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オンラインパブリックビューイングの配信技術

8月28日に実施した、東京パラリンピック2020のオンラインパブリックビューイングの配信技術について、余すことなく情報をシェアしたいと思います。オンラインパブリックビューイングの企画について、Zoomの選択や告知については前回の記事をご覧ください。

配信環境について

今回は、映像コンテンツを配信するシーンが想定された。Zoomを用いたオンラインセミナー(ミーティング)で、必要となる帯域については未だにこれと言った条件を見いだせてはいない。Zoomヘルプセンターには、システム要件と合わせて帯域要件も公開されてはいる。

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この表は、私がまとめたものだが、逆にこれ以上の情報はない。個人的には上り5Mを目安としているが、それは通常のセミナーの場合で動画を扱う場合はまた異なってくるだろう。また、Zoomで動画を流す際の流し方にもよるだろう。ビデオキャプチャーデバイスやハードウェアスイッチャーなどで映像入力を直接入力して配信する場合は、Zoomでは画質が640×360まで下がる。画面共有や第2カメラのコンテンツ割り当て、HDビデオの設定により改善するが、フレームレートが落ちるなどの問題もある。この辺は、リハーサルで配信動画の確認をしてどの方法で映像を配信するかを決める必要がある。

今回は、一番回線速度が出た施設(病院宿舎、個人契約回線)で上り50Mは安定して出ていることを確認し、映像・音声にクセ(後述)はあったものの通常のHDMI入力で配信に耐えたため特に画面共有など行わずに配信した。

配線図

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おまたせしました。こちらが配線図になっております。これまでで最も複雑なシステムになっております。約1ヶ月前の空手競技のオンラインパブリックビューイングの配線と大きく違うのは、今回はそこそこサポーターを集めるのでオペレーションの安定性を重視し、リハーサル中に判明した映像・音声の不具合に対処するためにこのように複雑となった。ちなみに、1ヶ月前の記事はこちらです。

映像デバイスからの映像・音問題

今回の配線図が複雑となったのは、映像デバイス(以下PS4)からの映像及び音の問題。空手のオンラインパブリックビューイングの時にも書いたが、オンラインパブリックビューイングは、現地(自宅)でも競技を視聴しなければならないため、オフライン参加者1名のハイブリッドセミナーの形を取る必要がある。まぁ、V-8HDがあれば自宅プロジェクターへの映像出力も余裕なのだが、今回何故か、PS4からのHDMI映像に音声がついてきていなかった。なんでだろう・・・V-8HDの設定か?でも前回と変えてないけどな〜〜。

その対応策として、(自分でもよく思いついたもんだ・・・天才かも?)HDMIスプリッターをかませて、Feelworldのサブディスプレイに映像を出すことにした。Feelworldのディスプレイには音がついてきていたので、そこのステレオミニジャックからオーディオミキサーのNotepad-8FXに音を集めることとした。結果として、PS4からの音量もオーディオミキサーで調整することができたのでこれは結果オーライ。まさか、サブディスプレイをHDMIの映像と音の分離機として使うことになるとは・・・。ちなみに、FeelworldのディスプレイのHDMI outからV-8HDへの映像出力はできなかったので、図に示したようにプロジェクターにはV-8HDからのOUTを映すこととした。

NEW マイク

今回、マイクを新調しました。基本的にはいつものRODE WIRELESS GO II(もう何回も紹介しているのであえてリンクは示しませんよ)なんですが、その先のガジェット。

セミナーでマイクを用意するときに気にしなければいけないのは、マイクの性能もそうだが演者のマイクの使い方だ。両手をフリーにするためには、ピンマイク・ラベリアマイクがよく使われるが、実はこのピンマイクも扱い注意なんです。演者がピンマイクをどこにつけるか。場所によっては布ズレ音や、マイクの指向性によっては音が出なかったり、わざわざピンマイクを持って話す人もいて、丁寧にそれを口元に持っていって話す演者もいる。マイクと口元の関係を一定にする方法は・・・ということでポチッた商品がこちら。

(すでに売り切れ・・・すみません、F先生)イヤーフックマイクは、このコロナ禍で使い回すのはどうなんだろうという悩みがあったのだが、今回は自分が使うだけなので良しとした。似たような商品でRODEのマイクもあって、田口さんも使ってるんですけど高いんですよね〜〜。

↑流石にこれは高い。もうちょっとでRODE WIRELESS GO がもう1セット買えてしまう。

いずれにせよ、FREEBOSSのイヤーフックマイクは値段の割に非常に満足している。包装がちゃちくて不安でしたが(苦笑)。

安定の、RODEマイクもL/RでMIC1とMIC2別々でミキサーに入力できて音の調整もできる。今回は本当にすべての音をミキサーに集めたし、モニタリング端子から音のモニタリングもできる。一見、V-8HDという上位ハードウェアスイッチャーと、Notepad-8FXというオーディオミキサーを使うという大掛かりなシステムになったが、ここまでしないと配信の安定性は担保できない。特に今回はLiveなので、PS4からの映像・音声が事前に確認できないという不確定要素があった。どんな状況にも即座に対応するためには、それなりのセーフティーネットは必要なんです。

最近、安価なハードウェアスイッチャーを使って似たようなことを、もっとこの技術が普及するようにと「すごいこと」より「みんなができること」を意識させられているが、結局そこの不安が最後まで残る。安価か確実か。。。どっちを取るかですね。

バーチャル背景を使おう!

今回、こちらの方でバーチャル背景の画像を用意した。

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オレンジ系は、麻耶のイメージカラー(?次女いわく)であり、ラブラドールレトリバーは、今回神戸新聞の取材で一躍有名になった「サラ」ちゃんです。

さすが、神戸新聞の密着取材。所属が阪急交通で伊丹市在住で名誉市民(わずか1年で?)なので完全に関西の人だよなぁ〜〜...。サラちゃんは本人のインスタやTwitterに度々登場するので、もしよければチェックしてみてください。

この画像は、Fbイベントページでは予めシェア。バーチャル背景の設定の仕方の説明までつけるという親切っぷり。当日も、何度かチャットでこの画像の配布を行った。このへんのオペレーションは古里さんの30時間耐久&47都道府県Zoomチャレンジでのオペレーションを参考にした。

Zoom配信スペシャリストのFleetは、これまで何度も発信される情報にはお世話になっており、今回子のイベントを通して古里さんともつながれて”大分”の中西を売ることができた(?カナ?)のはすごく感激している。早速、Zoom47チャレンジのオペレーションやバーチャル背景の企画は今回のパブリックビューイングでもパクりました。

自分がバーチャル背景を使えないことが判明した

バーチャル背景をそろえて、ギャラリービューでのスクショが非常に映えるのはわかっていたので参加者に協力してもらうこととした。

配信の前日、万全の準備をした後(前夜に別の配信練習会があったのでそのかいが終わった後に配線を組み直すこととなった)で気がついた。

Zoomのバーチャル背景を自分が使えない!!!

そう、Zoomのバーチャル背景はあくまでカメラに人の顔が写っていて(しかも一人限定)、それを認識して自動で背景を抜いて画像が合成されるというZoomの技術。スイッチャーで合成された映像を使う場合は、そこの認識ができなくなる。というか、自分のアカウントで配信するのは自分の顔だけでなくPinPなどを使った合成映像じゃん!!!

つまり、背景との合成を自力でやる必要が出てきた。え!?グリーンバックいるじゃん(滝汗)ということで、急遽グリーンバックの環境を移設する必要が出てきた。

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↑こんな感じになりました いや〜、こんなところでアドリブを求められるとは思わなかった。まぁ、背景の合成も自分でやったほうが細かく調整できるので便利なんですけどね。

初の2台PCをワンオペレーション

お気づきだろうか、、、実は「ZoomサブPC」が追加されているということを!!

そう、今回初のパソコン2台をワンオペで操作しながらの配信となりました。これもきっかけは、古里さんのZoomチャレンジ。その30時間の配信で、1アカウントの画面で会社のロゴとかを表示する情報板役の画面が1つあった。

このアイディアは、実は7月のセミナーのときでもあった。1つのアカウントでポスターを表示しておく(プログラムがわかりやすいように)。

これを今回、やることにしました。と言っても、カメラを表示するわけではなくパワポスライドを表示するので、ビデオキャプチャーボードが必要になる。PCからのHDMI出力をキャプチャーボードに入力して、そのキャプチャーボードをZoomビデオで設定する。それでできた画面がこちら(特別にギャラリービューで撮影しています)

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この右上の画面がキモ!!!フォントを大きくする必要があったので、プログラムの全容ではなく、今なんの時間なのかとみなさんが目的とするメインはいつかがわかるようにした。表示内容はその都度スライドをリアルタイムで修正した。チーム配信で役割を振れば、この手法は使えるなと思った。

配信の実際

実際、こんな感じになりました。

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配信機材たち。メインPCとの距離ができるため、Magic KeyboardとMagic Track Padを手元においています。覗き込まないでいいように、V-8HDのMulti viewはサブディスプレイでモニタリングするのも必須!

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第2PCと、V-8の操作モニタリングのためのV-8remote用iPad端末。

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・・・果たして自分は、どの画面を見ていたのでしょうか???スクリーンを観ていなかったような気がする。。。

オンラインパブリックビューイングをやってみて

今回、オンラインパブリックビューイングを企画してみて多くの方と再会できました。親戚なんか、前回連絡撮ったのが5年前のリオだったり(最後のメッセージが「リオ行くの?」だった)、そう言えば次女の方の妹とも2年ぶり(つまり第3子とは初?)だったり、母方の祖母なんていつぶりだ!?ってくらい会えていなかった。

当日、長年音信不通(?)だった後輩とも再会できた。彼は、大分大学経済学部伝説の卒業生で、学生団体BTG大分設立のきっかけをくれた人でもあり、東京のアントレに無理やり送り込んだことで人生が大きく変わり、それが社会を変えるきっかけになったという、大分大学の星(と自分は勝手に呼んでいる。後輩たちは、知るべき!!)

いつもは現地に行って応援しているのに、今回は自国開催であるにも関わらず行けない・・・。いつも通訳ボランティアや競技支援をしている知り合いも今回は関わることができなかった(ワクチン打ってないから?そこ、打ってやれよ!!)らしく、本当に人材の無駄使いを平気でする国だなぁとあらためて思った。

そういう人たちと一緒に、この緊急事態宣言下でもオンラインで集まってパラリンピック競技を観戦できたのは、すごく貴重な経験だった。

今回の配信は、これまでの経験全てが盛り込まれ、それぞれの項目を正当進化させたオペレーションとなった。「これがやりたい」「これもできるかも」と言った知識欲(?)が刺激されるのは実現していてものすごくやり甲斐がある。最近特に忖度配信が多かったので・・・(苦笑)。どうしても、”ちゃんと”やるとここまでになる。そりゃあ、専門家は何百万クラスの機材で複数の専門家でやることなんだけど、それも納得。

今回は親戚や友人含めこれまで配信で関わることのなかった層まで和を広げた。中には普段Zoomを使う機会がない人たちもいて、でも流石に”Zoom”の名前くらいは聞いたことがある人たちで、実際使ってみてこんな事ができるのを感じていただけたと思う。初Zoomが今回の配信となると、いきなり見せすぎた感はあるがそれも慣れ。自分もまだ1年とちょっとしかやってないし、むしろZoomホストを真面目(?)にしだしたのって今年の2月頃だと思う(「共同ホストやってみない?」とタスクが降ってきた)。まだ半年かぁ〜〜(汗)。早速、飲み会でもZoomやってみようとか、会えない分Zoomでやってみようという声を聞く。すごくうれしいです。

今回の企画は、内容からして実はあまり表には出せない(参加してくれたメディアの方には申しわけない)こともあるので、プレスも打たなかったし完全に直のつながりメインでのイベント開催となった。ただ、すごく現在の社会背景を踏まえた取り組みだと思うし、唯一も心残りは『やっぱり現地に行きたかった』ということ。それぐらいの兄妹の晴れ舞台だし、自国開催の熱意はこれまでの5年間でひしひしと感じていた。それは多くのアスリートからも感じる。すごく残念だが、さまざまな制約の中でできる最良の方法を取ることはできたかなと自負している。

いつも言うことだが、これを機会にしてオンラインの良さと可能性を感じてほしいし、まだまだこれからの業界なのでぜひそれぞれのアイディアを実現していってほしい。ハイブリッド化すると、本当に多くの格差がなくなる。格差を言い訳にできない、より当人の自己投資に左右され、下手したら二極化がすごく進む(できる人はどんどんできるようになるけど・・・)気もしているが、仕方ないのかなとも思う。そんな社会なんだろう、きっと。

前々回の記事でも書いたが、これで当分予定されている大きな配信は終わった。次は何をやろうか。。。やってて楽しいことをしたいですね。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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