弘:持ってないー(ころころ)同じく成功。で、クリティカルです。
GM:おお強い。では成功ですが、死んだ人じゃないかと言われて「それはそうですけど⋯⋯」と言うので、何かもう一押しして下さい。
草城潮:では、「プライベートだとは言うけれど、財前さんの死に関係する何かがそこから分かるかもしれないし、彼女の無念を晴らすためにも、一つずつ明らかにしていかなきゃいけないんだよ。協力してくれたまえ白滝君」
GM:「あまり関係ないと思うんですがそういうことなら⋯⋯。鮭沢のやつなんですけど⋯⋯」と言いつつ教えてくれます。それがこれです。
⑦付き合ってから結構すぐに振っ
草城潮:はあーなるほどね! 「付き合ってから結構すぐに振ってたんだ! しかも鮭沢君の方が!」というのを大声で言います。
GM:白滝君は慌てて建物の方を振り返りながら、「ちょっとそんな大声で」と。
草城潮:「大丈夫だよ、タニシしか聞いてないよ」となだめて、晃弘君を振り返って、「なぜ振ったのか、ぜひ鮭沢君に聞いてみたいな」
六辻晃弘:「そうですね⋯⋯。動機になる理由かもしれない」
草城潮:でもとりあえず白滝君に、「僕たちは鮭沢君にも聞いてみるつもりだけど、本人だと言いにくいことかもしれない。もし君が理由を知っているなら、いま教えてくれないか」
GM:それに対しては、白滝君は⋯⋯、そうだな。「これが理由だ、というようなものは本当に知らないんですけど、鮭沢って、そういうところがあるやつなんですよねー」
草城潮:面白い(笑)。
六辻晃弘:そうなんだ(笑)。
草城潮:ありそうな会話になった(笑)。「面白い話が聞けた。ありがとう白滝君」
GM:「あまり言いふらさないで下さいよ?」
草城潮:ではその場は離れて、「これはぜひ鮭沢君にも話を聞いてみたいな」と呟きます。
GM:ではシーン終了で⋯⋯余裕が増え⋯⋯これルール間違ってないよな? ひたすら余裕が増えるんだけど。
六辻晃弘:(笑)
(※念の為、後からルール確認したんですけど間違ってませんでした。ただ今回のセッション、探偵と助手の片方だけしか判定できないとしたり、もう少し不利をつけたりしてもよかったかもしれません。途中で気付いたんですが、セッション半ばで変えるのもな、と思ったのでゆるくいきました。)
草城潮:助手くんが成功したので感情。今日は寝癖が直ってて、「身だしなみ整えたんだな」という感情を。
六辻晃弘:こっちは「やっと動き出したなこの人」という感情を。
■捜査フェイズ3-2
GM:ではサイクル3の後半。助手君のシーンです。
六辻晃弘:はーい。どうしようかな。鮭沢さんに、財前さんを振った理由を聞きに行く⋯⋯。
草城潮:あ、それはキーワードじゃないんだよ。だからロールで聞くやつだと思う。
六辻晃弘:そうなのか。
草城潮:でも鮭沢君は財前さんと付き合ったことがあるんだから、財前さんのことをある程度知ってると思うんだよね。そっちを聞いていくといいかな。沖浦さんと財前さんの人間関係もちょっと知りたいんだ。
六辻晃弘:なるほど。そうしましょう。
草城潮:では異常な癖を発症(ころころ)表を自由に選べるやつになった。ではいませっかく晃弘君と喋ってるので「パートナーと」表で再びダイス(ころころ)「事件に関するクイズを出す」。えええ(笑)。⋯⋯「というわけで晃弘君。これから誰のところに行けばいいかわかるかな?」
六辻晃弘:「え、鮭沢五城ですよね?」
草城潮:「うんうん。その通りだ。さあ行こう!」
六辻晃弘:うそだろ? 俺舐められてる? え? って顔しながら「流石に三歩あるいただけで忘れませんよ!」
草城潮:というわけで鮭沢五城のところに行こうよ。まあまずは、さっき聞いてきた話について聞きたい。
六辻晃弘:「本人は嫌がる話題かもしれませんよね」
草城潮:「そこは晃弘君の手腕だよ」
六辻晃弘:荷が重い⋯⋯。と思いつつ鮭沢五城の元にいきます「なぜ?」で行ってみます(ころころ)「移動ルート」
GM:ほほー、なるほど。ではですね、さっきのシーンで白滝君に、鮭沢君にも話を聞きたいんだけど、と言ったところ、彼は「ああ、あいつなら川沿いに上流に行っていますよ」と言いました。
六辻晃弘:なるほど。「上流に行ってみましょう。潮さん」
草城潮:「うん」。フナかー、と思いながら行きます。
GM:で、ここでシーンの判定を先にしちゃいましょう。交通、社交、噂話となっていますが、交通だけとします。交通でロールして、失敗すると鮭沢君に辿り着かないどころか迷子になります。
草城潮:怖いー。交通ないー(ころころ)よっし。スペシャルあり。
六辻晃弘:こっちもないー(ころころ)成功したー。
GM:では、上流に向かっていくと、ところどころで立ち止まっては川を覗き込むようにしている鮭沢五城君を見つけました。彼がこちらに気付いて振り返りますと、確かに女の子にモテそうな顔立ちをしている男です。
草城潮:おおー。
六辻晃弘:「あれですね」
GM:判定はすでに成功していますが、色々質問して下さい。キーワードの話題になったら出します。
六辻晃弘:はーい。「じゃあ行ってきます」
草城潮:「うん。僕はここでフナを見てるから」
六辻晃弘:「こっちを見てて下さい!」。で、「こんにちはー」って言って近寄っていきます。
GM:「こんにちはー」と返しますけど、彼としては、単に知らない人に挨拶されただけですね。
六辻晃弘:「えっと、噂で聞いてるかもしれないですけど、この前の事件について調べている探偵があちらで、俺は助手で⋯⋯」
GM:「ああ、あの、二人組みの人ですね」
六辻晃弘:「そうです、今いろんな人に話を聞いて回っていて、鮭沢さんからもお話を聞きたいなと思ってきました」
GM:ちょっと用心深くなって、「役に立つようなことは知らないと思いますけど⋯⋯」
六辻晃弘:「疑ってるわけではないんです。単刀直入に聞いちゃうんですけど、被害者の財前さんとお付き合いしてましたよね?」
GM:「ま、まあ」
六辻晃弘:「それで、早めに別れちゃったって聞いたんですけど」
GM:「⋯⋯もう何でも知ってるんじゃないですか」
六辻晃弘:「いろんな人からお話を聞いてるんで、そこから辿りついちゃうんです」と言って、白滝さんとは言わないように。
GM:「⋯⋯はあ」とだけ返ってきます。そう言われてもな、ってところですね。
六辻晃弘:「別れた理由とかって、お伺いしてもいいですか?」
GM:「あー、うーん、でも、すごく特定の理由があるとかではなくて⋯⋯」と言い出して、さすがに言いにくそうな感じで話すんですが、「向こうから告白されて付き合ったんだけど、あんまり合わなかったというか⋯⋯、まあ、よくあること⋯⋯ですよね?」
草城潮:むふー。
六辻晃弘:「そうですか⋯⋯。よくあること⋯⋯ですね」と相槌を打って、さらに聞こう。「一時でも財前さんとお付き合いされてたなら、彼女のことはそれなりに知ってますよね。財前さんと沖浦さんって、どんな人間関係でしたか?」
GM:それに対しては、鮭沢君はすごく用心深い目になって、「本当は知ってるんでしょ?」と言ってきます。
草城潮:(笑)
六辻晃弘:何か知ってたっけ?
草城潮:「沖浦しじみさんは財前さんに、何か恨みがあったりはしませんでしたか?」
GM:「そりゃあ、まあ、ねえ」。ちょっと情けない感じに笑います。
六辻晃弘:まあねえ、って言われてもな。
GM:どうやら彼は、この人たちは知っててカマをかけている、と思っているようですね。
草城潮:頑張って晃弘君。
六辻晃弘:えええ。
草城潮:助手としてしっかりやれるのか、みたいな目で見ています。
六辻晃弘:ストレスかけてくる(笑)。どうしよ。
GM:あ、そうですね。判定にすでに成功しちゃってるので逆に難しくなってますね。何かもう一押ししてくれれば。
六辻晃弘:なら、「あなたが教えてくれれば、事件解決に繋がるかもしれないんです!」
GM:「本当に知らないんですか? まあそのうちバレるしなあ⋯⋯」と言いつつ、彼が教えてくれるのがこれです。
⑥恋人の鮭沢五城を奪われた
六辻晃弘:ヤバいってそれはー。
草城潮:むふふふふ。好きなのかなーとまでは思ってたんだけど、恋人だったんだ。
GM:「僕⋯⋯、沖浦さんとしばらく付き合ってたんですけど、財前さんに告白されて、乗り替えちゃった⋯⋯ん⋯⋯ですよね⋯⋯」ということを、流石にとても言いにくそうに言ってきます。
草城潮:それはめっちゃ言いにくいね!
六辻晃弘:お前のせいやぞ! 「そんなことがあったんですね⋯⋯。じゃあ沖浦さんは、今でも鮭沢さんのことが好きかもしれないですね?」
GM:「いやーそれは、それは僕には本当に分かりませんよ。勘弁して下さい」
草城潮:いいな。まともな人間だね。
六辻晃弘:でも和歌的に次お前あぶねえぜ?
草城潮:それなー。
六辻晃弘:うーん、鮭沢さんに聞くことは取り合えずこのくらいかな。では、鮭沢さんにはありがとうございましたと言って、フナの研究に戻ってもろて。
GM:戻っていきました(笑)。
草城潮:では二人でちょっと検討しようか。
六辻晃弘:「なんか複雑なことになってきましたね。いや、分かりやすくなったのかな?」
草城潮:「分かりやすくなってる気がするね」、やっぱり依頼者って怪しいねー(笑)。
六辻晃弘:「でもそうなら、なんでわざわざ和歌を見せて来たんだろう⋯⋯」
草城潮:「あるいは、このように明らかに恨みがある人が、犯人に仕立て上げられているのかも」
六辻晃弘:「えっと? 沖浦さんが鮭沢さんと付き合っていたけど、鮭沢さんがそれを振った。鮭沢さんは引き続き財前さんと付き合ったけど、それも振った⋯⋯」
草城潮:「痴情のもつれか⋯⋯。鮭沢君はアリバイがしっかりしてるから、沖浦さん、源さん、白滝君のいずれかが犯人という線で考えるとして⋯⋯」
六辻晃弘:「財前に対する明確な殺意を持っているのは沖浦、と、これははっきりしたんじゃないですか?」
草城潮:「そして、アリバイが二つとも無いのも沖浦さんだ」
六辻晃弘:「でも、芦川美則を殺す動機はいまいち薄いですよね。そして芦川の死体の発見者でもある」
草城潮:「後ろから刺してたね⋯⋯」
六辻晃弘:「沖浦が、白滝さんを犯人に仕立て上げようとしてるとか。それで殺すかなあ⋯⋯? なくはないか。でも連続殺人にする意味はあるのかな⋯⋯?」
草城潮:「本当に殺したい相手は一人だけで、それを紛れさせるために連続殺人にするということはあるかもしれないよ」
六辻晃弘:「だけど、財前が殺したいだけなら、そこで止めておけば事故っていうことになったかもしれないのに。それとも、真の狙いは鮭沢⋯⋯?」
草城潮:「うん」
六辻晃弘:「狂気すぎません⋯⋯? 殺人犯ってそんなものなんですかね。それに、わざわざ探偵に依頼するのがよくわからない⋯⋯」
草城潮:「止めて欲しいのかも」
六辻晃弘:「それは完全に病んでますね⋯⋯。何かまだ見えてないものがあるのかな⋯⋯?」
GM:では、このシーンはそんな感じでしょうか。えーっと、お互いに感情かな、段々処理が雑になってくる(笑)。
六辻晃弘:感情増えてくなー。
GM:もし同じペアで違うシナリオを遊ぶならば、そのときには強い感情だけが残ってそれ以外の感情は消えてしまいます。
草城潮:そうなんだねえ。
六辻晃弘:結構ほっとかれたから、「俺のこと試してんのかな」という感情を持ちます。
草城潮:「面白いなあこの子」で。
GM:そしてさらに、余裕が3減るんですけど、クリティカルが結構出てるんで、減らしても二桁ありますね。というわけで、命を救われた引け目を感じている晃弘君ですけど、最近はむしろ人生に余裕を感じていると言っても過言ではないですね。
六辻晃弘:うん、今日もいい天気だなあ。
草城潮:(笑)。あ、そしてこれで⋯⋯。
GM:はい。二枚目の知ってたカードが埋まりました。三枚目の知ってたカードが配布されて第四サイクルになります。
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※:ところで、三枚目の知ってたカードですが、実は最初キーワード⑨はフタリソウサアクションで手に入る予定だったんですが、セッション中にちょっと微修正して、これを通常のアクションで手に入るものに変えました。
というのも、GMも初プレイなので回しながら学ぶことがいろいろあって、「フタリソウサは必殺技的なアクションであって盛り上がる、と思ってたらそうでもない」ということに気付いたからです。
通常の捜査は何が起きるかダイスで決まるのに対し、フタリソウサシーンは、事前に用意したカッコイイ展開をムービーシーン的に出したい時に使うものかと思います。今回は決まった展開を特に用意してなかったので、じゃあ普通の捜査の方がむしろ楽しいじゃないかと気付いて変更したわけでした。
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■第三の知ってたカードとプレイヤー推理タイム
GM:では、最後の一枚となる第三の知ってたカードを渡します。これです。
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『水底の夢』知ってたカードその三
財前真木の死因は「⑨」だった。
犯人の狙いは『⑩』だった。
施設内に「⑪」が来ている。これで犯人を誘い出して罠にかけられるかもしれない。
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草城潮:ほほー、ふんふんふん。
六辻晃弘:今回の六辻晃弘の立ち絵はちょっとアホっぽく寝ぼけた顔にしてみたんだけど、この知ってたカードが見られないのとマッチしてる(笑)。
草城潮:ふむー、なるほどねー。なるほどわからん。
六辻晃弘:わからないの? じゃあ、「先生、何かわかりましたか?」
草城潮:「そうだね。まずは紅茶を淹れてもらおうか」
六辻晃弘:「任せて下さい。ちょっと淹れ方わかってきたんで」と言って、温かいんだけど、味の薄い、ティーバッグを早く上げ過ぎた紅茶を出します。そもそも茶葉じゃなくってティーバッグなの。「どうスか?」
草城潮:「棚に、葉っぱ無かったかい?」
六辻晃弘:「葉っぱは分量がわかんなくって⋯⋯」
草城潮:ぶつぶつ言いながらも飲みます。「もう一度確認しよう」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「財前真木は転落死。彼女はよく身を乗り出してタバコを吸っていた。だから、それをどんと突き落とすだけで良かった。次に、芦川美則は背中から刺されていた。さて、さっき、本当に殺したい相手がいて、それをカムフラージュするために他の者も殺す、という可能性を検討したよね」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「しかしそれとは別に、連続殺人が生じるありがちな理由はもう一つあるよ。最初の殺しを見られたという場合だ」
六辻晃弘:「なるほど。目撃者を殺すんですね」
草城潮:「でもそれだと、一回目の殺しに和歌を用意したりはしないか⋯⋯」
六辻晃弘:「白滝さんが拾ってたから、一回目からあったんですよね。ということは、最初から三人殺すつもりだった」
草城潮:「沖浦さんが犯人だと考えると⋯⋯、どうかな、犯人は一人ではない可能性はあるかな⋯⋯」。一人だよね?
六辻晃弘:わかんないよね。でも一人だと考えてよさそうかな?
GM:ゲームのルール上は、一人であるべきとはなっていないです。複数犯もあり、全員自殺でしたとかもありです。何か真相があればそれでよいという感じです。
草城潮:そうかー。
六辻晃弘:面白いな。
草城潮:ちょっと考えたいな。財前さんは、もしかしたら本当に事故であったという可能性もあって、それはわからないんだよね。
六辻晃弘:白滝と沖浦がグルってのもなくはない気がしてて。鮭沢さんは気が多い男で、白滝さんだって過去に嫌な思いをしているかも。
草城潮:白滝さんは芦川先生のことも恨む理由があるし。
六辻晃弘:でもその件については、そこまでじゃなく、柔らかく話してなかった?
草城潮:まあねー。でもそれは対人的なポーズかもしれないし⋯⋯。わからん。面白い。
六辻晃弘:源ぱあるは、単位を落とされて、芦川先生を恨んでたんだよね。21才で就職が無駄に。
草城潮:そしてぱあるは財前さんに関しては特に恨みはなかった。
六辻晃弘:ぱあるの線は薄そうかなー。
草城潮:財前さんが事故死だとしたら。
六辻晃弘:うん。
草城潮:芦川美則を殺したいと思っていた白滝が、財前さんの死体を発見して連続殺人を思いつき、財前さんの横に和歌を置いといて、芦川さんを殺し、またそこに和歌を置き、そしてついでに鮭沢を殺して、沖浦しじみを犯人に仕立て上げる⋯⋯。
六辻晃弘:もしそうなら財前が死んだときの和歌は、本当に置く必要もないよね。あれは白滝さんが出してきたんだから、これを見つけましたと言うだけで⋯⋯。
草城潮:そうだね。そうだ。置く必要ないんだ。⋯⋯かなり白滝が怪しくなってきたね。痴情のもつれで財前が殺されたように見せかけ、沖浦を殺し、鮭沢も殺す。
六辻晃弘:沖浦しじみが依頼してきたのはなぜだろう、ってのをずっと考えてるんだけど。
草城潮:沖浦は本当に何も知らなくって、和歌拾ったけど警察が信じてくれなくて⋯⋯。
六辻晃弘:本人の言葉通りだったのかな。すると、白滝が一番怪しいのか⋯⋯。
■捜査フェイズ4-1
GM:では第四サイクルです。どちらから行きますか。なお、残りシーン数も少なくなってきてますね。
草城潮:晃弘君、先にお願いしてもいい?
六辻晃弘:いいですよー。
草城潮:では、ロールプレイを何もしないうちに異常な癖を決めておいた方がやりやすそうだと思うのでロールします(ころころ)「証拠品を勝手に持ち歩いている」。あれだな、和歌。
GM:本当は警察に渡すべきという気がしますもんね(笑)。
草城潮:内ポケットからサッと出してヒラヒラと振っています。
六辻晃弘:持ってていいのか? と心の中で思います。
草城潮:手袋填めて触ってるからいいんだよ。「さて、財前の死因そのものは転落死だとしても、事故か事件かはまだわからない。そしてこの和歌だが、本当に財前の横にあったのだろうか。もう一回警察に確認してみたいんだよね」
六辻晃弘:「警察が、和歌を確認しているかを知りたいんですね。じゃあ俺、もう一回姉に連絡してみますよ」と言って、シチュエーション「協力者と共に」で捜査してみます。1D6⋯⋯(ころころ)専門家。
GM:ふさわしい、というかそのものですね。えっと、二回判定が必要と。⋯⋯はい、では、お姉さんに電話をしてみてください。
六辻晃弘:では電話をかけ⋯⋯「あ、もしもし姉さん」
草城潮:かわいい。
GM:「あら晃弘、進展はあったの?」
六辻晃弘:「容疑者は絞れてきたかも。もう少しはっきりさせたいんだよ。財前真木の死んだときの状況について聞きたくて」
GM:「ある程度は教えられるんだけど、警察の内部事情をあまり外に話すのは問題があるのよねー。あなたたちに自分で調べてもらいたいと思って依頼してるんだけど」
草城潮:そうだよねー。
六辻晃弘:ええっと、「ちょっとだけでいいからさ」
GM:(笑)では、社交で判定してみて下さい。
六辻晃弘:持ってます(ころころ)成功ー!
草城潮:(ころころ)あ。
GM:珍しく探偵さんの方が失敗してますね。でも問題なく晃弘君が成功してると。では「仕方ないわねえ。何が知りたいの?」
六辻晃弘:「ありがとう。財前真木の死亡現場について知りたいんだけど、彼女の死体の近くにメッセージが落ちていたって言ってる人がいるんだけど。そういうものってあったのかな?」
GM:「警察の記録には残ってないわねえ」
六辻晃弘:「発見者は誰だったの? 通報した人というか」
GM:それはえーと、警察へ通報したのは病院でした。白滝さんが財前さんを発見したんですけど、彼は救急車を呼んで、それは手遅れだったので病院で死亡が確認されて、変死なので病院から警察に連絡がいった、という流れだそうです。
草城潮:死亡推定時刻には白滝君はアリバイがあったから、それよりも後の時刻になって死体を発見したのかな。
GM:それで正しいです。
草城潮:やっぱり事故なんじゃないかな⋯⋯?
六辻晃弘:そうかもしれない。
GM:で、そこでですね、お姉さんが「あら、ちょっと待って、新しい検死報告書が届いてるわ」と言いだします。
草城潮:おお!?
六辻晃弘:見たい。見たいよ。
GM:ではここで、もう一度判定をしてもらいましょう。お姉さんの持つ技能なので指紋で判定⋯⋯しかしえーと(ルール読んで)、ゲストNPCが協力してくれるなら全員有利、協力してくれないなら全員不利、と。この状況なら協力してくれてるよなあ、というわけで二人とも有利です。
草城潮:わーい(ころころ)成功。
六辻晃弘:(ころころ)成功。
GM:お姉さんは「新しい検死解剖の結果が出たみたい。ちょっと気持ち悪い話だけど大丈夫かしら?」
六辻晃弘:「大丈夫」。SANチェックとか無い世界だから。
GM:「死骸の頭蓋骨が割れていたので、これを見つけるのに時間がかかったみたいだわ」と言いつつ、教えてくれるのがこれです。
⑨脳内出血で、窓から落ちたのもそれが理由
草城潮:ほらー! 事故死だよ!
六辻晃弘:なーるほどねー。
草城潮:やはり、白滝⋯⋯?
GM:というところで、このシチュエーション捜査は終わりですね。お互いに感情をどうぞ。
草城潮:どうしようかなー。お姉さんと電話してたから⋯⋯「姉弟仲いいな」で。
六辻晃弘:なんとなく、探偵が推理してたことがハマってきたので「潮さんてすげえな」で。
草城潮:やっとまともないい感情をもらったよ。
GM:では、探偵さん、アレをやっちゃいますか⋯⋯?
草城潮:え? そういうタイミング?
六辻晃弘:だそうです、潮さん!
草城潮:じゃあやるか!
GM:ではお互いに、感情が一つずつ強い感情になります。
六辻晃弘:ここは「潮さんすげえな」でいいよな。
草城潮:どうしよっかな。「身だしなみ整えたな」にしとこ。
GM:それでいくんだ(笑)。
■フタリソウサシーン
GM:ではフタリソウサシーンです。ここではですね、今得た新情報を元に、ちょっと話し合ってみて下さい。
草城潮:では⋯⋯、「さて晃弘君」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「これで、財前さんは誰かに殺されたわけではない、ということが確定したわけだ」
六辻晃弘:「そうですね、これは事故死ということですよね」
草城潮:「そうだ。となると、その現場に和歌を置くような者がいるはずもない」
六辻晃弘:「ふんふん」
草城潮:「ならば、そこで和歌を見つけたという白滝君が怪しいということになる。やはり彼には殺したい別の相手がいて、この状況を利用してその相手を殺し、財前さんに恨みを持っていた別の誰かに容疑をなすりつけようとしたのじゃないだろうか」
六辻晃弘:「ありそうですね。本人の話しぶりは物柔らかでしたけど⋯⋯」
草城潮:「ねえ。そして彼が殺したかった相手というのは、やはり芦川美則と考えるしかないだろう」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「その前提で、最後の捜査に取りかかろうじゃないか」
GM:はい、それでは、重要キーワードを差し上げましょう。
⑩事故と殺人を連続殺人に見せかけること
六辻晃弘:わー、いいなー。
草城潮:面白いな。というわけで、「彼の狙いは事故と殺人を連続殺人に見せかけることだったわけだ。どうだい?」
六辻晃弘:「そうだと僕も思います」
草城潮:で、最後のシチュエーション捜査になるのかな?
GM:そうです。
草城潮:「行くよ! もう一人が危ない!」
六辻晃弘:「はい!」
■捜査フェイズ4-2
六辻晃弘:「よーし! 犯人をとっ捕まえに行きますか!」
草城潮:なので、「VS容疑者」をしようかな。
GM:あ、それなんですけど、ほら、知ってたカードの最後が、んんんん~と書かれてるでしょう。だから、VSしないほうがいいかと思います。
草城潮:あーなるほど、確かに。じゃあ「現場にて」で行ってみます。そして、まずは異常な癖を発動します(ころころ)また「事件についてわかった様子だが誰にも教えない」。
GM:この人、常に何も教えてくれない(笑)。
草城潮:「よしよし。晃弘君。現場に向かおうか」
六辻晃弘:「現場に何かあるんですか?」
草城潮:「僕に考えがあるんだ。⋯⋯そうだな、目立たない服装で来てくれるかな」
六辻晃弘:「え⋯⋯。じゃあ、学生服じゃなくて私服着てきます」
草城潮:「うん、それでいい」
六辻晃弘:もうすこし教えてくれてもいいんじゃないか⋯⋯、と思いつつ私服で来ます。
草城潮:じゃあ、「現場にて」の1D6(ころころ)「気になるもの」
GM:ほほー。OKOK。じゃあ、そうだなー、とりあえず現場に行って、やりたいことをしているうちに、何かが起こるでしょう。
草城潮:はーい。じゃあ、晃弘君を連れて現場に行って。気になるものか⋯⋯。鮭沢の予定が分かるものはないかな。ホワイトボードに外出って書いてあるみたいなやつ。
GM:なるほど、それなら、予定を誰かに聞くということで⋯⋯。えっと実は、しじみさんと、依頼を受けて以来まったく喋ってないんですよね。
草城潮:ほんとだ。しじみさんと喋ろう!
GM:では、水族館に来ますと、沖浦しじみさんが水槽の世話をしたりしているのを見ました。
草城潮:ちょうどいいところに。「やあしじみさん」
GM:「あ、こんにちは」と。見るとですね、しじみさんのすぐ前にあるのが、話題のタニシが飼われている水槽です。
草城潮:なるほどね。「タニシの調子はどうだい?」
GM:「元気です。可愛いですよね。私たちもこんな風に平和に過ごせたらいいんですけど」
六辻晃弘:切実だ。
草城潮:「本当にそうだね。⋯⋯もしかすると、もう少しで犯人がわかるかもしれないよ」
GM:「そうなんですか?」と言うんですけど、聞きたいような、聞くのが怖いような顔をします。
草城潮:「まだ確定じゃないんだ」と言っておきましょう。そして「今日は、鮭沢君はどこにいるのかな?」
GM:「鮭沢さんですか? 鮭沢さんは、この時期には、野鳥の観察に出ています」
草城潮:「なるほど?」
GM:「池の周りを回って行ったら、会えると思います」
草城潮:池か~。鮭沢君か、あるいはしじみさんか、どう思う?
六辻晃弘:鮭沢さんでいいと思います。
草城潮:だよね。じゃあしじみさんにはありがとうって言って、鮭沢君のいるという方へ行ってみます。
GM:はい。今回はさっきと違って道に迷うような判定はないです。池の周りのじめじめした土手みたいなところを歩いていくと、向こうの方に鮭沢君の姿が見えます。
草城潮:いたいた。「さて、ちょうど鮭沢君が一人でいるようだね」
六辻晃弘:「そう⋯⋯ですね」
草城潮:「もう少しで日も暮れようというところだ」
六辻晃弘:「何する気ですか?」
草城潮:「この辺りから、ちょっと鮭沢君の様子を見ていようじゃないか」
六辻晃弘:「ええっ? はい⋯⋯」
GM:なるほど。そう動く。
草城潮:いいですか?
GM:問題ないです。で、このシーンの判定をしたいところですね。技能は現場、探偵は必ず有利がつきます。
草城潮:(ころころ)成功。
六辻晃弘:(ころころ)ダメでした!
GM:危ない危ない。でも成功ですね。では、どうやら今日の鮭沢君は、いつものフナではなく、水鳥とかの観察をしています。池には渡り鳥が来ているようです。その鳥を、探偵さんは知っていました。最後のキーワードはこれです。
⑪鴫
六辻晃弘:鴫だ。
草城潮:しじみさんが野鳥の観察って言ってたのがこれだね。「うん完璧だ。犯人を誘い出して、罠にかけよう」
六辻晃弘:ええええ!? 怖⋯⋯!?「そんな怖いことするんですか? 大丈夫ですか?」
草城潮:「何がだい?」
GM:(笑)
六辻晃弘:「鮭沢さんが死んだら元も子もないですよ!? 何がじゃないです! 俺は少なくともド素人ですからね!?」
草城潮:「でも君は、海から生還した男だろ?」
六辻晃弘:「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ハイ」
草城潮:「信用してるよ」
六辻晃弘:「⋯⋯⋯⋯⋯⋯スミマセン」
草城潮:スミマセンなのか(笑)。
GM:では、真相フェイズに突入します。
■真相フェイズ
GM:いま、あなたたちは、野鳥を観察している鮭沢を、見つからないように見守っています。で、まず探偵さんは、知ってたカードとキーワードを使って、事件の振り返りをして下さい。
草城潮:では、飛んだり降りたりする鴫を眺めながら晃弘君に語ります。「この事件の真相だが、最初にやってきたのは沖浦しじみさんだ。僕たちは最初は、この依頼人が怪しいんじゃないかと思ったよね」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「しかし彼女は、この事件が連続殺人ではないかと疑って、僕たちのもとを訪れたんだ。なぜなら彼女は、発見した芦川美則さんの死体の側に『見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ』の和歌の短冊を見つけていたからだ。警察はそれを見ても首を傾げるだけで、だから彼女は探偵を頼った」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「しかし警察は、財前真木さんと芦川美則さんの事件の両方で、『関係者のアリバイ』を調べはした。それだけでは決め手にはならなかったけどね。また、財前さんの死体の側にも『寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮れ』の和歌があったと、これは白滝君の証言だ」
六辻晃弘:「それはおそらく、後出しなんですよね」
草城潮:「そう思うよ。さて、死体の側にあったのは『三夕の歌』だった。だから、第三の人死にがあるかもしれないと僕は思ったんだ。さて次に、関係者の人間関係だが」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「白滝資嗣は、教官の芦川美則先生を、『新種かもしれないタニシを交雑させてしまった』という理由で恨んでいた。また沖浦しじみさんは、先輩の財前さんを、『恋人の鮭沢五城を奪われた』という理由で恨んでいた。その鮭沢君は、財前さんを『付き合ってから結構すぐに振っ』た。これは白滝から聞いたんだよね」
六辻晃弘:「そうでしたね」
草城潮:「白滝はそれを知っていたんだ。そして他には、源ぱあるさんも芦川先生を恨んでいた。その理由は、『単位を落第にされて留年し、就職の内定が無駄になった』からだった。しかしここで、衝撃の事実がわかったんだ。財前さんの死因だね」
六辻晃弘:「はい、頭から落ちたので発見が遅れたけど、財前さんの死因は『脳内出血で、窓から落ちたのもそれが理由』でしたね」
草城潮:「そうだ。彼女は事故死だったんだ。犯人は、『事故と殺人を連続殺人に見せかけること』を狙っていたんだよ」
六辻晃弘:「はい」
草城潮:「見たまえ、あそこにいるのは『鴫』だ。犯人を誘い出して、罠にかけてやろうじゃないか」
六辻晃弘:「恐ろしすぎる。通報しましょうよ⋯⋯」。本当に通報したい。見てないで(笑)。
GM:はい、ではお二人がそう話していると。
草城潮:うわ来た。
GM:足を忍ばせて鮭沢さんに忍び寄る、フードをかぶった姿があります。さあ、それはずばり誰ですか!?
草城潮:いいよね? いくよ?
六辻晃弘:うん。
草城潮:白滝資嗣!!!
GM:⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい! 正解です!
草城潮:よかったー!
GM:では、ですね、通常なら真相フェイズでは犯人を当てればよく、その後の判定とかはないんですけど、この状況なので、犯人を止めるために判定が必要だということにしたいと思います。判定に失敗したら、間に合わずに鮭沢君は刺されてしまうと。
草城潮:マジかよ!?
六辻晃弘:そりゃそうだよな(笑)。
GM:しかし、そう言えば、晃弘君はまだやってないことが一つありますよね。
六辻晃弘:えっと?
草城潮:告白だよ。
六辻晃弘:なるほど! じゃあ、今していいのかな?
GM:どうぞー。
六辻晃弘:「見てて下さい潮さん! 俺が行きます!」って言って、晃弘は潮に認められたいと思っているので、一目散に飛び出します。
草城潮:待って? もうちょっとちゃんと告白して?
六辻晃弘:言わないといけないと(笑)。
草城潮:そうそう。肝心なところを言葉にしないと伝わらないんだ。
六辻晃弘:じゃあ、「潮さん見てて下さい! 俺、ちゃんと役に立ってみせますから!」。⋯⋯どう?
草城潮:いいんじゃなーい。「君は役に立ってると思うんだけど、どうしてそんなことを言い出すんだい?」
六辻晃弘:認められてると思ってないんで。「俺は潮さんに認められるような助手になってみせます!」
草城潮:「そうか。行け! 晃弘君!」
GM:そして飛び出していった晃弘君は判定をするんですけど、その判定はなんと全部6が出て自動成功します。
六辻晃弘:やったぜ。
GM:あと余裕も1D10増えるらしいです。これは探偵さんが振る。
草城潮:「ふむ、そんな風に思っていたんだね」(ころころ)2かー。
GM:それでも非常に余裕のある状態になっていますね。では、晃弘君は忍び寄る人物へとタックルします。フードが後ろにずれ、それは間違いなく白滝資嗣でした。その手からナイフが弾き飛ばされ、池の中へポチャンと落ちる。鮭沢は驚いたように振り返ります。そして白滝のポケットからは、はらりと三つめの短冊が落ちるでしょう。
草城潮:おおー。
六辻晃弘:「通報して下さい!」と叫んでますよ。
草城潮:「成長したなあ、晃弘君」と声をかけてから、顔を上げて、「鮭沢君、無事かね?」
GM:「え? これは⋯⋯? いったい⋯⋯?」と言う鮭沢君は、ぜんぜん状況が分かっていないですね。
草城潮:「間一髪だったね」と言うんだけど、説明は特にしません(笑)。
GM:一方白滝の方は、すべてが終わったと悟ったのでしょう。「あれは絶対に新種だった! 俺の名前が付くはずだったんだ! 俺の名前が⋯⋯!!!」と叫びます。
草城潮:そうだよね~。うああ⋯⋯かわいそう⋯⋯。
六辻晃弘:気持ち分かってる(笑)。
■終了フェイズ
草城潮:やっと警察に通報して、白滝は引き渡します。
GM:はい。こうして、めでたく事件は解決されました。
六辻晃弘:よっしゃー!
草城潮:わーい。
GM:ではサラサラと終了フェイズもやっていきます。
草城潮:はーい。楽しかったー。
六辻晃弘:盛り上がったね。
GM:たまり場で、事件を振り返って何か会話したりすればいいかと。
草城潮:「いやあ、お姉さんが素早くかけつけて逮捕してくれたね」
六辻晃弘:「姉さん色々情報くれたし、助かったな⋯⋯」
草城潮:「検死解剖が決め手になったね。しかし白滝君もかわいそうに。新種のタニシか⋯⋯」
六辻晃弘:「そんなに悔しいものなんですね。大学って怖いな⋯⋯」
草城潮:ときどき大学怖がるの面白い(笑)。「さて、晃弘君。事件解決を祝って紅茶を淹れてくれないか。メイドがスコーンを焼いてくれるはずだ」
六辻晃弘:「はい!」って言って、茶葉の淹れ方もメイドさんに聞いたんで淹れてみます。ちょっと濃い。
草城潮:渋い顔をして飲みます。「スコーンに合わせるには悪くないかもしれないが⋯⋯」
六辻晃弘:ショボン。
GM:さて、今回の事件に関る思い出深い品が、何かたまり場に付け加えられます。何がいいですか。
草城潮:フナとタニシの水槽。
六辻晃弘:いいかも。
GM:ではフナとタニシの水槽が設置されました。
草城潮:ポコポコしてます。
六辻晃弘:「餌やりは俺っすかね」
GM:あと、今回の登場人物から一人を、お助けキャラであるゲストにできます。
六辻晃弘:おおー鮭沢かな。
草城潮:鮭沢いいよね。
六辻晃弘:でも源ぱあるも名前のインパクト強いんだよな。
草城潮:それはそう(笑)。
六辻晃弘:依頼人もいいかも。
草城潮:確かに。事件に気付く目をもってたしね。しじみさんにしよっか。
六辻晃弘:いいと思う。
■エンドロールと感想戦
GM:終了フェイズの手続きもすべて終わりました。で、画面にエンドロールが流れていきます。
草城潮:エンドロール?
GM:エンディングが流れていって、画面に和歌が出てきます。
みなそこの
たにしのいのち
ながながし
ちかきにわして
とおきをのぞむ
草城潮:おおー。
六辻晃弘:いいなー。
GM:漢字だとこう。
水底の田螺のいのち永々し 近きに和して遠きを希む
六辻晃弘:へえー好きかも。
GM:で、これを見て何かに気付いて下さい。
草城潮:えっと?
六辻晃弘:んん? 隠された意味とか?
草城潮:和歌って難しい。
GM:そんなに難しくないはず~♪ 心の眼で見て下さい。
草城潮:えー、命が長くて⋯⋯?
六辻晃弘:近い者と仲良くし⋯⋯?
草城潮:心の眼で⋯⋯?
GM:言っちゃってもいいんだけどー。
草城潮:ええええ、もったいない。もっと考える。
六辻晃弘:⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
草城潮:水底⋯⋯? タニシ⋯⋯? 心の眼⋯⋯? ううーわかりたい。
六辻晃弘:⋯⋯⋯⋯⋯⋯プフッ。わかった。
草城潮:え? わかった? 何?
六辻晃弘:プレイヤーの名前が入ってますね。
草城潮:え? どこ⋯⋯⋯⋯⋯⋯。あっ! そういう!
(※:プレイヤーが近々さんと永田和希さんなので、その漢字が和歌に入ってます。)
六辻晃弘:綺麗ー、すげー。
草城潮:ええ~~~。素敵だこれ。二人分入ってるし。
* * *
草城潮:すごく面白かったー。
GM:いやあ、もしかしてこれ普通に推理小説一つ書く労力がいるんじゃないかと思いながらシナリオ書いてました。
草城潮:そうですよね(笑)。
六辻晃弘:このシナリオ、今回のために作ったんですよね?
GM:そうです。どハマりして二ヶ月ほどかかりました。なんかこう、パズル作っていくみたいな。
六辻晃弘:各登場人物のアリバイとか動機とか繊細に作らないとですね。
草城潮:気軽なゲームじゃないなこれ。
GM:まあ、シナリオをアクションに寄せて、バディの刑事がマシンガン撃ちながら犯人を追っていく、みたいにもできるとは思うんですけど、今回はお二人のことだから推理するだろうなと思いまして、こういうシナリオに。
草城潮:考えるの楽しかったですー。
六辻晃弘:難しかったけど、ちゃんと辿り着けたし。
GM:事故と事件を連続殺人に見せかける、という真相に教える前に辿り着かれたので、密かにおおーと思ってました。
六辻晃弘:知ってたカードがあったからだとは思いますが。
GM:あと、白滝が出してきた和歌の短冊は本当は現場に落ちていなくてもよかったのだ、ってのに気付かれたのも嬉しかったです。
六辻晃弘:これは二ヶ月かかるわ。
GM:⋯⋯いやそれにしてもよかった。上手く回るのか、実はこちらもかなりドキドキしてやってました。
* * *
GM:あとね、このゲームのマスター、他のゲームに比べて、ミスったらどうしようのプレッシャーがすごい。
草城潮:そうですよね(笑)
GM:他のゲームなら、あ、ごめん、違った、で済む所が、このゲームで例えば間違ったコピーペーストとかしたら即死しかねないんですよね。
六辻晃弘:確かにー。
草城潮:そういうときは見なかったことにするんで大丈夫です(笑)
* * *
草城潮:最後の和歌、セッション用に作ったんですか?
GM:実はそうじゃなくてね。何ヶ月か前のツイッターで、フォロワーさんの名前を和歌に読み込むっていう話題があったでしょう。
草城潮:そうそう、ありました。
GM:あれの三日後くらいにこの和歌ができたんだけど、そのときにはその話題がとっくに終わってて、出すタイミングを見失ったんですよ。で、今回フタリソウサやろうぜってなったときに、せっかくだから新本格っぽいミステリにしたいなと思って。ほら、童謡に合わせて連続殺人みたいなのがやりたくてね。そのときに、そう言えば和歌作ったな、じゃあ和歌で、となって今回のシナリオができました。
* * *
草城潮:謎解きしてないけど謎解き気分が楽しめる、みたいなゲームかと思ってたけど、本当に推理するの楽しかったー。
六辻晃弘:知ってたカードのシステム面白い。本当に探偵主導で動くようにうまくルールができてるし、知ってたカードっていうネーミングもいいよね。
草城潮:謎解きが得意じゃない人も遊びやすいし。
GM:ルールブックにですね、プレイヤーがどれくらい謎解きが好きかを見極めて、謎解き具合を加減してシナリオを作るといいよと書いてあって、完全に正しいアドバイスなんだけど、すっごいハードル高い要求してくるよなって思いました(笑)。
草城潮:投げっぱなしですね(笑)。
六辻晃弘:割と最近の、遊びやすい系のシステムなのに、そこだけ難易度が突出して高い(笑)。
『水底の夢』了
ところで今回のシナリオですが、これをGMしてみたいという人は、
このリプレイから必要データをコピーすれば遊べるので、
自由に遊んで下さい。
ごちゃごちゃ言わずにシナリオとして発表しろ、という人は、
https://twitter.com/o_ri_i/status/1536222363410264064
を引用リツイートしてそう言って下さい。