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【みちしるべ#9】村上巧さん~オリエンテーリングへの関わり方は人それぞれでいい!(後編)

今日も元気にエントリー!週末はどこかでオリエンテーリング!
みちしるべ第9回のゲストは、エントリー王、村上巧さんです。

第111回上尾OLC大会inごんげんどう @埼玉県幸手市 申込初日

本日、JOYにて、受付開始イベントのページを見に行ったところ、申し込みは2名。前編にて、村上さんが一目置くエントリーライバルとして名が挙がった、宮本さんとの対戦の様子を拝見できました。

そんなエントリーライバルのお話を含んだ、前編はこちらから!

後編では、エントリー王のモチベーション、エントリー王をエントリー王たらしめるオリエンテーリングの魅力、エントリー王であり続ける秘訣などをお聞きしています。また、事前に集まった質問にも答えていただきました。

ぜひご覧ください!


村上巧(むらかみたくみ)さん
横浜OLクラブ・つばめ会所属。東京工業大学2004年度入学。
オリエンテーリング界にて、”エントリー王”の名を馳せる。
岩手県陸前高田市出身。東工大OLTにてオリエンテーリングを始め、2年次からインカレミドルでは決勝に出場。2010年に大学院を卒業後、7年ほどオリエンテーリングには参加せず。製薬関連の仕事に従事しており、3回転職経験あり。2017年末頃からオリエンテーリングを再開、2019年より横浜OLクラブに所属し、2022年にはエントリー回数にて日本一に。スプリント日本ランキング24位。(RoadTo全日本2023 2023/09/12現在)

エントリー王の今と昔

学生時代はエントリー王ではなかった!

 学生の頃は今のような高頻度では参加していませんでした。学生なのでお金がないのもあり、あまり遠征はしておらず、東工大が開く練習会、インカレ、東大OLK大会や筑波大大会など、メジャーな大会がメインでした。遠征は、集団でなら行くことはありましたが、一人で気になった大会に参加するというのはほぼありませんでした。。

 また、当時はJOY(Japan-O-entrY)がありませんでした。orienteering.com を見に行って、締め切りギリギリに申し込んでいました。

 僕がオリエンテーリングを再開した頃に、JOYという申し込みサイトができていることを知って、気がついたら今みたいになっていました。

ー大会運営等の競技以外の面はどうでしたか?

 運営は、正直あまり好きではなかったかなと思います。
 ただ、やっぱり大人になって、地域クラブに入っているので、いつも皆さんに大会開いてもらっている恩返しの意味で、自分も大会運営にも参加しなきゃならないなという気持ちはありますね。
  でも、どちらかというと、競技をしたい派です。


ーエピソードを募集したときに、1月の横浜OLクラブ大会では、スタート役員としての村上さんの姿に二度見する参加者が多かったという話がありました。

 走りたかったですよ。私も。
 なんとかならないかなってちょっと思いました。でも、さすがに良くないなと思って(笑)

ーそんなオリエンテーリングにぞっこんなエントリー王の、現在の競技的な目標はありますか?

 今、スプリントを頑張っているので、スプリントでライバルだと思っている人達に勝ちたいですね。KOLC出身の吉澤選手、千葉大出身の笠井選手や、出身高校が同じで、新潟大の澤野選手など。なかなか勝てないのですが…。年齢は皆バラバラですが、Lap Centerで結果が近いところにあるのをみて、ライバルだと思っています。
 人生をかけてこの人に最終的になりたいなみたいなものは今のところはないですね。

ーオリエンテーリングに行くモチベーションとしては、競技としてなのか、娯楽としてなのか、そのあたりはいかがですか。

 スプリントに関しては、競技として頑張りたいと思っていて、トレーニングや目標設定を行っています。フォレストの方は、楽しみたい気持ちが大きいと思います。ただ、ある程度早くないと、ライバルと競えないですし、競えないと、自分としては楽しくないなと感じてしまうので、トレーニングを頑張りますし、レース中もそれなりに頑張って走っています。

ースプリントを頑張ろうと思ったきっかけはありますか。

 最近だと、来年の全日本スプリントが、自宅から近い駒沢オリンピック公園で開催されるので、それに出場したいという思いがあります。また、日本ランキングを見たときに、スプリントの方がフォレストの順位より高いですよね。だから、その辺りがモチベーションになっているところはあります。

ー学生の頃から、スプリントが好きだったんですか?

 学生の頃はそもそも、スプリント競技はあまりありませんでした。パークOがたまに開催されるかなという感じで。でも特にパークOが好きだとか、速かったというのもありませんでした。そこが、社会人と学生の頃で大分変わったところだと思いますね。

ーズバリ、スプリントの何が面白いですか?

ー私は結構スプリントに対して苦手意識を持っていて。走るスピードが速いのに加えて、意思決定を瞬間的に行う必要があったり、細かい読図が必要だったり、そこに苦手意識を持っているのですが...

 えっとですね。どういったところが面白いんだろう。
 そういえば、なんでだ。(笑)

ー辛くないですか。

いや、違うんすよ。走れるし、もうダッシュできるしね。なんかヒートアップするし。瞬間瞬間が楽しいんですよ。そんな感じだと思います。


ートレーニングは、学生時代と現在で違いはありますか?

横浜OLクラブ 月1ランニング会📷

 今の方が、しっかりと考えてやっていると思います。

 水曜日には、同期の小山や、全日本スプリントに向けて一緒に頑張っている後輩の倉田と一緒に、インターバルやペース走といった、ポイント練が多いです。それ以外の日は、ジョグをやったり、たまに強めに負荷かけて走ったり。また、横浜OLクラブで、月一回のランニング会にも参加しています。

 学生時代は、あまり負荷をかけるようなトレはやっておらず、漫然と走っていることが多かったかなと思います。

ー月間走行距離はどのくらいですか?

 200km程です。

ーほぼ毎日走っていますか?

 週4-5で走っていますね。

ーお仕事をされながら、1日のどのタイミングで走っていらっしゃるんですか?

 大体夜の9時以降が多いですね。たまに、朝6時~7時ぐらいに走ります。

ー私、お腹が空いてご飯を食べてしまって、そうするともう走れないなと思ってしまって家を出られないんですが...

 そうなんですよね。なので、夕方6時ごろに早めにご飯を食べて、夜9時や~10時ぐらいに走るようにしています。

ーなるほど...!

エントリー王をエントリー王たらしめるオリエンテーリングの魅力とは?


ー毎週最速レベルでオリエンテーリングへの参加を 決めるきっかけになっている、村上さんにとってのオリエンテーリングの魅力は一体何ですか。

 色々理由はあると思いますが、一つには適度にマイナーだからだと思います。これがサッカーや野球だと、もうメジャーで人口がとても多いじゃないですか。オリエンテーリングは、まだまだ村社会みたいな言い方をされる人もいると思うんですけど、だからこそ、一度入り込んだら、すぐに馴染めるようなところが、魅力なのではないかと思います。

 また、すごく競技をガチでやってトップになる人もいれば、その一方でゆるく続けている方もいらっしゃって、自分なりの楽しみ方を決めることができますよね。それから、個人競技だから、一生懸命走るのもいいし、ゆっくり周ってくるのもいいし、競技のついでに観光もすることもできますし。
 他の競技とかに比べると自由度が高いスポーツであり、かつ適度な規模感があるのがいいのかなと思っています。だからこそ、自分も続けられているのかもしれません。

ーオリエンテーリングに行く気がしないときもありますか?それはどんなときですか?

 夏が来て暑いときや、大雨で少し気分が乗らないなと思うときです。本当に辞めたいまでは思ってはないのですが、これだけたくさんオリエンテーリングに参加していると、正直、一日くらいサボりたいと思うこともあります。

 でも、他のライバルが参加するわけだから、行かざるを得ないよなと感じて、結局行った方がいいよなとなりますね。

行って後悔することって、絶対ないんですよ。
 
 行ってみて、「この大会、ちょっとダメだったな」とか、「来なきゃよかったな」と思ったことは、今まで一度もないので。朝起きて、ちょっと気分が沈むことはあるのですが、結果的には行くし、結果的に楽しんでいます。それから、オリエンテーリングに行かないで、家の中にいるときを想像すると、もう虚無でしかないので。

エントリー王への質問コーナー!

 スプリントに関しては、週1のポイント練、大会のある週は、疲れを残さないように少しゆるめにやるとか。事前に、航空地図等を見て何があるのかを見たり、旧図を見たりというのを軽くやっている感じでいます。

 フォレストに関しては実質ほとんどやっていません。基本的にただただ参加して走ってをひたすら繰り返しています。本当に早くなろうと思ったら、もう少し出る大会を絞ったり、対策を考えると思うのですが、今はそういう感じではないです。

 多分、慣れてなんともなくなっています…
 確かに、月曜の朝に、疲れを感じますが、仕事に支障が出るレベルではないです。基本的にテレワークなのもあると思います。健康面はそれほど意識していません。

ー普段のトレーニング量があるからこそ、疲労が残りにくいのでしょうか。

 そうかもしれません。すごくトレーニングしているわけではないですが、ある程度はやっているので、それが結果的に健康維持になっていると思います。

 実はオリエンテーリングを再開する前から元々走っていました。大阪に就職したとき、運動しなくなって、今より10kgほど太りました。それで流石にまずいと思って、2012年頃から、3年ほどランニングだけ再開しました。そこから、ランニングだけはひたすら継続していました。長い距離を走ることにあまり苦を感じないという性分もあると思います。

ーエントリー王になるべく基礎体力を、備えていらっしゃったんですね…!

  元々横浜OLクラブを選んだのは、知り合いの田邊がいたからというのもありますが、ちょうどいい規模感が決め手になりました。また、クラブの中心で活動したいという思いもありました。

 横浜OLクラブのいいところは、規模感が中くらいな感じなので、割とすぐに、色々な人と仲良くなれるところだと思います。

 また、最近組織体制の改革が進んでいて、色々追いつかないところはあるかもしれませんが、今後いい方向に変わってくのではないかと思っています。

  また、最近は組織体制の改革が進んでいて、色々追いつかないところはあるかもしれませんが、今後いい方向に変わってくのではないかと思っています。
 現会長の西村さんも、開かれたクラブを目指したいという風におっしゃっていて。月1回開催しているランニング会では、横浜OLクラブに所属している人だけでなくて、近くに住んでいる、他のクラブの方も来て、走って、その後に飲んでということをやっています。
 本当に誰でも、他のクラブの方でも、学生でも参加いただいていいので、ぜひ、一緒に走って、色々お喋りできたらなと思います


他にも、好きなテレインや嫌いなテレイン、推しのオリエンティア選手、お気に入りのギア、地図のファイリングなど、様々な質問にご回答いただきました! 載せきれなかった続きの内容は、ぜひポッドキャストでお聞きください! また、事前に集まった村上さんエピソードもご紹介しています。


オリエンテーリングへの関わり方は人それぞれ。一度離れたっていい!

ーほぼ毎週欠かさずにオリエンテーリングをされている、社会人の村上さんから、最後に学生へ向けてのメッセージをお願いします。

 まず、あまり気負わなくていいと思っています。

 社会人になると本当に視野が広くなるので、1回オリエンテーリングから離れても全然いいと思います。他のことに挑戦したり、色々なことをやってみたり。オリエンテーリングって、いつでも戻ってこられる環境があると思うので。趣味や打ち込むものがなかったり、何かやりたいなと思ったりしたときに、オリエンテーリングに戻ってくるのでも、全然いいと思います。

 また、オリエンテーリングへの関わり方は、本当に人それぞれだなと思っていて。

 日本のトップ選手を目指す方々はもちろんいますけども、全員がそうじゃないとオリエンテーリングを続けられないかというと、そんなことは絶対になくて。自分の中で、こんな関わり方がいいなと思う関わり方でいいと思いますし、無理なく自分に合う関わり方を見つけていけたらいいと思います。

 あとは、いいライバルになってくれたら嬉しいなと思います。フォレストでもスプリントでも、いいラインのところで競い合える人がいると、僕自身もすごく頑張れます。

今後も、一緒にオリエンテーリングを楽しんでいけたらと思いますし、もし会場で会ったら、「あ、あいつまたいるよ」「もうどんだけエントリーしてるんだよ」みたいな感じで、笑っていただいて全然いいので。そういう感じで、僕を使ってくれたらいいなと思います。

今後ともよろしくお願いします!

インタビューを終えて…

村上さん 
 たくさんの質問や期待の声をありがとうございました。
 闇雲にエントリーして参加しまくっているだけなのに、こんなにも反響や質問があり、色々な方に楽しんでいただいていることを知ってとても嬉しかったです。今後も頑張ってエントリーしていこうと思いますし、競技面も向上できるように、色々な人と競い合いながら楽しんでいきたいと思っています。本当にありがとうございました。

木口

 村上さんがオリエンテーリングから離れた理由、戻ったきっかけが興味深かったです。大阪に行って、知り合いがいなくてオリエンテーリングから離れ、OB会が楽しくてまたオリエンテーリングに復帰されて。今やエントリー王になられて。人とのつながりがオリエンテーリングと自分をつなぐし、オリエンテーリングがまた自分と人を繋いでくれているということを再認識しました。


 オリエンテーリングに戻った理由、続けた理由に、人の影響があって、その上うえ今はライバルの存在が競技のモチベーションに影響していて。大学同期、地域クラブ等々、色々な”人”の影響がすごく大きいんだなと思いました。オリエンテーリングは、競技人口が少ないマイナースポーツとして問題視されることもありますが、マイナースポーツだからこそ、色々な人、様々な年代の人と関われる、そういったオリエンテーリングのいいところを再認識できました。

 また、最速エントリーには通知機能を使ってなくて、1日に何回も何十回もJOYを確認しているというのが本当に印象的でした。



最後までお読みくださりありがとうございました。

ここでは載せきれなかったお話は、ポッドキャストにて聞くことができます。皆さんからお寄せいただいた村上さんへの質問に対する回答、村上さんあるあるなど、面白いお話が満載です。

ぜひ、ランニングや作業のお供にお聞きください。

ご意見、ご感想は、下記感想フォームよりお待ちしております❣️

【次回予告】

10月ごろ 粂早穂さん(ES関東クラブ/トータス所属、立教大学卒業)
11~12月ごろ 伊藤樹さん (設楽町/三河OLC所属、横浜国立大学卒業)
11~12月ごろ 松澤俊行さん (松塾、東北大学卒業)

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