自家運営のハイブリッド学会-第18回麻酔科学サマーセミナー企画編-
去年に引き続き、麻酔科学サマーセミナーの第18回のハイブリッド配信を担当してきました。(一応)沖縄現地に出向いたということで、2週間の健康観察を終えて関係者に問題なかったということでようやく胸を張って(?)その記事をかけます。
昨年の配信を振り返る
第17回麻酔科学サマーセミナーの配線図
昨年、第17回麻酔科学サマーセミナーの配線図はこちらです。
というか、前回のサマーセミナーの記事がこちらです。
昨年のまとめ
ざっとまとめると。
なぜか自分のV-8HDを使った
配信システムのほとんどが大分県麻酔科学アカデミー式
大きな学会クラスになると音はすべてPAに渡してミキシングしたあとにもらう
とっさにLoopbackを組めた
ライブ配信オペレーションシートの初運用
質疑応答でSPLIT画面を組んで感極まる
Zoom×V-8HDということで、Zoom PCから返しHDMIをもらって、現地とZoomのやり取りをする「SPLIT view」。ピン当てとスポットライトの違いがまだその時はまだわかっていなかったので、安定してSPLITが出せるようになったのは昨年のサマーセミナー後の反省配信以降だったが、そこから考えるとこの1年でいろいろな技術を試して自分なりのやり方でハイブリッドセミナーの質を高めって言ったなぁと振り返った。
いつものアカデミーと違い、前回のような大きなホールでのオペレーションでは、Zoom音声のハウリングだけでなく、そもそも現地で使うマイクと開場スピーカーのハウリングも問題になり、そのへんはPAさんがうまくやってるので、ZoomやプレゼンPC(動画に音声がある場合)も含めて一旦開場のPAに渡し、調整した音をもらって配信にのせる方法が一番安心安全で確実だということがわかった。
さらに、その前の日本麻酔集中治療テクノロジー学会と合わせて、会場スタッフとは顔なじみであり、今後とも今回と同じシステムでやればできるなと2度の経験で確信した。
今年の配信構想
配信機材は配信スタッフの持ち込みで!
さて、そんなこんなで今年のサマーセミナーにも、代表世話人から直々に依頼があった。依頼があった時点で、すでにV-160HDを手に入れており、音問題に関しては現地PAとコミュニケーションがとれるので、企画は概ね勝ち確だった。
ただ一点、今年は機材も含めてこちらのスタッフで準備する必要があることだった。昨年は、昨年の会の代表世話人が非常に多くの配信機器をお持ちで、配信者に有名なSONY ZV-1や複数のサブモニター、さらに長距離伝送に向く光HDMIケーブル(光ファイバーなので断線するというトラブルもあったが)も複数持っていたが、それらも含めてすべてこちら側で準備しなければならない。
配信系を名乗っているとはいえ、麻酔科医2名でまかなえるものなのか・・・。
ということで、学会で用意するPCも含めて必要機材を厳選してこちらで準備する必要があった。
案1)HDMIバージョン
さて、そんなこんなで基本的に昨年のものに準拠し、カメラやPC、各種モニターを自分たちで持ってる分でまかなおうとして建てられた案がこちら。
演者や座長席への返しモニター(配信確認画面)がない。入力画面の確認のために設置していたサブモニターは、V-160HDのマルチビューを14インチサブディスプレイに出して確認することにした。
ところが結局この案は、予備も含めた長距離HDMIケーブルを1本も持っていないということで却下となる。レンタルという案もあったが、結局長距離HDMIは光ケーブルとなって堅牢性にかける。昨年、よっぽど2日目の朝に映像が来ていなくて代わりのケーブルを開場でお借りして乗り切ったのがトラウマになっている。もともと持っていないケーブルの、バックアップも含めるとちょっと現実的でなかった。
というか、この配線図だと、V-160HDである必要はなく、V-8HDでもできるわけだ。音はオペレーションしないんだし。。。
『俺、V-160HDで持ってんだぜ(ドヤ)』でマウントを取るのが目的ではない。
案2)SDIバージョン
別に、V-160HDに華を持たせたり、無理やり正当化させるためにSDIケーブルを持ってきたわけではない。
実際、この頃はSDIケーブル+SDI-HDMIコンバーターを1セット所有していた。
アカデミーの普段使い(アカデミー=普段??)で、スイッチャーとプロジェクターとの距離がいつも問題になっていた。
なので、ついにSDIの導入実績はあった(というかそのリハのつもりで周術期セミナーは運営した)
安心安定の機材選定ということで、V-160HDがV-160HDがたる所以・・・。SDI-HDMIコンバーターも、なんとか3台は確保できた(そんなの持ってる麻酔科医ってどうなん?)。SDIケーブルは、20mモノを大分から沖縄に持ち運ばないといけない煩わしさはあったが、これも経験。残り2本は会場にないか問い合わせ。
ところが、なんと持っていないという。昨年の配信で、『あとは、長いHDMIケーブルじゃなくてSDIケーブルとかにすると安心できますけどね』ってアドバイスを頂いたのに、持ってないんかい!!
ここは申し訳ないが、レンタルでなんとか確保していただいた。
オペレーション-進行-を考える
それぞれの企画別配信画面構成
そもそも、セミナーの内容ごとにどういう画面構成の配信にしたいかを決めてから配線図組むべきだが・・・。
基本的には昨年のものを踏襲。入力は演者カメラ、演者PC、座長カメラ、会場カメラ、ビデオ再生用PC。機材の都合で、座長カメラと会場カメラは兼用。質疑応答のシーンで必要なSPLITは演者+(座長or会場)だからだ。
自分の中でテッパンになっている、学会の配信画面。
今回もこのコロナ禍。それに加えて時期的に台風で沖縄に行けない問題もそうていされ、登壇者が現地だろうがオンラインだろうが支障のないように計画をたてる。まぁここはハイブリッドが得意なところです。
さらに、ビデオ再生によるプロモーションもあるので。。。そこが今の所一番苦手です(汗)。なのでそこはワンオペにせず、再生PCも分けてやることにした。
ウリにしたい「プログラム表示」
さらに、この前の周術期セミナーで実装した「プログラム表示」をさらに進化させる。講演開始前に演題を出すのは、前回の演者紹介3画面構成でできたのだが、途中でアクセスしてくる人はその画面を見れない。
常に、プログラム(進行)が分かるようにしたいということで、取り入れた手法がこれ。
これは、プログラム表示用の別端末でZoomにログインし、HDMI出力をキャプチャーボードを介して同じPCにかえしてWebカメラとして扱うという、実は自分がよく好きで使っているいつもの手法です。
さて、これをどうしてもやりたくて・・・。最初は、ビデオ再生用PCと兼用しようと思っていたのだが、どうも不安が残るのでそこは別端末にすることにした。
なぜか、家にあるはずのMacbook Airが見当たらず、見つかったのはその先代機であるMacbook Pro 2016年モデル。
・・・沖縄まで、Macbook Proを2台持っていくことになってしまった(泣)
大きな転機となった「日本麻酔科学会第69回学術集会」
2022年6月にハイブリッド形式で開催された麻酔科学会。この配信が、自分(たち)の中で多いな話題となった。
会場後方からのワンカメ体制で、その都度ズームして演者や座長、会場を映すという方式だった。同じカメラでスライドまでもズームして映すというのだけは自分はどうしても許せなかった。そもそも自分の配信機材のこだわりは「オンラインにもきれいな演者のスライドを届けたい」と思ったところから、とある人からビデオキャプチャーボードを紹介してもらったことがすべてのはじまりだった。
学会のものは、おそらく4Kカメラを使っていたようだが、画質のいいカメラを使えばそういうカメラ体制でも良いのではないか?という議論が生まれた。
・・・だったら、、、。ワンカメでいくならV-160HDである必要はなく、V-8HDすら不要で、ATEM Miniでもいい。。。いや、むしろキャプチャーボードが1個あればいいじゃんという話にもなった。
というか、”自分”必要ですか・・・?
「バトルオンセミナー」が最大の鬼門(と想定)
通常の講演に加え、サマーセミナー独特の企画であるバトルオンセミナーがあった。医療系学会経験者であれば、Pros & Consセッションがラフな感じになったやつといえば伝わるでしょうか?
最初は2−3題の講演の後にディスカッション形式で進行するらしいが、かなり自由に演者がステージ上を動き回るらしい。
演者カメラが使えないので、ここは会場カメラを流用するしかない。
セミ・日麻形式とでもいうか
会場・座長カメラを会場後方に配置し。。。
さらに、スムーズな会の進行上、「演者PC」と「次演者PC」の2台体制にする必要が出てきた。
最終配線図案
ということで、白羽の矢が立ったのがMARS 400S Pro
HDMI出力さえあれば手術室生体モニターにも使えるスグレモノ。
これで、会場後方に配置したカメラを無線で飛ばしてスイッチングしよう!
とまぁ、そんな感じでオペレーションシートも完成。
演者PCが2本のPCで切り替えなければいけないのでpreset memoryが大変なことになって、どううまく切り替えるかがV-160HDをの機能とのすり合わせだった。
とまぁ、このような感じで計画を立てたのだが・・・。
この頃はまだ、”このような”経験をすることになるなんて夢にも思っていなかった。。。
当日編(仮称)へ続く、、、